炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#DGEX】61日目II:今ここに輝く盟約の聖剣

イーシルの御鏡はマイコに持ってもらう。パーティーの守りの要が倒れたら、僕たちは立ち行かなくなってしまうしね。

「すごいわねこれ…持ってる感じがしないくらい軽いわ」

「三至宝は伊達じゃねえってこったな」

 

盾が塞いでいた道の先を進み…“秋の王宮”、そして“冬のエデン”をおっとり刀で進んでいく。

そして…

『強大な、悍ましいほどの魔力を感知しました』

『恐らくここが…大天使ソルの玉座です』

双子に言われるまでもなく、周囲を満たす強い力が肌を撫ぜていくのがわかる。

「お待たせ」

と、背後で聞き慣れた声がした。純白の鎧を身にまとったフランが手を振っている。

「いよいよね」

視線の先では強い魔力が渦を巻いている。戦いはもはや避けられないだろう。

「ここから先…もう私には手出しできない」

中立たるドラゴンの神。その娘たるフランにも、世界の理は重くのしかかる。地上の行く末は、そこに住むものの手で決めなければならないのだ。

「ま、まぁ私の場合、これまで結構無視して来たから…流石にこれ以上はね」

全てがうまくいくことを祈るわ、とフランが微笑んだ。

 

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風の吹き抜けるテラスに、玉座だけがポツンと取り残されている。かつては狂王が座っていたのだろうその玉座は、200年以上を経たであろう今もなお、その姿を保っていた。

「へへっ、待ちくたびれたぜ…ようやっと来やがったか」

その傍に、ルナが現れた。ソルはどこだ?

「もうすぐさ…もうすぐ…大天使は蘇る」

 

   ──このオレ自身を…“鍵”としてなぁ…!

 

「ルナ、貴女まさか…自分自身にソルを降臨させるつもりなの!?」

フランが声を荒らげる。

「鍵がねぇんだから仕方ねえよなぁ…それに、オレはもともとヒトに使われるのが大嫌いでねェ…」

ルナは、自らデモンの長になることを考えついたのだ。

「小さな月だろうと、うまく立ち回りゃ太陽だって隠しちまえる…これが世のセツリってもんさ」

歓喜に震えた声で、ルナが高らかに嗤う。

「オレは暗黒の太陽となって、この世界を照らしてやる…!」

 

   ──させるかよッ!

 

大声とともに躍り出たのは…

「カッスル…!?」

「お袋ッ!俺の声が聞こえるか?」

カッスルはルナに…いや母親に声をかけている。

「ハッ、知るかよ…テメエのお袋なんて人間はな…もうここにゃ居ねえのさ」

言い放つルナに、カッスルはしばし押し黙る。やがて顔を上げて、にっこりと笑って見せた。

「そうか、そいつは残念だぜ。息子の勇姿ってやつを、見せてやろうと思ったのによ…!」

そう言ってカッスルはポケットからペンダントを取り出した。あれって確か、形見っていう…?

「これを見て、お前は全く反応してなかったな。母親の形見だっつってもな…まぁ、無理もねえ。こいつはお袋から託されたもんじゃなかったからな」

15年前、母親をソルに取り込まれたカッスルは、それでも母親を探しに城に戻ったのだと言う。

「…で、こいつを見つけたんだ」

ペンダントは光を放ち…転瞬、一本の鍵へと姿を変えた。

「それって、まさか…?」

「おうともよ。こいつが…お袋、いやルゥ・ルナーク…テメエが探し求めてたソルの大鍵さ!」

地下室のエーテル圧搾機でペンダントに変えられていたらしい。そりゃルナもフランも気づかないわけだ…でも一言くらい言ってくれたって…

「敵を欺くには味方からっつーだろ?」

ふふん、とカッスルが不敵に笑った。そして鍵を携え、ルナに向けて突っ込んでいく!

「こいつで終わりだァッ!!!」

カッスルは渾身の力で大鍵をルナに突き立て…

「…何をしたのか知らねえが…」

しかし彼女は何事もなかったかのように、平然とカッスルを見下ろしていた。

「な…なんでだ?!」

おかしい…ソルの大鍵は、ソルを封印するための切り札のはず…?

「そんなひん曲がった鍵一本で、ソルを操ろうなんざ無理な話だぜ」

ルナは纏わりついた羽虫を払うかのように手を上げる。

「くたばれ、虫ケラが…!」

手の中に集まった魔力がカッスルに向けられ…しかし、それが放たれることはなかった。

なんだろう…ルナの動きを、内側から“誰か”が留めているのか?

「!?ま、まさか…ンのアマ…ここへ来て母親ヅラする気か…ああ!?」

…身動きできず戸惑うルナの隙をつき、カッスルを下がらせて前に出る。

「封印はできなくても…」

フランが大鍵に触れる。まだ力は残っているらしい。

「こんな使い方は…どう?」

フランに促され、デモンスレインを渡す。

 

「今ここに、闇なる陽の力と魔なる剣の力を合わせ…フラン・ペンドールの名の下に、新たなる盟約の聖剣を…ここに成さん!」

 


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黒い刀身の魔剣は、眩いばかりの白い光を宿す…!

「名付けて聖剣デモンスレイン…封印できなくても、ソルの力を引き剥がすくらいなら…!」

フランから改めて剣を託される。暖かい力が、全身に漲るのを感じた。

 

「何をしようがもう遅い!」

吐き捨てるように叫んだルナが飛翔し…真の姿を顕すとともに、禍々しい眼差しを背負って立ちはだかった。

 


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いくよみんな…大天使ソルは、僕たちで止める!

 

   −つづく−

 


ほぼただのノベライズ!(爆

まぁ、ちょいちょいセリフ改変とかはしてますが。

次回は、全ターンのバトルの文章化にチャレンジ!(無茶