仮面を奪っていったともっこを探し、潜伏しているとされる目的地に向かう途中…ぼくのお腹が鳴った。
「そういえば朝イチからバタバタしてたから何も食べてないわね…ちょっと休憩しよっか」
とゼイユが提案してきた。オーガポンのこともあるから早いとこ全部の仮面を取り戻すぞ!ご飯なんて食べてる場合じゃないわよ!とか言いそうだったのに…意外かも。
「あんたあたしのこと何だと思ってんの…あたしはねぇ、一緒に行動するあんたがお腹ペコペコで倒れちゃったらどうしようもないからそういってるだけd…」
その主張は、ゼイユのお腹の音に阻まれた。
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「みんな、出ておいで!」
ピクニックセットを広げて、手持ちの仲間たちをボールから一斉に呼び出す。コライドンはさっそくテーブルの上に顎を乗せて、サンドイッチの催促をしてくる。
「はいはい、ちょっと待ってね…ゼイユはなにか好き嫌いある?」
「ないわよー」
じゃあ、いつもので…いや、せっかく商店でキタカミの食材も買ったし…ちょっと試してみようかな?
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「…で、できあがったのがこれ、と」
「う、うん…」
お皿の上の惨状に、ゼイユが頭を抱えた。
「リンゴはともかくライスにトーフ…味付けはワサビソースってあんた…見た目だけならいいのがなんとも言えないわ…」
「あ、味だって悪くないよ!ほら、コライドンだって美味しそうに食べてるし!」
「…単にサンドイッチならなんでもいいんじゃないのその子…」
…否定できそうにない。
「しょーがないわねぇ…よし、ちょっと食材借りるわよ!」
ゼイユが袖をまくってバスケットを漁る。
「キタカミの食材使ってくれるのは嬉しいんだけどさ…もうちょっと使いようってのがあってね…?ほら、どう?」
「…わぁ」
ソースのついた指をちょこっと舐めながら、ゼイユがすごく美味しそうなサンドイッチを作ってくれた。
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「うわぁ、美味しい!」
「ふふっ…でしょ?食材には相性ってのがあんのよ」
ぼくの連れているポケモンたちも美味しそうに食べている。コライドンに至っては、さっき僕の作った分も平らげたあとだというのにおかわりを要求しているほどだ。
「ぽに…?」
オーガポンが、不思議なものを見るかのようにサンドイッチとにらめっこしている。
「あー、そっか。この子って山ぐらしが長いから、パンとか知らないんじゃない?」
ともっこと違って祀られることもなかったから、お供えものとかもなかっただろう。ひょっとしたらスグリが木の実を持っていくことくらいはあったかもしれないけれど。
「トーフ&ライスサンドならいけるかな…?キタカミのりんごスライスもあるし」
「ってしれっとあんたの作った失敗作すすめんじゃないわよ」
止められてしまったのでゼイユお手製のサンドイッチを少しちぎって、オーガポンの口元に近づけてみる。それとぼくの顔を交互に見て、匂いをくんくんと嗅いだあと、オーガポンはおそるおそるサンドイッチを口にした。
「お、食べた!」
「ぽーにっ!」
お気に召したらしい。まんまるな笑顔を見て、ゼイユが胸をなでおろしていた。
「じゃ、残りもあげるね」
そういってお皿を渡してみたら…あれ、食べない?
「ぽにおっ」
目を閉じて口を開けたままこちらを向いている。これって…
「ふふっ、あんたに食べさせてもらいたいんじゃない?」
はは、仕方ないなぁ…ほら、あーん。
「ぽに〜♪」
まだ食べる?じゃあ…あれ?
「かーにゃ」
オーガポンの隣で、マスカーニャも一緒になってあーん待機。
「ええと…これは…」
「あはは!あんたがオーガポンばっかり構うからヤキモチ妬いてんじゃない?」
「かにゃ!」
そうだ、といわんばかりにあーん待ちのまま頷く。
「図鑑で読んだけど、マスカーニャって嫉妬深いんだってねぇ?せいぜい刺されないよう気をつけなよ〜」
「はは…」
オーガポンたちの相手をしているうちに、自分も自分もと他の子たちが群がってきたので、ぼくはしばらく自分の食事もままならなかった。
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「ふぅっ、お腹いっぱい!ごちそうさま〜」
「はいはい、お粗末様っと」
おなじくお腹いっぱいになったポケモンたち…ぼくとスグリの手持ちだ…は、腹ごなしにとボール遊びに熱中している。
「ふーん…あの子達が、いまのあんたの手持ちか…ふっふっふ…今のうちに研究して弱点調べ尽くしてやろっと」
バスケットを片付けていたゼイユが怖いことを言う。前に負けたのが相当悔しかったらしい。
「そりゃねー。スグからも聞いてると思うけど、あたしらの通ってるブルーベリー学園はポケモンバトルに重きをおいてる校風なの。だからどいつもこいつも、1戦だって負けられないってやつらばっかりよ」
ちょっとげんなりした顔を一瞬見せた気がしたが、すぐにもとの強気な表情が戻ってくる。
「林間学校じゃ、あんまりバトルする機会ないかなーって思ってたけど、あんたがいるから腕が鈍ることはなさそーだわ」
くっくっと笑って見せる。なんかネモみたいだなぁ…
「ネモって、アカデミーのあんたの友達?」
「そうそう、この子」
「ふーん…結構かわいい系じゃない。仲いいの?」
「うん、まぁいいほうかな?」
顔合わせるたびにバトルしかけてくるけど。
「ふーん…へーぇ…」
ネモの写真とぼくを交互に見比べて、ゼイユの目がすっと細められる。…な、何?
