次の看板は、キタカミセンターという施設の敷地内にあるらしい。場所は、スイリョクタウンの公民館を挟んで反対側のようだ。一筆書きみたいにぐるっと回れたら楽なのかもだけど、それじゃあオリエンテーリングとしては面白くないか。
「じゃ、行こうか…スグリ、後ろ乗って」
「え…わわっ!?」
新しい友達の手を取って、コライドンにまたがる。リンゴ農園をあっという間に駆け抜けて、公民館まで一直線だ。
「よし、到着っ!」
「わ、わやじゃぁぁぁぁぁぁ…」
スグリが目をまわしてしまったので、コライドンでの近道はここまで。
なぜかキタカミに来ていたジニア先生とばったり会ったので(様子を見に来てくれたらしい)、ピクニックでひとやすみ。
「わやじゃ…見たことないポケモンっこがおる!」
「逆にパルデアでは見られないポケモンもいて、調査が捗りますよぅ〜」
「こっちのウパーって、身体青いんですね?」
「ええ、リージョンフォームと言いまして、異なる環境で生きるために姿やタイプを変えるポケモンもいるんですよ〜。ウパーについては、体色の青い方が原種だとされていますねぇ」
ちょっとした授業のようになってしまった。
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ジニア先生と別れて、改めてキタカミセンターを目指す。アップルヒルズより急な坂道と石造りの石段を上がっていくと、なんだか賑やかな雰囲気が近づいてきた。
「はぁ、ふぅ…ヒ、ヒイロ…きみ意外と足腰強いなぁ…」
「あはは…アカデミーにもすっごく長い階段あって毎日上り下りしてたからねぇ。それより、あれなに!?」
「…ふぅっ。あ、あれは祭りの準備…だよ」
キタカミの里ではオモテ祭りというのがあって、それがもうすぐ始まるらしい。立ち並んでいるのは屋台なのか…パルデアにあるのとは全然違うなぁ…
「ほら、看板はあっち…だ」
一息ついて落ち着いたスグリに案内され、キタカミセンターの奥へと進む。大きな社を通り過ぎた、日陰になったところにそれはあった。
「ちょっとわかりづらいとこ、あるよな」
たどり着いた看板の前で、ぼくの考えを見透かしたようにスグリが笑う。これは地元の子じゃないと場所分かりにくそうだ。他のペアは大丈夫かな?
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看板の内容は、鬼についての説明だった。
━━曰く、鬼は4つの仮面を持っていたとされる。かぶる仮面によって、振るう力が変わったそうだ。
小さな火種も一気に燃え上がらせる、赤い仮面。
激しくうねる川の流れすら変えたという、青い仮面。
硬い岩をも打ち砕く剛力をもたらす、灰色の仮面。
そして…枯れた植物すら蘇らせる、碧の仮面━━
看板に書かれた伝承によれば、4つのうち3つは、ともっこが奪い、鬼の力を削いだのだという…
「その仮面は、キタカミセンターに保管されてんだ」
スグリが補足する。普段は厳重にしまわれていて、オモテ祭りの期間中にご開帳して、誰でも見られるようになるんだとか。
「鬼がポケモンだとしたら…いや多分ポケモンなんだろうけど…その仮面は、ポケモンを強くするための“もちもの”…だったのかもね」
「ああ…炎タイプが強くなる、木炭みたいな?」
「そうそう。だったらともっこは、【どろぼう】攻撃とか使えたのかもね」
「いんや…案外【はたきおとす】使ってたりしてな?」
二人で鬼とともっこについて思いついたことを言い合って、ふふっと笑う。
「…おれ、やっぱり鬼さまのこと…好きだ」
ふと、スグリがぽつりとこぼす。
「村のみんなは怖がってっけどさ、3匹のともっこにも負けないくらい強いし…かっこいいし…。人間から仲間外れにされても、へっちゃらーって感じで…」
周りがともっこに親しみを持っているのと同じくらい…ひょっとしたらそれ以上に、スグリは鬼に対して強い憧れを抱いているらしかった。
「学園でもさ、ねーちゃんがおれのことなんでもしてくれるんだけど…」
「いいお姉さんなんだね」
「しょっちゅう怒ってっけどなー」
ちょっとだけ笑ってみせる。
「…でも、鬼さまみてーにひとりでもがんばれるように…がんばりたいんだ、おれ」
いつか一人前になって、そうしたら鬼さまと友達になりたい。スグリはそういって鼻の頭をかいた。
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本来の目的である、看板の写真を撮る。残るは1ヶ所だ。
「…あ、あのさ」
スマホロトムで写真をチェックしていると、袖を引っ張られる感触。
「よかったら、鬼さまの家…行ってみない?」
鬼の…家?
「ん…恐れ穴って…この先にあんだ」
スグリが言うには、看板のすぐそばにある階段から鬼が山…公民館から見えた大きな山だ…の登山コースになっていて、そこから地獄谷に向かうのが通常のルートなのだが、別の道を進むことで恐れ穴…鬼の棲み家と伝わるスポットに行けるらしい。結構近場なんだな…ちょっと興味ある、かも。
「ほんとか!よ、よかったぁ…ヒイロにも、見て…貰いたかったから…」
おれが案内すっから!とぼくの手を引いて、スグリが嬉しそうに駆け出した。
-つづく-
プレイした身としては、あっち行ってこっち行って…はちょっと面倒と思ったけど、まぁRPGってそーいうものだしねとw
モトトカゲと違ってコライドンミライドンはでかいから2ケツとかできそうなもんだけどなぁ…ダイパとかでたまにNPCが同行するシーンがあったし、オープンワールドスタイルでNPC連れだって歩くのも楽しそうなんだけど、難しいのかね?
…という若干の不満点を文章に落とし込みましたw
もっとスグリとイチャ…もとい、ユウジョウ!やりたいんすよーっ!