「もう2ヶ月になるのね」
ふとマイコが呟く。
「あなたに出逢って、デモンと戦って…一回死んだこともあったわねぇ…」
その節はご迷惑をおかけしました。
「いやねぇ、迷惑かけたのはわたしの方じゃないの」
仮にも自分が死んだという異常事態を笑い飛ばす。強い子だよなぁ…
「最初、正直あなたにこと頼りなさそうって思ってたけど…たった2ヶ月で強くなったものよね」
まぁ、頼りなさげなのは今もだけど。と言って笑う。
「さ、今日あたりプルトに挑むんでしょう?最後のデモン退治と洒落込もうじゃない」
ああ、行こうか。
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「ふふ…遅かったわねぇ?」
古王の廟堂の奥に座するデモンサークルの中で、プルトが妖艶な笑みと共に出迎える。
「女を待たせるような悪い子には…とっておきのオ・シ・オ・キ、しちゃおうかしらね…❤️」
膨大な闇の魔力が迸り、プルトが真なる姿を露わにする。一糸纏わぬ悪魔の周りには、闇色に輝く小さな蝶々が秘部を隠すかのように漂っていた。
「さぁ、焦らずじっくり楽しみなさぁい。人生で一度だけの…死へと至る恍惚を…!」
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「遺憾ながら、我が友プルト。我が新たな主をいたずらに傷つけることは、この私が許しません!」
召喚したウラヌスが槍を構えて対峙する。
「ふふっ…いくら貴女の頼みでもそれは聞けない相談ねぇ」
「であれば…仕方ありません。我が主・デモンゲイザーの名の下に、実力を行使いたします!我が主よ、私の戒めを今こそ!」
うん。厳格なる天使のデモンよ…戒めの鎖を解き放て!
「友といえど容赦はしません、我が主のため…断罪します!」
「…友達になった覚えはないんだけどねぇ」
槍衾の暴風雨が、プルトに襲いかかる。が、彼女の周りを飛び交う蝶たちが、盾のようにそれらを全て阻んでしまった。
「わたしの故郷だと、蝶は死した人の魂を運ぶもの…なんて伝承があったっけ。悪魔のデモンがそれを連れてるなんて…ゾッとしないわね」
プルトの攻撃を幻影で逸らしつつ、マイコがボヤく。
「美しいものはえてして悍ましい一面を持つ、ということでしょうか」
「綺麗なバラにはトゲがあるってか。必要ならトゲも厭わず掴みにいかなきゃだ。なぁ大将!」
ビアンカとノアルがそれぞれ強化魔法を僕と双子にかける。いくよ二人とも!五連──
『四連──』
──撃!!!
あわせて九つの衝撃が、蝶の守りを破り…
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「あぁん、負けちゃったぁ…!」
元の姿に戻り、プルトが力なく両手を上げる。
「ふふっ、強い子はお姉さんだぁい好きよ〜。それじゃゴ・ホ・ウ・ビ…私の魂、持っていきなさぁい❤️」
その姿を魔眼に収めて…デモン・プルト──
討伐完了!
その場にいた全員が、高らかに宣言した。
−つづく−
リザルトとしては4ターン撃破。バフの重要性よ。いやホント。
ウラヌスもHP微妙だったけど、生き残って何より…
さて、これで(一応)全部のデモンを倒したわけで。また物語が動くわよ〜