炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(15):林間学校3日目⑧・鬼との和解と、友との決戦【#ネタバレ注意】

【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ゼロの秘宝」「碧の仮面」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。

問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。

 



 

 

 

 

 

「エルダ、つじぎり!」
「マッ!?」

ゼイユのグラエナが繰り出すかみつきと同時に、鋭い斬撃が衝撃を生んで水面を揺らす。倒れたマシマシラはそのままほうほうのていで逃げ去ってしまった。

「…って、随分とあっさりしてるわねぇ」
「まぁ、もう弱点割れてたし。同じようなこと3度もやるのは…ねえ?」
「…急にメタぶっこんでくるんじゃないわよ」

ともかく、マシマシラが隠し持っていた3枚目のお面も無事回収する。

「これは青いお面…水の力を帯びた、【いどのめん】ね!」
「ぽにおー!」

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これで伝承にうたわれた4枚のお面が全て戻ったことになる。良かったね、オーガポン!

 

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「おーい!」

オーガポンを鬼が山へ送り届けようと支度をしていると、スグリがやってきた。

「どうしたのスグ、こんなとこまで?」
「えっとな…お願いがあって…鬼さまを連れて、村まで来てほしいんだ」

彼の申し出は意外なものだった。でも、村の人たちは…

「おれを信じて…きっと、大丈夫だから!」
「…信じましょ、スグを」

ゼイユがスグリの肩に手を置く。

「こんないい目してるスグ、久しぶりに見た。とりあえず行ってみましょ」
「うん、二人がそういうなら」

ぼくたちは揃ってスイリョクタウンに向かうことにした。

 

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村に戻ったぼくたちを出迎えたのは、予想外の出来事だった。

「鬼が山の鬼…いえ、オーガポンさま!」

管理人のおじさんをはじめとした村の人たちが、本当の伝承…歴史を知り、オーガポンに謝ったのだ。

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スグリがね、村中走り回って本当の歴史を伝えて回ったんだよ」

と、おじいさんが教えてくれた。
かつて、スグリの先祖でさえ反感を買ってしまったがゆえに黙らざるをえなかった。それでもスグリは、大好きな鬼さまのために何かしようと頑張ったのだ。

「すごいねスグリ!歴史変えちゃったよ!」
「やるじゃん、口下手のくせに」

ぼくとゼイユにはさまれて、スグリが照れ笑いを浮かべる。

「これからは顔隠さなくても、自由に村さ遊びに来ていいからね!」
「…ぽにお!」

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今までずっと怖がっていた村人たちの前で、オーガポンが花のように笑った。

 

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「良かったねオーガポン。ちゃんと3つの面、正式に返してもらってさ。普段からじーちゃんがメンテしてたから、こっちも新品同様よ!」

管理人さんから持って帰ってくださいと言われ、オーガポンはいとおしそうに4つの面を抱いて帰路についていた。

「この子と村人の誤解も解けたし、本当によかったよ。スグリのおかげだね」
「そ、そんなこと…そったらお面取り戻したヒイロもすっごいべ!ねーちゃんから聞いたけど、ともっこすっげーデカくなってたんだろ?」

やっぱりヒイロは特別なんだ。とスグリが小さくつぶやく。

「特別なんかじゃないよ。ぼくはやれることをやっただけだし、ぼくが特別だって言うなら、スグリだって特別だよ?」

もしぼくとスグリが逆のことをしていても、きっと僕では村人たちを説得することはできなかっただろう。あるいはゼイユがやったとしても。

「…どーゆー意味!?」
「あはは…」

怒り出すゼイユに、みんなが笑った。

 

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キタカミセンターから鬼が山に入り、いよいよぼくたちはオーガポンのねぐら…恐れ穴に到着する。

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「ぽにお!」

ようやくの帰宅に、オーガポンもご機嫌なようだ。とりあえず一安心かな?

「ちょっと寂しいけど…これからはいつでも遊びに来ていいからね!」

まぁあたしらはもうすぐ学園に戻っちゃうんだけど…とゼイユが寂しげにこぼす。それはぼくも同じだ。

「…じゃあ、元気でね」

そう言って手を振ると、オーガポンが振り返る。

「ぽにー!」

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そのままぼくに駆け寄ってくる。はは、名残惜しいのかな?

