炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(17):林間学校4日目・さよならはいわないから!【#ネタバレ注意】

【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ゼロの秘宝」「碧の仮面」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。

問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。

 



 

 

 

 

 

 

 

翌朝…委員長からゼイユの伝言を受け取る。

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「なんで君たちは毎回僕を伝言係にするの!?」
「ははは…なんかごめん」

委員長に謝りつつともっこプラザに向かうと、ゼイユは崩れたともっこ像の跡地で待っていた。

「おはよ!」
「うん、おはよう」
「いやー、昨日はあんた凄かったわね。ともっこブッ飛ばしたり、オーガポンとの力比べもさ!」

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本当に濃い一日だったな…こんなに密度のある日を過ごしたのは、アカデミーに入った日以来かも。

「そう?まぁ、キタカミの里を満喫してもらえたならよかった。けど…」

お面取り戻し隊はこれでお役御免かな?とゼイユがつぶやく。そういえば、スグリは?

「ああ、あの子は…あれからずっと部屋にこもりっきり」

 

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スグリ…この子のこと、大事にするからね』
『…うん』

昨日、オーガポンをゲットした後…

『おれさ…』
『…うん?』

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ヒイロ、みたいに…なりたかった…っ!』

そう言ったきり、スグリは恐れ穴から逃げるように走り去ってしまっていた…

 

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「心配…だね」
「…あんたが気に病む必要はないわよ。もとはといえばあたしがオーガポンのこと秘密にしよって言ったのが始まりだし。昨日のことだって、勝った方がーって自分で言ったのよあの子?」

プライドばっかり高いんだから…とゼイユが唇を尖らせた。

「そういえば…ぽにこ、元気?」
「うん、元気だよ…出ておいで!」

ボールから呼び出してお目見えさせる。ぽにこっていうのは、ゼイユがオーガポンにつけたニックネームだ。ちょっと安直のような気がしないでもないけれど、可愛いからいいかな。

「ぽにー!」
「おー!昨日ぶりー!ふふっ、やっぱかわいいわね」

ぎゅっと抱きしめて頭を撫でまわす。…なんか、いいなぁ…

「…なに?うらやましいの?」
「そ、そんなことないよっ!?」

にへへと笑うゼイユに目をそらした。

 

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そのあと、ぽにこを交えてバトルをやったり(というかそれが主目的だったみたい)、この3日間の思い出を話したりした。

「まったく…短い間にあっという間に強くなっちゃって…男の子ってみんなそうなの?スグだって、昨日のバトルすごかったもんねぇ…」
「うん、ほんとに本気出さなかったら危なかったかも」
「ほーんと、すっごく楽しい林間学校だったなー…」

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ゼイユの言葉の端々が、なんだか寂しげに聞こえる。…なにかあった?

「…あんたには隠し事できないわね」

視線を下に落として、小さく笑う。

「実はさ、ちょっと言いにくいんだけど…」

次の言葉が続く前に、スマホロトムが鳴った。

 

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「さて、これで全員…ではないが、メンバーは揃ったね」

今回の課題であるオリエンテーリングをすべてのペアがクリアしたということで、公民館前にみんなが集まった。…スグリをのぞいて、だけど。

「いやぁ、皆さん本当に優秀で!当初の予定より早くみんなクリアしてしまいましてねぇ…まだ林間学校の終了までは期間がありますので、アカデミーのみなさんはご自由にキタカミにご滞在ください」

管理人さんの言葉に引っかかるものがあった。アカデミー組ぼくたち…だけ?

「それがね…諸事情で申し訳ないのだけれど、私たちブルーベリー組は一足先に戻らなくてはならなくなってね」

ブライア先生曰く、パルデアの大穴関連でなにかしら進展があり、その関係で急遽学園に戻らなければならず、必然的に引率をされているゼイユたちも帰ることになったのだという。それだとぼくたちも帰らないといけなさそうだが、残りの期間中は管理人さんが引き継いでくれるらしい。もちろん、必要があれば別途パルデアに戻ることも可能だそうだ。

「さて、最後に…」

ぼくたちに話があるということで、ゼイユがブライア先生に促されて一歩前に出た。

「…ええと、知っての通りあたしと弟はこの村の出身です。実はあたし…あんたたちよそ者がこの村に来るの、嫌でした!」

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衝撃の発言に、驚くアカデミーのみんな。…まぁ、ぼくはもう知ってたんだけども。

「えー、ヒイロがなんか言いたそうな顔してるけど…つづけます」

自分が生まれ過ごしてきた大切な場所に、土足で入ってこられる気がしたのが気に障った…と彼女は言う。

「けど、一緒に過ごしてみると…ぜんぜんそんなことはなくって…食わず嫌い、よくないなって」

最後に、楽しかったこと。ぼくたちがこの村に来たことに感謝を告げて…ゼイユは荷造りのために一足先に家に戻るのだった。

 

