炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(6):お祭りに行こう!鬼が山の不思議なコ②【ネタバレあり】

【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ゼロの秘宝」「碧の仮面」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。

問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。

 



 

 

 

 

 

 

 

改めてゼイユ、スグリといっしょにお祭りの会場であるキタカミセンターへ向かう。

「ご、ごめんなぁヒイロ…お面足らなくって…」

そう言って謝るスグリには鬼の面、ぼくをはさんで反対側を歩くゼイユにはともっこの面が付けられている。

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「いつまで謝ってんのよ…ヒイロも気にしないって言ってんだからこの話はもうおしまい!いいわね?」
「う、うん…」

まぁお祭りの屋台でも売ってるらしいしね。何買おうかな~…?

「そりゃもう…鬼さま!」
「ともっこ様よね!?」

両側から同時に大声で叫ばれて耳が痛い…

「あのねースグ、オモテ祭りは3匹のともっこ様の雄姿を称えるお祭りよ?ともっこ様のお面一択に決まってるでしょー!?…あ、いや三択だけども!」
「お、鬼さまの方が、かっこいい…べ!ねーちゃんは鬼さまのこと、なーんもわかってねーなー…」
「ああん!?キタカミ伝説はあたしの方が詳しいっての!」

…ふふっ。

「…何笑ってんのよ?」
「んー、仲いいなって」
「…眼医者行くあんた?」

 

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スグリとりんご飴をなめながら、屋台を巡る。ぼくの分は払うって言ったんだけど、スグリは「ばーちゃんから小遣いさいっぱいもらったから」とにこにこ笑って断った。

「い、いまはおれのがちょこっとだけ兄ちゃんだし…な!」
「そうなの?」

いちご飴を頬張るゼイユが問いかける。

「あはは…誕生日聞いたら、スグリの方が早くてさ」
「なーんだ、結局同い年なんじゃないの。兄貴ぶりたかっただけか」
「よ、余計なことゆーなよねーちゃん!」

…うん、やっぱり仲いいなこの二人。

「あ、お面屋!」

スグリに引っ張られて、お面の屋台にやってくる。

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彼が推してくる鬼の面の他には、ゼイユが付けてるのと同じともっこの"ましら様"、他のともっこ…"おいぬ様"、"きぎす様"。あとはピカチュウをはじめとしたポケモンの面もある。

「あー、でも屋台の人いないや…今は買えないね…」
「じゃあ、他の屋台見て回ろっか」
「だ、だったら…こっちさ…!」

スグリが僕の手を引いて、社の方へ。

 

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社のそばでは鬼退治フェスってイベントをやっていた。ライドポケモンに乗って、木の実を集めるゲームみたい。林間学校の参加者は無料で遊ばせてくれるらしいのでご厚意に甘えて…

「あら、あんたもやんの?」

と、ちょうどゲームを終わらせてきたらしいゼイユがオドシシにまたがってやって来た。かなり張り切ってたみたいで、弾んだ呼吸といっしょに上下する胸元の肌はうっすら汗ばんでいた。

「ふふーん、あたしは楽勝でクリアしたからねー?あたしのスコア、超えられるもんなら超えてみなさいな!」
ヒイロ、けっぱれー!」

じゃ、ひとつ頑張ってみようか…コライドン!

 

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…結論から言うと、ゼイユのスコアにはわずかに及ばなかった。

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「ふ、ふーん…結構危なかったけど、やっぱりあたしがサイキョーね!」
「むぅ…」

ちょっと悔しい。バトルなら勝ったのに…

ヒイロ…不思議なポケモンっこにライドしてんのになぁ…?さっき山から飛び降りたせい…?」
「はっ!コライドンだかトリトドンだか知んないけどね…ポケモンの差が戦力の決定的な差じゃあないってコトよ!」
「ねーちゃん、トリトドンじゃライドできねーって…」

うーん、ポケモンバトルとはまた勝手が違うし…なんとなくだけど、コライドン自体、まだ力を完全に取り戻してないって感じがする。…まぁ今それを言っても負け惜しみにしかならないんだけど。

「ほらほらスグ、こんどはあんたが挑戦しな!ヒイロをもっと負かせて追い打ちダメージかけちゃいな!」
「や、やだよ…」
「あんた!ねーちゃんよりよそ者の肩持つってのー!?」

 

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エキサイトしているゼイユをなだめるスグリにうながされて、ひとりで屋台を回ることに。そういえば、そろそろお面屋さん帰ってきたかな…?

「…うん?」

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ふと、視界の隅に人影?のようなものが見えた。緑色の着物…じんべいかな?…を纏った小さな背中が、社の奥…鬼が山に通じる石段の方へ向かっていくのが見えた。

「迷子かな…?こんな夜に山に入ったら危ないよね…?」

連れ戻そうと追いかけると、石段の前にまだその子?はいた。祭囃子に合わせて、ゆらゆらと揺れたり跳ねたりしているさまは、まるで楽しげに踊っているように見える。

「…ぽに?」

ゆっくりと近づくと、ちょっと不思議な声が、鬼の面からこぼれた。鬼の面越しに、キラキラした目がぼくを見ているのがわかる。

「お祭り、楽しい?」

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ぼくがそう聞くと、その子は「ぽにおっ!」と嬉しそうに笑った…ように見えた。もしかして、この子は…?

