【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ゼロの秘宝」「碧の仮面」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。
問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。
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「…ふふっ」
「どうしたの、ゼイユ?」
次の目的地…キチキギスがいるであろうを目指し、コライドンを走らせていたぼくの後ろで、ふとゼイユが含み笑いを浮かべた。
「んー?いや、てらす池のときも思ったけどさ。あたしとあんたって意外と相性いいのかなって」
「相性…?」
た、確かにダブルバトルの時はうまく連携で来てたと思うけど…あ、相性って、そんな…!
「…なに想像してんのよあんた?」
「ふえっ!?な、なにも!?」
「耳、真っ赤になってるわよ…?なんかヘンな勘違いしてんじゃないでしょーねー?」
うりゃ!とゼイユがつかまっていたぼくの腰から手を放し、羽交い絞めにする。
「ちょっ、ゼイユ!?いまライド中だから…っ!」
「なーに想像したのかな…?こーの、むっつりスケベめ~っ!」
「わー!わー!ゼイユくっつきすぎ!なんか!いろいろ!当たってる…から!?」
慌ててコライドンを止める。
「あ、あれ…や、やりすぎたかな…ごめん…」
しばらく動けそうになかった。
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鬼が山の山頂エリア…地獄谷を過ぎた先に、鬼角峡谷という場所がある。ゼイユ曰く、鬼が山の「角」にあたる部分らしい。
「うわぁ…高い…」
「あんまり下見ないほうがいいわよ」
岩肌に備え付けられた梯子を下りていくと、うっすら大きな影が見えてきた。
「あれがキチキギスか…マシマシラみたく大きくなってるわね…」
「気づかれる前に、あいつのタイプを推理しよう。ええと…」
━━曰く、運勢アップのご利益があるらしいキチキギスは、他のともっこと同じく元は違うポケモンだったとされる。
「なになに…『羽は短く、色もくすんでいたそのポケモンは、何よりも美しさを欲した。あるとき、妖しく輝く鎖を身にまとい…秀麗なる容姿を手に入れたそのポケモンはいつしか、"きぎす様"と呼ばれるようになったという…』か」
ゼイユが引き継いで資料を読み上げる。鎖の力で美しくなった、か…この記述だけだと判断に困るなぁ…
「簡単じゃないこんなの」
「そう?」
「だってあいつ、どう見たってとりポケモンでしょーが。【ひこう】一択よ!」
ずびし!っと人差し指をつきつけられる。まぁ、あながち間違いじゃあないとは思うけど…
「なによ?あたしの推理にケチ付ける気?ナマイキ!」
「いや、可能性は高いと思うよ。羽が短かったっていう伝承通りなら、もとは飛べない…つまり元々ひこうタイプじゃなく、鎖の力で飛べるようになったっていう推測もあり得るし」
取れる対策は…取ってみるかな?
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追いかけていたら、気づかれてしまって洞窟の中に逃げ込まれてしまった。
「デカくなってもビビりなのかしらね?とっとと追い込むわよ!ほらコライドン、ゴー!」
いつの間にか相棒を顎で使うようになっていた。
「ちょっ、待って待って!」
慌てて追いかけて飛び乗る。洞窟に入り込むと同時に、妙な寒気が身体を包んだ。なにここ!?
「ひやみずの洞窟っていってね。山にたまった雨水が洞窟を削りながら通って行って、てらす池に流れ込むの。本当の意味での、キタカミの水源ね」
なるほど、このひんやり感は地下水のせいか。これが山から川や池に向かって流れていくんだね…
「ゼイユは平気?寒くない?」
「これくらいなら平気よ。ありがとね」
アカデミー指定のベストを着こんで寒さに備える。【こおり】タイプのポケモンが多く生息しているくらいには寒いんだけど…まぁゼイユが着てるの冬服っぽいし大丈夫かな?
