炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(39):スターダスト★ストリート⑦~VSカシオペア!5つ星がまた輝く時【#ネタバレ注意】

【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「スターダスト★ストリート」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。

問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。

 



 

 

 

 

 

オレンジアカデミーの校庭グラウンドは、校舎の上階…中央棟のモンスターボール型オブジェクトのすぐ下にある。

本来は校内でのポケモンバトルはここ以外で行ってはいけないのだけれど…

「校長先生自ら生徒に何をしてらっしゃるの!?」
「い、いえあのタイム先生、これには悲しいわけが…」

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「ワケもタマゲタケもございません!」

カシオペアのためとはいえ、校舎前でバトル学則違反をしていたということでタイム先生に引っ張られていく校長を横目に、ぼくはグラウンドを目指す。

 

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夜のグラウンドは、いつもなら夜行性のポケモンを遊ばせたり、寝付けない生徒の憩いの場になっているけれど、今は誰もいない。おそらくはカシオペアか、あるいは校長が人払いをしたのだろう。

「…ヒイロ

背後からぼくを呼ぶ声。カシオペアのような少し抑揚に乏しい、それでもスマホ越しに聞いていた合成音声ではない、生の声。

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「来てくれたか」

その声を、そしてフードを被っていて表情は判らないけれど、その特徴的なパーカーと、背負ったイーブイリュックの持ち主を、ぼくはよく知っている。

「…驚愕しただろう?」

振り返るぼくの前で、目深にかぶったフードをはがす。やっぱり君だったんだね…ボタン。

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「…ああ。わたしこそがマジボス。そして、カシオペアの正体だ」

いやに悪そうな笑みを作って、ボタンが言い放った。

 

   *

 

ぼくを大作戦のメインに据えたのは、あの入学の日、彼女をスター団から守ったことがきっかけだったらしい。

カシオペアとして指示を出し、わたし自身は補給班として動向を探らせてもらっていた。…あとはここでわたしを打ち負かせば…スター団は完璧に終わる」

そのためにぼくを動かしていたというカシオペア…いやボタンは、それでもまだ、スター団を諦めきれていない、終わらせたくないと吐露する。

「うん、じゃあやろうか…最後の…勝負」

ようやく合流した校長…ネルケに戻ってた…に、立会いとボスたちに向けて発信するための動画撮影を依頼し、改めてマジボスだと名乗るボタンと相対する。

「マジボスの力の前に、頭を垂れてひれ伏すがいい! 出でよ…ブラッキー!」
「出ておいで…ぴろオオタチ!」
「…えっ、なにそれかっわ…!」

…え?

「…じゃなくて!ブ、ブラッキー!"つぶらなひとみ"!!」

 

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ボタンが繰り出してきたのは、いわゆるブイズ…イーブイの進化系たちで構成された手持ちだ。初手のブラッキーをはじめ、ブースターやシャワーズ、サンダースを次々と繰り出してくる。さすがにマジボスの異名は伊達じゃなく、レベルもかなりの高さなのだが…ある意味ペパー以上にバトルが不慣れなのかその指示は少々拙い。

「でも油断はしない!ぴろ、”れいとうパンチ”!」
「しまっ…!」

リーフィアが倒れ、ボールに戻っていく。こっちもぴろがへとへとだ…戻っておいで!

「申し分ない強さだな。ボスたちがやられるわけだ」
「きみがぼくのこと、かってくれたからでしょ?」
「そう言われると悪い気はしないが…手は抜かない!出てこいニンフィア!」

最後の相棒が場に躍り出ると同時に、ボタンがテラスタルオーブを握りしめる…来るか!

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「星々のように…テラスタル!なりたい自分に変身しろ!」
「こっちもだ、エルダマスカーニャ!…花開く輝きを、まとえ!」

ニンフィアのリボンと、エルダの爪が交錯して…!

