「おい…おい、しっかりしろ…」
誰かが呼ぶ声がする…
「よう、久しぶりだな」
目を開けると、そこには懐かしい人がいた。
「ははっ、何だその顔は?まだ寝ぼけてるのか?」
ローナ…本当に、ローナなの…?
「ああ、私だよ…よくここまで戦い抜いたな」
ローナの手が、僕の頭をわしわしと撫でつける。
「ようやっと全てが終わった。後はここでゆっくり休め…と、言いたいところだが」
そうもいかなくてな。とローナが肩をすくめる。
「さあ立て。すぐにここを出るんだ」
出るって…
「お前は、ここにいるべきじゃないのさ」
ローナも一緒に…!
「ははっ、そうだな…そうできればそうしたかったんだが…そうもいかないのさ」
多分、ここは生と死の狭間で…僕はまだ生きていて、ローナはもう戻らない。そう言う話…なのだろう。
「もう、お前を守る必要も無さそうだしな」
やっぱり…僕の中のデモンから僕を守ってくれていたのは…ローナだったんだね。
「またいつか、どこかで…きっと出逢えるさ。次はもうちょっと、マシな形でな」
自分の体が、急に引っ張られるような感覚を覚える。もう行かなきゃいけないみたいだ。
「それまで、精一杯生きろよ。お前が最後に得た宝…」
──人としての新たな命を!
そう言って僕に向けた表情は、今際にルルがカッスルに向けたものによく似ていて…
…僕は知らず、涙をこぼした。
・
・
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「気がついた?」
次に意識を取り戻すと、僕は管理人室のベッドに寝かされていた。
「よかった…とりあえず異常はないみたいね」
フランが心配そうに僕を覗き込んでいる。
そうだ…思い出した。
ソルを倒した後、僕はフランに刺されて…
「ええ、そう。あのとき私はデモンスレインで…貴方の、デモンの魂を殺したの」
僕の中には、デモン・テラとして生まれた魂と、ローナとの出会いで生まれ、育まれた人としての心が同時に存在していた。
「問題は、どちらの力が今の貴方を支配しているのか…だった」
デモンスレインの力があれば、デモンの魂だけを殺すことは容易い。しかし、テラの影響力が少しでも人たる僕の心を上回っていたら、道連れにされていた可能性もあったらしい。
「貴方を…信じてよかった」
「当たり前よ。うちのリーダーですもの」
ノックもそこそこに、マイコたちが管理人室になだれ込んできた。
「おかえりなさい…リーダー」
うん、ただいま…マイコ。
「…とか言ってますけど、実際隊長さんが刺されて一番取り乱してたのマイコさんなんですけどね」
「ちょっ、今ここで言うことないでしょビアンカ!?」
「本当よねぇ…昨夜、貴女にだけはこのことを伝えてたはずなんだけれど。何も知らないノアルたち…いや、なんなら双子たちより酷いことになってたもの」
「フランまで!?」
マイコが顔を真っ赤にして目を伏せる。まぁまぁ…それだけ、僕のこと心配してくれてたってことでしょ?嬉しいよ。
「う、うん…どうも…」
ゆでダコみたいになりながら、マイコは尻尾を器用に僕の腕にからめたのだった。
−つづく−
フランに刺されるくだりは、長くなるのでバッサリカット。原作やってください(
以前、ローナの魂が実はゲイザーくんを陰ながら守っていたってのを書きましたが、ここへきて結実した感はありますねー。このシーン、完全に忘れてましたが。
ってか、ソル戦以降の展開は完全に記憶とんでましたわ…まぁある意味新鮮な気持ちで書けたんでいいですが。
さて、どうにか今年中に本編クリアまでこぎつけることができました。
ここまでのプレイ記録はこんな感じ。
次回からは後日談シナリオに突入!