【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ゼロの秘宝」「碧の仮面」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。
問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。
↓
↓
↓
戦いが終わり、力が抜けたのかぺたんと尻もちをついてしまったスグリの肩を、ゼイユがいたわるように抱きしめた。
「お疲れ様、スグ」
「ねーちゃん…」
そのまま身体をあずける弟を見届けて、今度はぼくに視線を向ける。
「オーガポンのこと…ちゃんと捕まえてあげなきゃね」
「…うん」
野生のポケモンをそのまま連れていくことはできない。たとえ自らがそう望んだとしても。
「ぽにおーっ!」
「はは…きみもやる気マンマンか。じゃあ…試してくれる?ぼくがきみを連れていくのに…ふさわしいかどうか!」
「ぽに!」
…さぁ、力比べだ!
・
・
・
ぼくと対峙するオーガポンは、まず紅いお面を纏った。と、同時にお面はまばゆい光を放つ。この輝きは…テラスタルと同じ…!?
「お面をテラスタルさせちゃった!これが、オーガポンの本当の力…!?」
驚くゼイユ。仮面には、てらす池の結晶の欠片があしらわれている。それが不思議な力を生んだのかもしれない。
「ともかく…やることは変わらない。力比べの相手は…君に決めたよ、マスカーニャ!」
ひらりとボールから着地して、エルダが見栄を切る。
「紅いお面…竃の面は炎を司る力!伝承通りなら、今のオーガポンはほのおタイプになっているはず…エルダ、ここは“パワージェム”を!」
「かぁぁぁ…にゃっ!」
光を操るエルダの力が、宙に輝きを解き放つ。閃光が、仮面のテラスタルを打ち砕いた。
「がおっ!?」
砕けたお面のテラスタルの破片があたりに散らばる。
「…ねぇ、砕けたテラスタルを見て!なにか…見えない?」
「あれは…オーガポンと…ヒイロ?」
姉弟の指摘に、改めて飛び散る破片を見る。そこには鏡のように…ぼくとオーガポンが、このキタカミの里を歩いている風景だった。これはオーガポンの…思い出…?
「ぽにお!」
オーガポンの声にはっとなる。そうだ、まだ力比べは終わっていない。改めて彼女に向き直ると、今度は青色の仮面を身にまとうのだった。
・
・
・
ひとつ、ふたつ、お面のテラスタルが砕けるたびに、飛び散る破片が煌めいて、思い出をぼくたちに追体験させる。
それは、はじめて出会った日の思い出。あるいは、みんなでともっこを追ってお面を取り戻した時の思い出。そして…
「なあ、あれ…オーガポンの隣にいるの…ヒイロじゃ…ない、よな?」
スグリの声に目を凝らす。オーガポンの視線は、ぼくを見上げていた時よりもっと上。あきらかに大人の男の人だというのは見て取れた。もしかして…
「昔オーガポンと一緒に、異国からキタカミの里に来てたっていう…?」
記憶の中のオーガポンが彼の顔を見上げ、楽しそうに嬉しそうに笑う。当の男は、お祭り中だったのかお面をかぶっていて、どんな表情をしているかはうかがえなかったけれど…きっと優しい顔をしていたんだろう。
「…ぽに」
オーガポンが最後のお面…碧の仮面をかぶる。素顔が隠れる寸前、その表情は…泣いているようにも見えた。
「ヒイロ!まだまだ捕まえらんないよ!あと少し!力を見せつけてやんなさい!」
ゼイユの檄が飛ぶ。
「わかってる!エルダ、テラスタルだ!」
「にゃまーっ!」
オーガポン…きみの思い出を見せてくれて、ありがとう。これからは…ぼくや、ぼくの友達が一緒に思い出を作るから…!!!
「エルダぁっ!これで決めるよ…"トリックフラワー"ッ!!!」
輝きの力を伴ったエルダの切り札が、碧の仮面を打ち砕いた。
・
・
・
「が、がお…」
全ての力を使い果たし、オーガポンはふらふらと座り込む。
「どうかな?ぼくは…きみの隣にいるのに、ふさわしいかい?」
「ぽに…おっ!」
ふわっと笑うオーガポンに、ぼくはモンスターボールを向ける。その起動スイッチに、彼女はみずから触れて…
-つづく-
オーガポン戦のメッセージがいちいち泣かせてくるんでなかなか進まず苦労しました(ぇ
まぁその分文章への落とし込みに力入れさせてもらいましたけどね!(ゲームしろ
折角なので特別なボールに入れたいという思いもあったんですが、手持ちによさげなボールもないし、消去法でプレミアボールへ。ゴージャスやラブラブボールはちょっとアレすぎるし、フレンドボールは本編進まないと手に入らないので…💧
というわけで、長かった3日目もようやく終わり。まさかパート9までやる羽目になるとは。
次回はいよいよラスト…になるかなコレ?