炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#キングオXギーツ】キングスゲーム:幕間~シュバルツ・リドー・ビヨンド~【クロスオーバー】

「…何をやっているのかしら、シバタ?」

背後から聞こえた女の声に、シバタと呼ばれた人影は小さくため息をついて録画中の撮影デバイスの電源を落とす。

「ああ、これはこれはオーナー殿。新たに始まったデザイアグランプリを盛り上げるために…オーディエンス向けの紹介動画をですねぇ、撮っていたところなんですよぉ…」
「はぁ…?」
「特に今回は、初めて実装されるバックルもいくつかありますからねぇ…それがどーいうものかを、オーディエンスには知っていただきたく…!」

シバタがオーナーと呼んだ女が冷ややかな視線を向けていることに気づき、咳ばらいを一つして居ずまいを正す。

「…で、進捗は?」
「…順調ですよ」

先ほどとはうってかわって落ち着いた口調で、シバタが報告する。

「すでに第一フェーズは完了し、すべてのプレイヤーが正式に参戦しております…この、【覇道ゲーム】にね」

チキューに存在する5つの王国。プレイヤーはそれぞれの国の王として君臨し、その国が有するあらゆる力を講じて惑星の覇権を奪い合う…それがこの覇道ゲームだ。

「それは結構。ですが…招かれざる客が入り込んではいないかしら?」

オーナーの冷たい双眸が向けられる。

「我々にとって目下の懸念事項は浮世英寿…仮面ライダーギーツの存在。異世界であればあの男の干渉から免れることができる聞いたからこそ、貴方のような道楽科学者をこちらに引き込んだというのに…」
「…お言葉ですがオーナー殿」

撮影機材を片付けながら、シバタが振り返った。

「相手は存在そのものがデウス・エクス・マキナ…下手を打てば盤上すべてをひっくり返されない神に等しい存在。それでなくとも、先だって神殺しコンビが起こした事件のせいで、連中も警戒度を上げていることでしょう」
「つまり…ここまでは想定内だと?」

オーナーの問いかけに、ゲームマスターは大きくうなづく。

「しかしいかな神でも、その力を十全に振るえるのは己の世界のみ…せいぜいが向こう側に通ずる穴を一つあけるのでいっぱいいっぱいでしょう…と仮説を立てておりました」

そしてそれは正しかった、とここまで一息に喋り倒し、シバタは満足気に口角を緩める。

「世界というものは、傷つけられれば元に戻ろうとする力が発生します。それは神による干渉でも同じ…私はこの頭脳と技術を以て、世界の修正力というものを促進させました…一度閉じてしまえば、神の御業を持ってしても、同じ場所に穴が開く保証はありません…したがって…」
「…簡潔に」

シバタの早口な長話を、早々に飽きたオーナーがあくびを噛み殺しながら止める。

「…つまり、私の技術力ちからでギーツは抑えております。計算上はこの異世界デザグラが終わるまでは留めておくことができるでしょう」
「結構」

オーナーがどこからともなく現れた安楽椅子に腰掛け、遠くを見るように目を細める。

「…とはいえ既に、何人かの仮面ライダーがあちら側に行っているようですが…それについては?」
「ご心配なく…歴戦の戦士といえどギーツが動けないなら有象無象…私自らセレクトしたプレイヤーであれば、難なく捻り上げられるでしょう。なぜなら…」

 

──彼らには、王たる力がありますので…

 

くつくつと笑いながら、シバタがフードを目深に被り丸みを帯びた顔を覆う。

「ふん…せいぜい滞りなくゲームを進めることね…ゲームマスター
「…ご随意に、オーナー殿」

そうつぶやいて、ゲームマスター・シバタはペストマスクのような仮面を被るのだった…

 

 

   -つづく-

 

 


…というわけで幕間と言う名の解説回。
及び黒幕のご披露回でもあります。黒幕の幕間劇(早口言葉
元々この幕間、番外編としてゲームマスターが新たなレイズバックルを動画形式で紹介する、という体で書こうとしたんですが、あんまりにも文章化できなさすぎて頓挫しましたw
文中序盤のやりとりはそのころの名残ですね。
せっかくなので動画ネタにしようとしてた時に作りかけたサムネ風画像を供養。うん、ボツにしてよかったやつ(

で、そのゲームマスター・シバタ。
こんなお名前ですが、ちゃんと「ギーツ」作中の名付けルールにのっとって命名しています。「(目を)しばたたかせる」ですねー。あんまり耳なじみは無いかもですが。
ちなみに、とある俳優さんをイメージして書いているのですが…多分気づかないと思いますんで言っちゃいますと、この方です↓。

ω・) on Twitter: "RT @yaiyu: プロ市民ゴローゲwwww #王様戦隊キングオージャー #キングオージャー #nitiasa"

↑「王様戦隊キングオージャー」にてやたら声のデカい一般市民・ゴローゲを演じていらっしゃいます、八木光太郎氏。
ギーツ原作のお歴々のゲームマスター諸氏と並べてもかなり異彩を放つんじゃあないでしょうか。一人だけマスク違うし。

端々でゴローゲっぽいムーヴ出したいなぁと思うんですが、果たして書き切れるか否か…
もう一人、オーナーと呼ばれる女性が登場していますが、現時点ではこれ以上の情報をお出しするつもりはありません。
謎を抱えて生きてください(何

さて、次回からいよいよ両陣営が本格的に交わりだします…!