炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(7):2日目・オリエンテーリング③【リプレイ風?】

翌日…オリエンテーリング2日目。

「…おはよ」
「うん、おはよう」

スグリと連れ立って、3つ目の看板に向かう。

「…何?」
「う、ううん…何でもない…」

怪訝な視線を向けるスグリに、ぼくは視線をそらして小さくため息をついた。
昨夜のことをスグリに教えたいという思いと、教えたらいけない、という考えが、頭の中をぐるぐる回っている。

 

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「スグって、鬼の事本当に、すっごくすっごく好きなの!だから…あたしたちだけ鬼に会ったって知ったら…あの子、ヤな気持ちになるかもって」

昨夜、ゼイユに口止めをされて…それはまぁ、スグリの鬼さま大好き!なところを何度も見ていると、ゼイユの気持ちはわかる。

「…弟思いなんだね、いいお姉ちゃんだ」

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「…茶化さないでよ。とにかく、さっきのはわたしたちだけの秘密」

スグリには悪いけれど、顔を近づけてそんなことを言われたら、かなりドキドキしてしまうわけで…

 

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そして今日のこと。スグリと出かける前、ゼイユに家に連れてこられ、おじいさんにあの子のつけていた仮面を見せると…

「こ、これはまさか…鬼さまの面!?これをどこで!?」

ぼくたちが鬼さまに会ったことを伝えると、おじいさんはしずかに目を閉じて…こう言った。

 

 ━━本当の歴史は、逆なんだ。

 

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「…ロ…ヒイロってば!」
「わっ!?」

耳元で叫ばれて我に返ると、スグリが頬を膨らませてぼくを見ていた。

「またぼーっとしてる…なんかあった?」
「…ううん、本当になんでもないから。ほら、看板見に行こう」
「それ、おれが言った…」
「あ、ごめん…」

だめだ、とりあえず鬼…いやオーガポンのことはいったん置いといて、今はオリエンテーリングに集中しないと。

「最後の看板は、鬼が山の向こうだよね。じゃあ…コライドンに乗って…」
「ぜってーダメ!」

 

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鬼が山の岩肌をおっかなびっくり下りながら、ぼくたちは最後の目的地…楽土の荒地に到着した。…したのはいいんだけど。

「…看板さ、あっち」
「う、うん…」

すごく…ギクシャクです…
ぼくの方は、まぁ大事なことを黙っているっていうこともあるんだけど、スグリの方はどうなんだろう…ぼくたちが黙ってること、気づいてるんだろうけど…それだけじゃなさそうな…

「…ヒイロ
「な、なに…?」

看板の前で、後ろをついてきていたスグリが急に声をかけてきた。

「…看板さ読む前に、ちょっと勝負さしたい…してくれる?」

なんでこんな時に…と思ったけれど、スグリのまなざしは真剣そのもので…

「…うん、いいよ」

ぼくはうなづくしかなかった。

 

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楽土という言葉にはそぐわない荒れ果てた地面の上で、ぼくとスグリが相対する。

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「今度こそ…勝つ!ヤンヤンマ!」
「凄い気迫…!行って、ヒノヤコマロビン!」

ヤンヤンマのエアカッターが、ニョロゾのパンチが、そしてオオタチの巨大なしっぽが容赦なく飛び込んでくる。なんとか躱して反撃を決めて、次のターン!

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「…カミッチュ、けっぱれ!飴まみれさ、しちまえ!」

次に繰り出したのは、リンゴに擬態したドラゴン…カジッチュじゃない!?
カミッチュが放った蜜の塊が、ロビンを絡めとってしまう。

「まずい…交代! 頼んだよ…ギャラドスミズチ!」

こおりのキバで…っ!

 

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「負けちまった…おれが…おれが…弱いから…だから…っ」

顔を伏せて、こぶしを握り締めるスグリ。何か声をかけようと近づいて…でも、どう声をかけたらいいんだろう。
強かったよ、じゃ嫌味になっちゃうだろうし、次がんばろうっていうのも、なんかだか違う気がする…

「…課題、終わらせよ」

そう言ったスグリに、ちょっと安心してしまったぼくがいた。

 

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3つ目の看板の内容は、何かの戒めを伝えてくるようなものだった。

 ━━曰く、黄昏時に村の外で誰かに出会ったのなら、お面で自分の顔を被ってやり過ごせ。
 ━━曰く、お面を持っていなくて、もし出会ったのが鬼であったのなら……

たぶん、暗い時間にむやみに外に出ちゃだめですよ…という、教訓話のようなものだとは思うんだけど…

「…おれ、ここの看板に書かれてること、好きじゃない」

スグリがぽつりとつぶやく。鬼を恐れるあまりに村の外に追いやって、のけものにされて…きっと寂しかったはずだと。
スグリの言葉は、今まさに彼をのけものにしているぼくに深々と刺さって…

「…ごめん」

思わず謝ってしまった。

「…何が?」
「あ、いや…うん、なんでも…えっと、写真…撮ろうか」

 

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「…これで、課題はおしまいだ」

撮った写真を見せようとスマホロトムを向けたけど、スグリはすっと顔を背けて。

「おれ、ポケモンっこさもっと強くすっから……帰るね」

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そう言って、スグリはぱっと走り出して…あっという間に見えなくなってしまった。

 

   -つづく-

 

 


つらい…書いててつらい…
というわけでオリエンテーリング自体は完了。

新規に出てきたウチの旅パのニックネームですが、ヒノヤコマ(♀)が(おそらく)ヤヤコマのモチーフになっているヨーロッパコマドリの英名から、ギャラドス(♂)が蛇の古語から。…蛇?
連れてたコイキングギャラドスになったのがキタカミでの道中なので、キタカミに由来のある名前にしたそうですよ?(公民館で調べた

さて、ケンカしたわけじゃないけどちょっとギクシャクしはじめるヒイロスグリ。仲直り(?)はできるのか…?