炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(5):お祭りに行こう!鬼が山の不思議なコ①【リプレイ風?】

キタカミセンターの奥にある石段を上り、鬼が山…キタカミの中央に鎮座する巨大な山を登る。

「はぁ…ふぅ…」
「よっ、ほっ」

さっきまでとはうってかわって軽快に登っていくスグリに対して、今度はぼくが息が上がっている。

スグリ…ちょくちょく鬼さまに会いに行ってたって…この岩山を…?」
「そうだよ?」

鬼さまに会いたい一心が体力を凌駕したのかもしれない…好きって気持ちの力、凄いなぁ…

「ごめ…ちょっと自力だときついかも…」

たまらずコライドンを呼び出してライドする。後ろに乗せようとスグリに手を伸ばすと、アップルヒルズでの爆走を思い出したのか尻込みして。

「…安全運転する?」
「…善処します」

のそのそとコライドンを歩かせて、尖った岩の隙間を縫うように進む。スグリ曰く、鬼が山の、鬼の牙の部分にあたるらしい。

「鬼が山は初日にバス停からから見たけど…えぇ…いまあの辺にいるんだ…」
「ほら、ここ見下ろしたらすぐ下に公民館」

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「うわぁ絶景…」

少し寄り道しつつ進んでいくと、スグリが教えてくれた案内看板を見つけた。

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「こっち行ったら地獄谷で…向こうが恐れ穴な」
「…キケンって書いてあるんですけど」
「ほらコライドン、こっちさこ」
「ちょっ、スグリ!?」

いつの間にか手綱を取られて、コライドンの進路は恐れ穴に向けられる。

「大丈夫だべ。おれ、ちっさいころからよく行ってるんだもん。このへんのポケモンっこもそこまで手ごわくないしな」

珍しく強い圧におされて、ぼくとコライドンはスグリの導くままに岩山を進むのだった。

 

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「あそこが、恐れ穴…鬼さまが住んでるって言われてる」

…何度来ても会えたことねぇけど。と寂しそうにつぶやく。

「もしかすっと」

鬼さまは強いから、強い人間になら反応するかもしれない。そうスグリは考えた。

「お、おれもまえよりは強くなったし…よければ、勝負さ…したい」

なるほど、ポケモンバトルで強さをアピールするってわけか。ポケモンコンテストみたいかも?

「はは…それいいな。どっちが強いか、鬼さまに見てもらんだ!」

恐れ穴の前で、お互いにモンスターボールを構えて。

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「負けないよう…けっぱる!た、たのむぞニョロモ!」
「それじゃ…行っておいで、オオタチぴろ!」

キタカミで見つけた新たな仲間を繰り出して、いざ勝負…!

 

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「うぅ…負けちまった…やっぱつえーやヒイロ…」

鬼さま、見てるといいね。

「んだな。見てたらきっと、あの子つえーって思ってるよ」
「いやいや。ぼくより強い人、まだいっぱいいるから…」
「そうなん?」

例えばアカデミーの同級生であるネモは、パルデアのポケモンリーグ・チャンピオンランクだ。今はぼくと同じ目線で戦ってくれるからいい勝負になってるけど、本気の手持ちで向かってこられたら間違いなく目の前が真っ暗になるだろう。いつかその本気を向けられても大丈夫なくらい、強くなれるだろうか。

「なれるよ!ヒイロならさ!」
「そう?ありがとう」
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そんなやりとりをしているぼくらのことを、こっそり見ている影の存在に…このときはまだ気づいていなかった。

 

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「…わやじゃ、もう日が暮れとる」

せっかくだからと恐れ穴の中を探検して(当然ながら鬼さまはいなかったけど)出てくると、空はすっかり赤く染まっていた。看板巡りの続きは明日にしよう、というスグリにうなづいて応える。

「そうだ!キタカミセンターのお祭りさ、今晩から始まんだ!」

里のみんながで様々なお面をかぶって参加する伝統のお祭りらしい。センターで準備してた屋台のやつだ。

「行ってもいいのかな?ぼく、ゼイユがいうよそ者、だけど…」
「問題ねって!よそ者なんてねーちゃんしか言ってないし、お面被ったらわかんないし!」

…それもそうか。じゃあ、行ってみよう!

「ん、じゃあオモテ祭り行く前に準備あっから、先おれんち行こ」

オッケー。でも、今から戻ったら日が暮れそう…そうだ!

スグリ、コライドンに乗って」
「うん?」
「ちょっと近道するよ!」
「近道…わや、やな予感する…」

せーの…コライドン、ジャンプ!!!

「やっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…」

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鬼が山の牙…鬼歯空洞と呼ばれる場所から、ぼくたちは一気に跳び降りるのだった。

 

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涙目になったスグリに背中をポカポカ叩かれながら、彼の実家を訪れる。

「おや、おかえりスグリ…そちらはお客さんかい?」
「ん…えっとね、この人は林間学校でいっしょの…ヒイロ…」

ぼくの背中越しにぼくをおじいさんに紹介する。

「おお!?もしかしてスグリのお友達かな?」
「あ、はい。友達です…ね?」

ぼくがそう言うと、スグリが「え!?そ、そうなんだ!?」と目を丸くした。

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「友達…こそばゆい…変な感じ…」

ふたりしてにへへ、と笑う。ふと気づくと、おじいさんがぼくの顔をじっと見ていた。

「…おや?お前さん…」

ぼくに顔を近づけ、頭の先から足の先までを何度も見かえして。

「じ、じーちゃん!あんまりじろじろ見ちゃしつれーだろ?」
「おっと、すまんのぅ…しかし…ううむ」

おじいさんは少し考え込むようなしぐさをして、小さく頷いてからぼくを見た。

「お前さん…"トビ"という名前の男に心当たりはないかね?」

おじいさんの口から出てきた名前に、ぼくは心当たりがあった。あったというか…

「父の名前、ですけど…それがなにか…?」
「…なんと!?」

おじいさんは一瞬驚いた顔をして、そこからゆるゆると笑顔に変わっていく。

「はっはっは!まっさかあの悪たれ坊主に息子とは…!いや世間は狭いというか、長生きはするもんじゃというか…」
「あの…何の話なんでしょう?」

詳しい話を聞こうとした矢先、奥からおばあさんがやってきた。

「あら、スグリのお友達?」
「うん!ヒイロっていうんだ」
「ばあさん、よく見てみなさいなこの子!」

おじいさんがぼくの肩を抱いておばあさんに向ける。

「この顔つき!癖のある髪の毛!赤みがかった瞳!…ほれ、誰か思い出さんか?」
「…ああ、トビちゃん!? 炭焼き屋さんの?」
「ほうじゃほうじゃ!そんでこの子は、トビのせがれなんじゃとさ!」

老夫婦のやりとりを聞くに、どうやらぼくの父さんはキタカミの里の生まれだったようだ。前に冗談交じりにそんなことをスグリと話したけど…本当だったなんて!

「トビちゃんはね、昔この近くに住んでいた炭焼きを営むおうちの子だったの。こっちにもガスが通るようになって、炭の需要が減ったからって、炭焼き稼業を辞めてご家族でジョウトに越しちゃったんだけどねぇ」
「悪戯好きの悪ガキでのぅ…よく落とし穴にひっかけられたもんじゃ」

他にも、鬼に会いたい一心で恐れ穴にもこっそり出かけてたりしたらしい。

「おれ以外にも、鬼さまに会いたいって人いたんだなぁ…それがヒイロのお父さんって、すっごい偶然!」

いやほんとに…

 

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日暮れが近づき、祭囃子が聞こえてきた。
おばあさんに、じんべいを着せてもらって、髪を結ってもらう。

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「わぁ…へへ…おそろいだ」
「はっはっは、なんだか孫が増えたみたいだな」

嬉しそうにスグリとおじいさんが笑った。

「ねぇばーちゃん、祭りのさー…」

と、家の扉が開き、中からじんべい姿の…ゼイユ!?

「ゲッ、なんであんたがいんのよ」
「いや、スグリにお祭りに誘われて…」
スグリが?あんたを?へーぇ…ふぅーん?」

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ゼイユがちょっとにやけた表情で弟を見る。でもちょっとだけ、そのまなざしは優しげに見える…気のせいかな?

「…何見てんのよ?」
「え、いや…」
「あ、わかった。あたしの甚平姿に見惚れちゃったんでしょ?いやー、美しいって罪だわー」
「はいはい…あだだだだっ!?」

塩対応なスグリの脳天に拳をぐりぐり押し付けて黙らせるゼイユ。
…改めて見ると、制服と違ってちょっと見える肌の量が多いから、すらっとした白い手や足がまぶしい。軽くメイクもしてるっぽいし…なんだかドキドキしてきた。

「…え、何ジロジロ見て?あんたホントに見惚れてんの?」
「あ、うん…綺麗」

!…思わず言っちゃった。

「!?…ふ、ふんだ。マセたこと言うんじゃないよこのおこちゃまめ…!」
「ゼイユ…せっかく男の子が褒めとるんだから素直に受け取りなさいよ…」

ぷい、と顔を逸らせるゼイユをおじいちゃんがたしなめた。

 

 

   -つづく-

 

 


崖を飛び降りての大幅ショートカットは、オープンワールドスタイルのゲームならではですねぇ。

…いや、初代から崖飛び降りショートカットやってたわw
まぁあんまりやりすぎると道中で戦闘の機会失って経験値稼げないからほどほどにしましょう。うん。

そして半ば強引にねじ込むヒイロくんの出生秘話(違
ちなみに、お父さんの名前”トビ”は緋色の別称である鳶色が元ネタ(カラーコードで見ると全然色違うやん…)。少年時代の容姿は、ゲーム中のヒイロくんと髪色以外そっくり、という設定。

あんまりゼイユがよそ者よそ者言うんで、実はこの土地にゆかりのある子だよ!ってことにしてみました。どんなリアクションするのやら…w

次回、やっとお祭りいけます…行きます…今度こそ…(今回で行くつもりだった顔