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「…って、あんたねぇ…感動のお別れのシーンのあとにしれっとウチこないでよ…」
「いや、だって最後に手招きしてたじゃない…」
「ぽに?」

みんなでオモテ祭りに行こう!というアカデミー組から離れて、ぼくとぽにこはゼイユの家に来ていた。公民館でのミーティングでは体調不良だとかで来ていなかったスグリの様子も見たかったしね。

「まぁ、来て欲しかったのは、本当…じーちゃんが呼べって言ってたし」
「なぁんだ」
「なによ?あたしの呼びだしになーに期待してたわけ?」

し、してません…とは言わないけど。

「おお、いらっしゃいヒイロくん」

おじいさんから、もう着ないからとゼイユたちのお下がりのじんべえをお土産に受け取る。おばあさんからもまた遊びに来てほしいと言われて、もちろんと頷いた。

 

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「おじいさん、スグリの部屋、どこですか?」
「二階の奥じゃが…今行っても入れてはくれんとおもうぞ?」

ぼくもそう思うので、外側からギリギリまで近づいて…大きく息を吸う。

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スグリー!!!」

散歩していた村の人がびっくりしてこちらを見た。

「ええと…その…あのね…!」

声をかけたのはいいけれど、何を言うべきか土壇場で迷う。…ええい!

「ぼくさ!きみと友達になれて良かった!」

カーテンの閉め切られた窓からは、当然のように反応は無い。でもぼくは構わず叫ぶ。

「また、一緒に遊ぼう!うちのアカデミーとブルーベリー学園…姉妹校だっていうし、また会えると思うからさ!そしたら、きみがキタカミを案内してくれたみたいに、パルデアの案内もするよ!ぼくも引っ越したばっかりだから、あんまり詳しくないけど…次に会うまでに、いっぱい旅して勉強しとくから!」

林間学校で一緒だった思い出がよぎる。たった3日間で、ぼくたちの関係はめまぐるしく変わった気がするけど…それでも、友達だってことに変わりはないはずだから。

「それから…それから!また、いっしょにバトルしよう!今度は、ダブルバトルもいいよね!ぼくとスグリが組んだら、ともっこみたいな強いポケモンだって、きっと立ち向かえるよ!それと…あと…!」

言葉がつまる。まだ何か、言わなきゃいけないことがあるはずなのに…

「…ありがと、ヒイロ

すっと、後ろからゼイユがぼくを抱きしめた。

「スグのこと、いっぱいいっぱい考えてくれて。あいつもきっと、友達冥利に尽きると思ってるわよ。だから…」

 ━━もう泣かないの。

そう言われて初めて、ぼくは自分の頬に涙が伝っていることに気が付いた。

「…泣いてないよ」
「うそ、泣いてる。泣き虫ヒイロ~」
「な、泣き虫じゃないよ!」
「涙声になってるわよ?」

ゼイユの指がぼくの目元をぬぐう。ぼくはごまかすように鼻をすすって、なんだか恥ずかしくなって目をそらした。

「…本当に、ありがとうね」

そんなぼくの顔を、ゼイユは覗き込むように見て…

「キタカミに来てくれたのが、あんたでよかった」

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これまでに見た中で一番の笑顔で、そう言ってくれた。

 

 

   -ぼくの冒険レポート:林間学校編…おしまい-

 

   -冒険は…まだまだ、つづく!-

 

 


というわけで、DLC「ゼロの秘宝」前編「碧の仮面」完!
ゲームの方、ラストはちょっと不穏?なスグリで終わりましたが、はたして後編はどうなることやら…冬まで待たなきゃなのと、ぼくの場合まだ本編がまったく進んでないのでそれもしなきゃです💧

一方、こちらの文章ではラストシーン大幅アレンジしてお送りしました。きっとフラグは立っているハズ…立ってて…(切実

さて、次回以降はちょっとしたインターミッション的なエピソードをはさんで、本編の進行を開始!多分セオリー通りの回り方をすると思うので、目新しさは無いと思いますが、その辺はどうかご容赦をば。

スグリはともかく、ゼイユは何らかの形で「藍の円盤」までの間にも出番を設けられればなーと。さすがにパルデアに直接出張るとややこしいことになること請け合いなので、スマホロトム越しがせいぜいだと思いますが。主ゼイを摂取しないとぼく〇んじゃうので… #などと供述しており

ここまで読んでくださった方々、どうぞ今後ともお付き合いくださいませ。