 

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「これで…終わり…終わったよ…みんな…」

力尽きたニンフィアを抱きとめて、ボタンが絞り出すようにつぶやく。その短い言葉の中に、彼女が抱えてきたこれまでのことが凝縮しているように聞こえた。

彼女がスターダスト大作戦を考案したのは、解散を聞き入れないボスや団員たちを解放するためだった。ピーニャさんに作らせた掟ではたとえマジボスであっても、「お願い」どまりで命令は下せない。

「つまり…掟で決められた理由であれば、みんなスター団を辞めると?」

ネルケの指摘に、ボタンがこくりと頷いた。

カシオペア、最後に一つ聞かせてくれ…あんたにとって、スター団は…仲間たちはどういう存在なんだ?」
「…だいじな……」

目を伏せ、これまでの思い出をかみしめるように。

「…宝物だよ」

泣き顔のような笑顔のような表情で、ボタンはそう言った。

 

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そこからは怒涛の展開だった。
ボタンの目の前で改めて正体を明かしたネルケ改め校長(ボタンは本当に気づいてなかったみたいで思い切り驚いていた)は、あらかじめ呼び寄せておいたらしいボスたちとボタンを引き会わせた。

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そして彼らに対し、アカデミーを代表して深々と頭を下げ謝罪したのだ。

さらにスター団への解散要望やメンバーへの退学勧告を白紙撤回。彼らは晴れて自由の身になったのだ。

「とはいえ…これまで皆さんの行ってきた長い無断欠席!制服の改造!アカデミー備品の無断持ち出し!ライドポケモンの改造及び暴走行為!学則違反諸々は、見過ごせません!」

これらについては、奉仕活動を行うということで処分となった。それがなんと…

 

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STCスター・トレーニング・センターかぁ…ものは考えようだねぇ」

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翌朝。
初めて会った校舎前の階段で落ち合ったぼくとボタンは、昨夜のことを振り返って苦笑しあった。スター団とのカチこみバトルを目の当たりにしてきた校長が、画期的なトレーニングシステムと考えてアジトを流用したトレーニング施設として流用することを思いついたのだ。ボスやメンバーたちは、奉仕活動の一環として運営スタッフとして組み込まれるらしい。

「それだけじゃない、うちのマジのやらかしまで許してくれるとか…アカデミーもリーグもヘンなのばっか」

ボタンの場合は、単なる学則違反にとどまらなかった。ぼくへの報酬として支払われていたLPリーグポイントは、なんとパルデアリーグの管理システムをハッキングした…つまり不正発行していたものなのだ。さすがに事が事なのでその件はオモダカトップあずかりとなったのだが…

「…フツー捕まってもおかしないんよ?それがポケモンリーグで奉仕活動すればチャラとか…いやもうあれ卒業後の進路内定してるくらいの勢いなんだけど…なんなんもう…怖…」

文句を言いつつも、心なしか楽しそうにボタンが笑う。

「まぁ、あれでどうにかなるなら、受け取ってるぼくも結構ヤバいことになるしねぇ。実際すでに使ってるし」
「発行されたもんはしょーがないって。それに関しても器でかすぎるでしょ…ホエルオー級やん」

いや、パルデアの大穴レベルかもしれない。

「…あのさ」

ふと、ボタンが真面目な顔でこっちを見た。何かを言いかけて、何度か目をそらして。

「ごめん、リアルで顔合わせて話すん、苦手なんよ…言葉選ぶんもヘタだし…だけど…その…」

 

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 ━━ありがとう…ございました。

 

精一杯の感謝の言葉が、まっすぐに届く。

ヒイロのお陰で、スター団も仲間も救われた…感謝してもしきれないくらい…」

いつか借りを返したい。自分の得意分野で助けが欲しい時はいつでも呼んでと、スマホロトムに改めて連絡先を登録する。

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「じゃあ、またね!」

おつかれさまでスター!と、スター団結成時に最初に決めたという挨拶を残して、ボタンは朝陽が照らす校舎へ帰っていくのだった。

 

 

   -スターダスト★ストリート・クリア!-

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   -冒険は…まだまだつづく!-

 

 


3ルート中の2ルート目はスター団編を完了。初見プレイヤー諸氏はどのへんでマジボスの正体に気づいたんでしょうね?

まぁ聡い人は中心人物にボタンがいる時点でかもしれませんが。

STCはこのルートクリアした時点で解放されてるのでちょろっと遊んでみましたが、50匹はなかなかえぐい…あと当然ですが強化もされてるんで、本編では一度も使ってなかったネルケの(いやなんでおんねん)回復に頼ったりもしました。

さて、残すは1ルート「チャンピオンロード」!冒険はまだまだ続く…つづくったらつづく!(運昇さん

 

ちがう、これじゃない…