最後のデモンを倒したことで、手元には目的の10本の鍵が揃うことになる。
フランから鍵を受け取るのは明日だ。彼女の言う通り、次の…最後の戦いに向けて英気を養うことにしよう。
その夜は、竜姫亭の仲間たちが大広間に集まり、ちょっとした宴を催してくれた。
「ぶっちゃけ、ここにいるみんなの運命はお前らが握ってるようなもんだからよ」
…俺らの命、預けたぜ。
そういうカッスルの目にはそれでも、いつか見た決意の光…母親を自らの手で討つという意志を、まだ宿していた。
宴が始まっても、夜半を過ぎても、フランは降りてこなかった。
「…まぁた一人で抱え込んでるのかしらね」
お酒を舐めるように飲みながら、マイコが呟く。
「リーダー、ちょっと様子見てこない?」
うん。じゃあ一緒に…
「そんな野暮しないわよ。一人で行きなさい」
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管理人室に入ると、フランはひとり、バルコニーに佇んでいた。その視線の先では、相変わらず異様な光を発し続けているグリモダール城がみえる。
「ついに揃うのね、10本の鍵が」
フランが、小さくため息をつく。
「決戦は…もうすぐね」
うん…そうだね。
「これからの戦いは、この地に住むもの全ての未来に関わること…」
闇の大天使ソル。その復活は、絶対に阻止しなければならない。たとえその先に、僕の命が終わるとしても…
「それ以上は言わないの。どんなに過酷な運命でも、私たちで分かち合えばきっと…」
あなただけに背負わせはしない。フランは穏やかな笑顔でそう言った。だが直ぐに、その表情が曇っていって…
「…だめね。我慢しようと思ったのに。あなたが来るからよ…気持ちを…抑えられなくなるじゃない…!」
フランが僕の手を取り、胸元に掻き抱く。
「あなたを失いたくない…ずっと一緒に…いたいの…」
そのまま、僕の胸に頭を寄せる。その表情は、もう窺い知れない。
「気づいているでしょう?私が…ドラゴンの化身だってこと」
フランの呟きに、いつかグリモダールの時計台に現れた巨大な竜の勇姿を思い出す。…やっぱりそうだったんだね。
「デモンの討伐はね。私の父…今のドラゴンの王・ペイデから私に与えられた使命なの」
フランが淡々と言葉を紡ぐ。それだけならどれだけ楽だったかと。僕との出会いで、全てが変わり…僕を失いたくないと、強く思ってしまっていること。
「…教えてほしいの。あなたの事。あなたの全部。この夜が明ける前に…刻んでほしいの。わたしとあなたが、ここにいた証を…」
フランが顔を上げる。その唇がゆっくりと近づいて…
「ちょーっと待ったぁっ!!!」
管理人室の扉が蹴破られ、マイコが飛び出してきた。
「ちょっ、貴女どうして…」
「流石に野暮かなって引いてみたらこのザマよ!油断も隙もあったもんじゃないわねほんとに!!?」
僕とフランの間に文字通り割って入り、ガルル…とまるでウルフェンかなにかのように威嚇の唸りをあげる。
「…もう、しょうがないわねぇ」
フランは呆れたようにため息をついて…
「それっ!」
「え?」
僕ともども、マイコをベッドに押し倒した!
「ちょっ、まっ、ええっ!?」
「…そうね、ちょっとズルかった。今夜が最後かも知れないのは、貴女も同じだものね」
え?え?何の話?
「え、いや、ちょ…いやあの、心の準備が…」
「そんなじゃダメよ!いつやるの?今でしょ!」
「やるとか言うなぁぁぁ!!!」
いや、僕を挟んで叫ばないで…!
−つづく−
…負けヒロインはただでは負けない!…と言うアレンジ。というかそれでも負けてる感あるけど。
やっぱ相手が悪いわ…ドラゴンやもん(
というわけで、ようやくしっかり明かされたフランの正体。竜態はおもっきりおじいちゃん(先代)にそっくりなんですよねぇ…
あのイカツイいでたちで化身したら美少女って、これが世に言うギャップ萌え…?(違うと思う
さて、いよいよ最終盤。イベントで色々お膳立てされちゃってるので、流石にこれ以降のダンジョンアタック、ノンストップで行くしかない感じになっちゃってるなぁ…