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「みつけた!」
洞窟を抜けた先で、キチキギスの巨体が待ち構えていた。
「さーて…ナルシストの鼻っ柱へし折るわよヒイロ!行きなモルペコ!」
「わかった…行こう、ギャラドス!」
ぼくとゼイユがそれぞれパートナーを呼んで、バトル態勢をとる。まずは様子見か…
「ミズチ、こおりのキバ!」
「モルペコ、でんきショック!」
どっちの技もひこうタイプにはバツグンのハズ…どくタイプとも競合しないから、そのまま通れば…!
「キッチキチーッ!」
「うそでしょ…あんま効いてない?」
「いや、今一つではないっぽいけど…ひこうタイプじゃないのか?」
「何よそれ!?サギじゃないの!いや、キギスだけど!」
キチキギスのマジカルシャイン!モルペコが倒されてしまった。
「あんにゃろ…!戻ってモルペコ!」
変わってグラエナが前線に立つ。
「今使ったのはフェアリータイプの技か…!だったら…戻って、ミズチ!」
「どうすんの?」
「この子にまかせる…出番だよ、ドオー!」
メインで使ってくるのがフェアリー技なら、【どく】と【じめん】の複合のドオーなら耐えられる。それに、ひこうタイプじゃないなら…
「フルシティ、マッドショットだ!」
「ギチギチーッ!?」
よし!弱点にあたったぞ!今のぼくの手持ちにはフェアリーに対抗できる技は無いし、今はフルシティが頼りだ。
「やるじゃないヒイロ!さすがあたしの舎て…ううん、友達ね!」
いつの間にか舎弟から昇格で来ていたらしい。それがなんだかうれしくなって、ぼくはテラスタルオーブを掲げた。
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ゼイユ曰く、キタカミには"毒をもって毒を制す"という言葉があるらしい。
「というわけで…フルシティ、どくづき!」
テラスタルでどくのパワーを高めた渾身のトゲがキチキギスにぶちあたり、大ダメージを与える。
「へへーんだ!キレイな顔でも、あたしの前ではカタナシね!」
おととい来やがれってのよ!というゼイユの声に押されるように、どこへともなく逃げ去っていくキチキギス。身体も元の大きさ?に戻ったし、しばらくはこれで悪さもしないだろう。あいつがいた場所を調べると、イイネイヌの時と同じくお面が落ちていた。
「赤い面ね。ええと確か…炎を司る、【かまどのめん】!」
順調に二つ目を取り返すことができた。あとは一つだ。
「やったわねヒイロ!オーガポン!」
「ぽにおーっ!」
本当にうれしそうに、赤いお面をつけて踊りだす。
「…ふふっ。あんたとなら、どんな敵でもへっちゃらって感じ!」
「うん、ぼくもゼイユと一緒なら負ける気がしないよ!」
「えっ…?」
そう返されるのが予想外だったのか、ゼイユが目を見開いて僕を見た。なんか…顔、赤い?
「そ…そーよね!ラストともっこも、力を合わせてとっちめるわよ!」
ジャイロボールみたいに回って、ぼくに背中を向けながらこぶしを突き上げるゼイユに、ぼくとオーガポンは顔を見合わせて首を傾げるのだった。
-つづく-
続く2戦目はキチキギス。まさか移動されるとは思いませんでしたがwまあいいや。
タイプ2がフェアリーとか…これ初見で見抜けた人おるぅ…?いや、多分ひこうはミスリードなんだろうなとぼんやり考えてはいましたし、イイネイヌと違ってしっかりフェアリー技出してきただけマシな方なんですよね。どっちにしろフェアリー特攻のはがね技は手持ちにナシ、どくはタイプ1なので特攻になりえず…いや結局マッドショットもそこまで強くないんでどくづきがメイン化したんですがw
というわけでお目見えした手持ち5体目はフルシティことドオー。いや、なんかコーヒー豆ぽくてw
なんか風のうわさで聞いたんですがこの子がいたらでんきジム完封できるらしいっすね?
あと、まだ本文中には1体出番がない子がいますが…まぁそれはいずれ。以前のピクニックデート回で画像には出てますんで、しばしお待ちを。