炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(21):スターダスト★ストリート①~カチコミバトルだ!VSあく組【リプレイ風】

ヌシのオトシドリが居座っていた岩山から、西1番エリアを北上していくと、不意にスマホロトムが鳴った。

『…カシオペアだ』

相変わらず、男なのか女なのか判別しがたい声色の主がスピーカーを震わせる。

『スター団のアジトが近いな…ということは、協力してくれる…と解釈してもいいのかな?』
「…うん」
『ありがとう…これであなたも同志…スターダスト大作戦を決行するメンバーだ』

スター団そのものに思い入れはないけれど、あんまりいい噂を聞かないのは入学してから課外授業が始まるまでの数日間でもわかっていたし。放っておいてもいいことにならなさそうとは思っている。かといって、学校の不良相手に、ぼくが何をできるか…という話ではあるんだけど。

 

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カシオペアの指示のもと、ゲートを守っていたしたっぱを追い払う。どうやらいつのまにかカシオペアにぼくの名前でスター団にケンカを売った…ということにされているらしく、ぼくの名前と顔は全員に知れ渡っていた。いや、怖いんだけど。

『案ずるな。やつらはアジト以外ではちょっかいを出さないさ』

カシオペアはフォローを入れてくれたけど…ホントかなぁ?

「信じるしかあるめぇよ。とにかくヒイロは、やれることをやる。そして俺は…あんたのサポートだ。まぁ任せてくれよ

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そう言ってぼくの隣に立つ、初老の学生の名前はネルケ…ここに来る直前に協力を申し出た人だ。

「…お、お願いしますねこうちょ…じゃなくてネルケさん」
「おいおい、さん付けなんてよそよそしい!俺とお前の仲じゃあねーか。呼び捨てでかまわねーよ!」

カカカと笑って背中をたたく。…いやあなたどう見ても…まあいいや。この人もスター団に何かしら思うところがあるんだろうし、邪魔するのもヤボってものだ。

『さぁ、準備ができたらゲートを開けたまえ』

カシオペアに促され、ぼくはアジトのゲートに手をかけた。

 

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アジトには多数のスター団団員が潜伏していた。

「レッツゴー!Rボタン!」

珍妙な合言葉とともに、したっぱたちがポケモンを繰り出してくる。まずは彼らをおとなしくさせるのが第一段階…とカシオペアは言う。

「じゃあぼくも…レッツゴー!エルダ、ウズメ、カナヤマヒメナカヌチャン!」

ボールを放り投げて、カチコミ開始!

 

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アジトの奥で、爆音が響く。最後の一匹を蹴散らしたところで、巨大なトラックが出現した。その上に…人影?

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「ド派手にやってくるじゃん!侵入者ことヒイロくん!」
「おいでなすったな…彼がスター団・あく組【チーム・セギン】のリーダー…ピーニャだ!」

ネルケが教えてくれた。

「来て早々悪いけどねぇ…ここで潰れてもらうよ! カモン、コマタナ!パーティタイムだ!」

ピーニャが流す音楽が、早回しになった。

 

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「フン、スター団にケンカ売るだけはあるってことか。なかなかやるじゃあないか」

ピーニャがノートPC越しに音楽を回しながら言う。

「まぁ、さわりはOKってことで…トバしていくよ、侵入者! …ブロロローム!アゲていこうか!」

新手のポケモン!…あれ、でもピーニャはボールを投げてないよね…?

 

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  ━━ブロロロローッ!

 

ピーニャが乗っていたマシンが吠え猛る。…えっ、この車が…ポケモンなの!?

「よく見なヒイロ!車体の前面…エンジン部に擬態しているのがブロロローム…本体だ!」
「えっ!?あ、ほんとだ!ポケモンいた!」
「どういう理屈かはしらねえが、本来はがねタイプなのが、あくタイプになっている。気を付けろ!」

ネルケの説明でとりあえず狙いを定めることはできそう。あくタイプになってるなら…

「頼むよ、ウズメコジョフー!」
「ホアッ!チャー!」
「有利な相性で勝負しに来たつもりだろうが…サイズ差までは埋められまい!蹂躙しろ、スターモビル!」

巨大なエンジン部が襲い掛かる。身軽なウズメを、その圧倒的なパワーとスピードで捉えた。

「おっと残念、仕留め損ねたか…でももう虫の息!次のターンで決めてやるぜ!」
「…次のターンは、来ないよ!」
「何?」

ウズメが呼吸を整え、鋭い爪を相手に向ける。

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「行くよテラスタル!そして…"きしかいせい"!!!」

 