「べっつにー…?」
いや別にって声色じゃないと思うんですが。
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草むらが気持ちいわよというゼイユに誘われて、二人で並んで腰かける。穏やかな青空に雲がいくつか流れていくのが見えた。
「今頃、スグリは何してるんだろう?」
「さぁねぇ…少なくとも、オーガポンのためになること…ではあるんだろうけど」
さすがの姉にも見当がつかないようだ。
「でもそのがんばりが…この子に伝わるといいわね」
「ぽに?」
ゼイユがそばにきていたオーガポンの頭をなでる。
「ぽにぃ…がお…」
「あら?」
なでられるままになっていたオーガポンが、そのままゼイユにもたれかかって寝息をたてはじめた。
「…この子も色々あったもんねぇ…ちょっと寝かしときましょうか」
「そうだね…」
身体を通り抜けていく風を浴びるように、伸びをする。と、ふわっと力が抜けて…ぼくも…眠気…が…
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「…あれ?」
「やっと起きたわね…ねぼすけ」
どうやら寝落ちしてしまっていたらしい。ぼやけた視界が少しずつはっきりすると…
「あんたも疲れてた?まぁ、オーガポンほどじゃないけどいろいろあったもんねぇ…」
ぼくを覗き込むようにしている、ゼイユの顔がそこにあった。
「ふふっ、寝顔可愛かったわよ?普段は生意気な顔してんのにさ」
あれ、この体制って…まさか…ひざ枕!?
「ご、ごめんっ!」
「あ、こら動くな」
ひざから転がり出ようとしたぼくの顔を、ゼイユが抑えて止める。いや、だって…
「あんたが動いたら他の子が起きちゃうでしょーが」
「え?」
ゼイユが指をさす方を見ると、ぼくの身体を枕代わりにエルダたちが昼寝の真っ最中であった。
「オーガポンもわたしの肩、枕にしてるからさ。もうちょっとこのままでいましょ」
「いいけど…重くない?」
「なんてことないわよ。イシツブテより軽いくらい」
「そっか…ってイシツブテ結構重いよね?そこまでじゃなくない!?」
ぼくの抗議にゼイユがケタケタと笑う。もー…
とりあえずみんなが起きだすまで、ぼくたちはしばしの休息をとることに。
「あんたも、もうちょっとだけ寝てていいわよ?」
「ん…じゃあ、お言葉に甘えて」
後ろ頭に感じる体温が再び眠気を誘い、見守ってくれているゼイユの顔が、まぶたに隠されていく。
ざぁっと吹いた風から、彼女の匂いがした。
-つづく-
主♂ゼイはいいぞ…主♂ゼイ流行れ…超流行れ…(挨拶
というわけでピクニックデート回でした(ただの欲望ダダ洩れ回ともいう←
本編差し置いてちょっと先行して書きはじめるくらいには欲望があふれ出てしまったもので…#などと供述しており
一枚目の画像で手持ちが写ってますが、それ以外は本編に登場したロビン(ヒノヤコマからファイアローへ進化済み)と現状未登場のドオー(ニックネームはいずれ本文で)がいます。活躍するタイミングあるかなぁ…💧
ついでに同行しているオーガポンも一緒にピクニックできないかなーと思ったんですが、ゲーム中ではやっぱりというか参加せず…(というか消えた)
残念だけどこれは手持ちに加わってからかなぁ…
あ、サンドイッチはどちらもちゃんとゲーム中で作りましたw
なにが凄いって劇中でヒイロくんが作った方(トーフ&ライスサンド)はこれでも星3つ出たし、ゼイユが作った方は(リンゴサラダサンド)は言わずもがな。まぁちゃんと乗ってれば文句はないのかねシステム的には…w