炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#世界樹X】皇帝の月/1日:冒険の始まり【リプレイ風】

「ああっ、かかった!早く引かないと!」
「まー待てリコリス…こーいうのは根気比べが肝要ってな…ノノ、しっかり竿掴んどけよ?」

絶海の孤島・レムリア。
ギニアを降りて少し歩いた先にある池のほとりにて、ザジたち…ギルド“ストークス”は釣りに興じていた。

「ザジー!ノノー!がんばれー!!」

遠目にも明らかに大物とわかる魚影と格闘する二人に、レアは二つ結びにした髪をぴょこぴょこ揺らして興奮しきりだ。

「こう見えて俺ぁ釣りには一家言あるクチでな。ここまででけえ獲物は海都の勇魚以来だが…まぁ、所詮魚は魚だ」

ぐぐっ、と竿がしなる。針の先にいるであろう獲物が、池の奥へと沈んでいくようだ。

「ちょっと!逃げられちゃいますよ!?」
「問題ねえ…ベテルギウス!」

ザジの意図を察してか、痩身のゾディアックが前に出る。彼が水面に指先を当てるのを確認して、ザジは今一度竿を大きく振り上げた。

「いけえッ!」
甲子きのえの天よりはしれ…三碧木星さんぺきもくせい!」

ベテルギウスが放つ雷の星術が池を走る。水面を伝う雷撃は見事に巨大魚に命中し、抵抗が緩んだ。

「今だ!引け!!」
「ふんにゅーっ!」

ザジとノノが渾身で竿を引き上げ、おおよそ2mはあろうかという巨体はついに丘に上げられた。

「はっは!どーだ、これが俺とベテルがアーモロードで編み出した雷撃漁法だ!こいつでどんな獲物も入れ食いだっ…痛え!?」

呵呵と笑うザジの脳天にノノの槍(の柄)が叩き込まれた。

「何すんですか!思いっきりビリって来ましたよ今!?そーいうことやるんなら先に教えてくださいよ全くもー!!」
「あん?言うてそんな痛くなかったろ?なんなら今打ち込まれた槍のがいてーよ」
報連相しなさいって言ってんのよ…」

頭をさするザジに、リコリスが呆れたように肩をすくめた。

 

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「うひゃーっ!これはでっかいねぇ…まさしくヌシだよ、こいつは」

ギニアにある“クワシルの酒場”にて、ストークスの釣果を目の当たりにした酒場の主人が目を丸くした。

「ふぅむ…これはタイガーフィッシュだね。肉食で獰猛な奴だったろう?」
「あぁ。目の前で水鳥食い散らかしてったからな…一瞬魔物かと思ったぜ」
「まぁなんにせよ、これで水源確保は問題ないだろう。依頼主にも伝えておくよ」

そう。ストークスの面々は別に遊んでいたわけではない。この酒場に寄せられたマギニアの住人から寄せられた依頼エスをこなしていたのだ。
今回の場合は、街の顔役からの依頼で、水源として使用するために、池に住む件の巨大魚を排除して欲しい…というものをストークスが請け負った…というわけだ。

「先の依頼といい、順調にこなしていくねぇ…さすが年の功かなザジくん?」
「年についてはあんたに言われたかねーよオッさん…」

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「だーっはっはっはっ!それは違いないねぇ!」

一見して身なりのいい酒場の主人だが、その実態はなんとも適当な物言いの愉快な熟年男性である。最初こそ面食らったザジたちだが、その人好きのする物腰に、肩肘張る事なく仕事に向き合えていることはありがたく思っている。

「ま、こなせるクエストはガンガンこなすさ。ミュラーの旦那から司令部に話つけて貰えにゃ、世界樹に入ることも叶わねえからな」

世界樹の迷宮を目指すべくギルドを組んだザジたちだが、それですぐ迷宮入りが許可されるわけではなかった。
エストをこなして実力を示せ。そう言ってミュラーはストークスを酒場へと向かわせたのだ。

「おおっ、やる気満々だねぇ!僕も冒険者ギルドから、君たちに優先的にクエストを振るように頼まれてるからね。目ぼしいものはどんどん押し付け…ゲフンゲフン!…頼んでいくからね!」
「…まぁいいけどよー」

脱力するザジを横目に、クワシルは急に真面目な表情に変わる。

「うーん、これだったらアレも君たちにお願いできるかな…?」
「あら、まだお仕事あるの?」

早速新たな水源となった池から採取したばかりの新鮮な水に舌鼓を打ちながら、リコリスが尋ねる。

「うん。実はね、君たちにぜひ受けてほしい依頼があるんだよ」

クワシルが言うには、薬師メディックの少女が薬草の採取に出たきり行方がわからなくなっているらしく、その少女の捜索が依頼として出ているのだ。

「詳しい話は依頼を受けてくれたら話すけど…どうするかな?」
「うけるよ!」

リコリスの隣でミルクを飲んでいたレアが大きな声で叫んだ。

「ザジ、ひとだすけ、とくいだもん!」
「いや得意ってわけでもねえけど…まぁいいや。受けるぜ」

そう来なくちゃね!とクワシルがニヤリと笑う。

「街で薬を作っているお店があってね、薬草をとりに行って欲しいというクエストを出して来たんだ。それを受けたのが、新人のメディックだったんだけど…」
「そのまま戻ってこねえ、と…」
「悪い狼に襲われたりしたら、大変でしょ?だから、探しに行ってくれる人を募集しているんだよ」

少女の名はビルギッタ。行き先はマギニアから北に向かった先にある森らしい。

「よろしく頼んだよ、ストークスのみんな!」

軽快な激励の声を背に、ストークスは酒場を後にした。

 

 

   −つづく−

 

 


色々あってモン勇リプレイが長引いていましたが、ようやくひと段落したので念願の世界樹Xリプレイの再開を。

SwitchでI・II・IIIのHDリマスターが出ると言うニュースも聞いて、俄然ワクワクしております。
IIIもね、「新世界樹」を意識したリプレイ風SS書きたいなーという野望があったりするんで、6月になったら買おうかな〜。

さてさてさて。
過去シリーズと違っていきなり迷宮に入れないのはちょっと新鮮ですネ。今回はモン勇同様の完全初見プレイでやってるので何が起こるかわかりません。
多分そんな奇特な方はいないと思いますが、コメント欄でネタバレはご勘弁いただけると…いや、発売からン年経ってるゲームに何を言わんや、ですがw

世界樹シリーズでは暦が存在するので、タイトルの付け方も「◯日目」ではなく、実際のゲーム内日付に対応します。
つまりプレイ次第によってはクリアに年単位かかると…まぁ、別にタイムアタックするつもりもないからいいんですが。

さて、2つクエストをこなした先に待つ新たなクエスト。いかにも重要イベントっぽいですが…ちょいと準備しないとですな?