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「まぁ、こんなもんかな…やれることは…充分やったよねぇ…」

肩を落としたピーニャの顔は、言葉やしぐさとは裏腹にすこし晴れやかなようにも見えて。

「…自分で作った掟だし、潔く団を去るよ」

 ひとつ、ボスは売られたケンカは必ず買わなければならない。
 ひとつ、売られたケンカでもし負けることがあれば…ボスを引退しなくてはならない。

作戦前にカシオペアから聞いていた、スター団の掟だ。どうやらピーニャが作ったものだったらしい。

「あーあ、これでパーティもジ・エンドか…」

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ダンバッジと呼ばれる、ボスの証をぼくに寄越しながら、ピーニャが呟いた。

 

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「…宝、かぁ」

去り際のネルケとピーニャとの会話を思い出す。ピーニャはスター団のことを宝と呼んだ。仲間や、彼らが【マジボス】と呼ぶ、団のトップらしき人物のことを。

「ずっと、待ち続けていたんだな…」

彼らの前からマジボスが姿を消して、1年半くらい経つという。他のチームもそうなのだろうか?

『…ご苦労だった、ヒイロ

スマホロトムが鳴り、カシオペアが声をかけてきた。ボスがいなくなったチーム・セギンは近いうちに自然消滅するだろうとのことだ。

『ピーニャ…』

ボスの名をつぶやく。まるで機械のように抑揚のない声だけど、どことなく寂しいような悲しいような、名前の主を慮るようにも聞こえた。

『…約束の報酬を渡そう』

ぼくのスマホロトムにLPがチャージされ、わざマシン用のデータが転送される。

『これで各地の【わざマシンマシン】で生成できるわざマシンが増える。活用してくれ給え。それと…』

 

   *

 

通信が終わり、しばらく待っていると、見知った顔がやってきた。…ボタンさん?

「ふぇっ!?な、なんでうちのこと知って…」
「前に校門の前で会ったよね。あれ、入学の日だったからよく覚えてるよ。あと、たまに同じ授業取ってたし。」
「あっ、そうなん…ごめん、気づかんくて」

まぁぼくの方からも特に話しかけてないから、気づいてなくても無理はないかもだけど。

「ところできみがここに来たってことは…カシオペアが言ってた補給班って」
「ん…そう。うちも課外授業ってことで、手伝ってる」

曰く、ハッキング操作を得意とする彼女はそこをカシオペアに買われて裏方として協力しているらしい。ここに来たのは、補給班としてぼくに現物の報酬(わざマシン用の素材とか)を渡しに来たのだという。

「ああ、じゃあぼくのスマホロトムをハッキングしたのも…」
「う…うん、うちの仕業…ごめん」
「いや、謝らなくていいけど…」

ロトムポケモンが入っている関係上、ハッキングは非常に困難だと聞いたことがあるスマホロトムだけど、それができるってことは相当に腕が立つのだろう。…褒めるところかどうかは微妙なところだけど。

「なんだか、すごかったらしいね。レッツゴーって、戦わせるの」

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そんだけ強いなら、きっと大丈夫。と言って、ボタン(呼び捨てでいいって言われた)は帰っていくのだった。

 

 

  -つづく-

 

 


とりあえずこのエピで各ストーリーの1回目がクリア。ひと段落といえばそんな感じですねー。
しれっと進化してますが、カヌチャン改めナカヌチャンのNNは<カナヤマヒメ>。ネタ元は日本神話の鍛冶の神ですね。近年だと刀使ノ巫女でおなじみなんでしょか?長くなっちゃったので指示するときとかはヒメ呼びになりそう(NNの意味)。

レッツゴーという機能はなかなか面白いな―と思ってちょくちょく使ってましたが、よもやそれをストーリーに組み込むとは…やりおるなゲーフリ…(誰目線

ボタン嬢もようやくストーリーに本格(?)参戦。ゲーム中の会話を見る限りは、ここがほぼ再会といっても過言じゃないレベルですねぇ。普段どんだけ引きこもっとんの…
まぁ本文中でも互いに認識はしてたけどちゃんとした会話は初めてレベル、といった感じにしてますが。

次回はちょこっと番外編。またもスマホロトムが鳴ったり鳴らなかったりどっちやねん。