「ちょっと、聞いてよヒイロ!」

と、背後からゼイユの不機嫌ながなり声がした。

「スグったら鬼退治のセンスゼロだわ!いくら教えてもまーったくダメダメ!」

しばらく特訓させてやってんの、と鼻を鳴らす。それはなんというか、スグリご愁傷様というか…

「!」

と、そんなゼイユの雰囲気にびっくりしたのか、鬼の面の子は慌てて石段の方へ走って行ってしまった。

「…誰あの子?」

ゼイユが鬼の面の子に気づいたらしく、首を傾げた。…って地元の子じゃないの?

「んー、こっち帰ってくるのは久々だけど、地元のあれくらいの背丈の子なら大体知ってるしねぇ…見おぼえないよ、あんな子」

アカデミーの子じゃないの?と逆に聞かれるけど、うちの参加者にいるぼくより年下の子は、あの子ほど背が低くはなかったと思う。いずれにせよ、小さな子が山の奥に行ってしまうのはよろしくない。

「追いかけよう!」
「あ、ちょっと勝手に…!」

見た目通りにすばしっこいのか、気づけば石段の上の方にいた。ぴょんぴょんと軽やかに足を鳴らしているうちに…その子が身に着けていた仮面が外れて…ころりとぼくのところにまで転がってくる。

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ふと見上げてその子を見ると、その素顔は…なんだか可愛らしい、けれどぼくたちとは少し違う顔だった。

「こら!夜の山は危ないからいくらあんたでもほいほい上がるんじゃないよ!」
「ご、ごめん…」

追いかけてきたゼイユに怒られた。怒られたけど…なんか心配してくれたのかな?

「おーい!さっきの子も、戻ってきなよー!」

落とし物の仮面を拾って、その子に向ける。ほら、取りにおいでよ!

「……」

でも、その不思議な子は…くるりと背中を向けると、鬼が山の闇の中へ消えて行ってしまった…。

 

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「今の子…なんなの…?」

呆然と、不思議な子の走り去っていった先を見つめるゼイユ。どんなに目を凝らしても、石段の下からじゃその先を見ることはできない。

「…もしかしてだけど…ポケモン、なのかな…?」
「そんなこと…えっ?」

ぼくの思い付きだけど、ゼイユは少し考え込んで…はっと目を見開いた。

「もしかして、鬼!?歴史の看板に出てくる…アレ!?」

そして、そのゼイユの言葉は、ぼくにとっても同意見だ。看板に記された絵とは、随分イメージが違うんだけど。

「えー、あれってマジ話だったの…?」

素っ頓狂な声で山を見上げるゼイユ。

「昔話とか伝説とかって、ポケモンがかかわってる本当のことだったりするの、結構あるしね…キタカミの里もそうなのかも」

ぼくが前に住んでたジョウトでも、三匹の聖獣や、虹色の羽をもった霊鳥の伝承があって、今ではそれらが実在するポケモンだった…ってことは周知の事実だ。

「あんた詳しいわね…そういうの好きなの?」
「や、前にテレビでやってて…」
「なんだ、感心して損した」

ちょっと酷い言いようにげんなりしていると、足音が聞こえた。スグリだ。

「ふたりとも、こんなとこで何してんの…?」
「あ!聞いてよスグリ、さっき鬼にね…!」
「ちょっ、わーわーっ!」

鬼の存在を信じていたスグリにとっては大ニュースだと思って教えようとしたとたん、ゼイユが大声でそれをかき消した。

「な、なに…?ねーちゃんうるさい」
「何でもない!何でもないから…!」

取り繕うように笑うゼイユに、スグリがちょっと不機嫌そうな顔になる。

「ふーん…どーせおれの悪口さ言ってたんだべ」
「いや、そんなこと…」

ぼくの言葉は届かず、スグリは「お祭りさ、戻ってる」と呟いて走っていってしまった…

 

 

   -つづく-

 

 


一応、本編の根幹につながるシーンの一つなので、ネタバレ防止のワンクッションをば。「続きを読む」機能はブラウザ版ならともかく、スマホ画面だと貫通するから意味ないんだけどねぇ…💧

というわけで、「碧の仮面」のパッケージポケモン(と表記するとちょっとアレですが)のオーガポンがついに登場。本文中でも言っていますが、看板に描かれた絵とは大幅に異なるシルエット、初見はかなり驚きましたが…まぁ伝承なんて大なり小なりそんなもんですよね(言い方

さて、姉弟との交流のなか現れたオーガポン。その存在は、3人の間に何をもたらすのか…?

 

↑素顔が…ない…だと…?(絶望