「ねぇ、ひょっとしてオーガポンってさ…」

その様子を見て、ゼイユが何かに気づいたらしい。

「…あんたと一緒に行きたいんじゃない?ヒイロ
「ぼくと…?」

オーガポンに視線を向けると、そうだ!と言わんばかりに大きく頷く。

「で、でもぼくここの人間じゃないし、そのうちパルデアに帰らなきゃだし…」
「いいじゃない!連れてってあげなよ。ずーっとひとりで寂しかったんだよこの子?またひとりにするなんて…かわいそうよ」

伝承通りであれば、オーガポンは一人の男といっしょに外の国から来たらしい。しかし彼は、ともっこと呼ばれるポケモンによって…
それからこの子は、その出来事が伝承として語り継がれるまでの年月を、たったひとりで過ごしてきた。もう村人たちとの間にわだかまりはないだろうけれど…

「そっか。じゃあ…」
「…待ってよ!!」

一緒に来る?と言いかけたぼくを、鋭い声が止めた。…スグリだ。

「それならおれも…おれだって…鬼さまと…オーガポンと一緒がいい!」
「スグ…」
「ワガママさ言ってるのは、自分でもわかってる。だから…ヒイロ!」

 

 ━━どっちがオーガポンさ捕まえるか、勝負で決めさせて…ほしい!

 

「…あのさ、スグ」

山全体に響くんじゃないかってほどの声を張り上げたスグリに対して、ゼイユが静かに話しかける。

「オーガポンのこと大好きなあんたの気持ち、すっごく…すっごくわかるけど!…この子の気持ちも…考えなよ」
「…それでも」

絞り出すように、スグリが呟く。

「…いいよ」
ヒイロ!?あんた…」
「…ろう、スグリ

つらそうな表情をみせるゼイユに首を振って、ぼくはスグリに向き直る。

「…ぽに?」

よくわかっていないのか、オーガポンが首を傾げた。

 

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「んだば、はじめよう」

勝った方がオーガポンの相棒になる。この戦いは、本気でかからないと…勝てない!

「出てこい、ダーテング!」
「頼りにしてるよ…マスカーニャエルダ!」

相手はエルダと同じ…【くさ】と【あく】タイプの混合型…エルダで弱点は突けないけど…これなら!

「エルダ、"パワージェム"…放て!」
「かにゃ!」
「いわタイプの技!? こらえろ、ダーテング!」

パワージェムの連射でどうにか押し切る。さぁ、次はだれを出す…?ダーテングは今まで使ってこなかった子だ、これまでの戦いからは推測が難しいかも…

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「この強さ…ヒイロの方がふさわしいってわかってる…けど!おれだって…!」

 

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立ちはだかるダイノーズを、マイティパーモットの拳が粉砕し、スグリの手持ちは…あと1体。

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「まだ、負けてない!もう…負けたくない!」

瞳を涙でにじませながら、スグリは最後のモンスターボールに手を伸ばす。

「食らいつけ、カミッチュ!!!」
「出番だ、ぴろ!」

最後に繰り出したポケモンは、スグリの切り札。一方ぼくが呼んだのは…

オオタチ!? こんなとこで出すポケモンっこじゃないだろ!本気でこいって言ったべ、ヒイロ!」
「弱いから?君が今の手持ちから外したのも、そうだから?」
「…!?」

前はよく可愛がっていたハズのオオタチは、いつしかスグリの手持ちからいなくなっていた。その真意は彼にしかわからないけれど…

「特別な人間なんていないよ…特別なポケモンだって。ぼくがこいつで…証明するから!」

ぼくの視線とシンクロするように、ぴろの視線がカミッチュを射貫く。

「な、なめんな!ドラゴンを2体!その身に宿したカミッチュは…負けねえ! 絡めとって圧し潰せ!"みずあめボム"!!」
「これで決める!ぴろ…"れいとうパンチ"!!!」
「たぁぁぁぁっ…ちぃ!」

 

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手札をすべて使い切り、スグリが力なくひざを折る。

「…わかってた、負けるって」

でも諦めきれなかった。と地面を殴りつけるスグリ。しばらくしてゆっくりと立ち上がったその表情は、悲しげなものだったけれど。

「…ごめんな」

ぼくこそ、と言いそうになって口を閉じる。きっとその言葉は、彼に向けちゃいけない。

「…本気、出してくれてありがとな。おれの本気…どうだった?」
「…うん、強かった」
「…そっか」

そう言って、スグリはようやく表情を緩めてくれた。

 

 

   -つづく-

 

 


マシマシラのバトルはキンクリしました。ゼイユがあくポケを先鋒で使ってくるのもあって、多分一番難易度低いんでしょうねー。2回も戦ってるんでまぁいいかなと。メタ発言はあんまりさせたくない派ですが、今回はちょっとギャグテイストに。相手サルですし(どういうことなの…

本作の伝説枠・オーガポンのゲットはまぁシリーズを通しても想像のつく展開でしたが、そこへインターセプト入ってくるのはちょっと想定外でした。クリスタル(HGSS)でスイクンを追っていたミナキという前例のようなものはありましたが、あっちは特にわだかまりなく(バトルはあったにせよ)譲ってくれましたしね。

あとから調べたんですが、本編クリア後で挑むとかなりの道具込みでレベル70台ぶっこんでくるみたいっすね…いやクリア前でよかったわ…💧

さて次回、オーガポンゲットなるかな…?