炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(71):キタカミ旅行に行こう!④~ネモを追え!桃色の餅の謎【#リプレイ風】

【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ゼロの秘宝」「碧の仮面」「藍の円盤」「番外編/キビキビパニック」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。

問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。

 



 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ…び、びっくらこいた…」
「なんで急にポケモン勝負しかけてきたのこの人たち…?」

りんご農家夫婦との勝負を制すと、ふたりは途端におとなしくなった。いや、キビキビ言ったままだから状況は少しも好転していないのだけれど。

「なんだこれ…なにが起きてんだ!?」
「これじゃあまるでゼイユと同じ…」

ぼくの指摘に、スグリも気が付いたようだ。いよいよ呪いの線が濃厚になってきたかもしれない。

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「うぅ…こんなときにネモさんが行方不明なんて…」
「呪いに巻き込まれてたら大変だ。早く連れ戻さないと…」
「…それはどっちの意味で?」
「…あれでポケモン勝負しかけてきたらマジで手に負えないと思う」

真顔になるぼくに、さきほどボロ負けしたばかりのスグリが背筋を震わせる。

「わ、わやじゃ…うん?」

と、ヒイロの視線が何かを見つけたようだった。

ヒイロ!いま…ネモさんいた!」
「本当!?」
「ん、キタカミセンターの方さ向かって…でもなんで?」
「わかんないけど…とにかく追いかけよう!」

さっきの勝負で傷ついた手持ちを回復させてから、ぼくたちはネモを追った。

 

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キタカミセンターへと続く坂道では、うっすらと祭りばやしが聞こえてくる。

「…こんなときに言うのもなんだけどさ」
「ん?」

もう見えなくなったネモの後姿を追いかけながら、スグリに話しかける。

「さっきのスグリ、かっこよかったよ」
「え?さっきって?」
「ほら…ネモがいないって話になったとき、ペパーとボタンに公民館に残っててって指示出してたでしょ」
「あぁ…」

たぶんぼくだけだったら、全員一緒に公民館を飛び出してネモを探しに行ってたかもしれない。考えてみればあの場で土地勘があるのはぼくとスグリだけなのだ。これであの二人が迷子にでもなったら目も当てられない。

「そ、そんなこと…ただ役割分担とか、そーいうの考えただけで…」
「それがとっさに出るのが凄いんだよ。やっぱり部長やってた経験が活きてたのかな?」
「うぅ…あんまりリーグ部の時の話は思い出したくねんだけど…」

あ、ごめん。

「…でも、そっか。あん時の俺がやったことも、役に立つことがあんだな…!」

スグリが拳をぐっと握って前を向く。

「急ごう!」
「うん!」

スグリが坂道を駆けのぼるスピードを速めた。

 

   *

 

石段の前にさしかかると、そこにはスグリのおじいさんとおばあさんがいた。

「おお、スグリヒイロくん!」
「どうしてここに?ゼイユを見ていたんじゃ…」

話を聞くと、踊り疲れて眠ってしまった孫娘のために、元に戻るかと思って屋台の焼きそばを買いに出てきたのだという。

「ところで二人とも、ネモさん見なかった?」
「パルデアから来た子で…ぼくと同じ制服を着てる女の子なんですけど」

村で起きている異変についても説明する。祭り会場はもう少し上だから状況はわからないけれど、もし同じようなことになっているなら、二人も避難させないと…

「その制服姿ならさっき見かけたぞ…なぁばあさんや、その子となにやら話しておったようじゃが…?」

そういっておじいさんが振り向くと、おばあさんはどこから持ってきたのか大皿に山と積まれた桃色のお餅を差し出した。

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「おモち…ドうゾ」
「え?あの…今は餅とかいいから」

妙に引っかかるイントネーションで、お餅をすすめてくるおばあさんに、おじいさんも困惑する。しかしおばあさんは構わず一歩前に。口調もだんだん乱れてきている…もしかして…?

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「いきなりどうしたんだい?まったく…しかたないのう」

ついに根負けしたおじいさんが、その餅を口にして…ごくりと喉が鳴る。と、おじいさんの表情が沈む。あれ?この感じどこかで…

「…じーちゃん?どうしたの?」

心配したスグリが近づこうとした瞬間だった。

「キビキビー!」
「キビキビー!!」

らんらんと目を光らせながら、おじいさんとおばあさんが踊り始めた!

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「ええええーっ!?!?」

孫娘のように軽快なステップで踊る二人の手に、いつしかモンスターボールが握られている。あ、このパターン…

「キビー!」
「モチー!」

おじいさんとおばあさんがポケモンを繰り出し、ぼくたちはいやがおうにも戦いのフィールドに引きずり込まれるのだった…

 

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「うぅ…じーちゃんとばーちゃんまでおかしくなっちまった…」

意外な強敵だった老夫婦をおとなしくさせ、立ち尽くす二人を見てスグリが涙声で呟く。

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「きっと…次、俺だ…次は俺がおかしくなっちまうんだぁ!!」
「しっかりして!」

わたわたと慌てだすスグリを抑えて、地面に転がっていた餅を拾って見せる。

「この餅を食べてから、おじいさんがおかしくなった。つまり…原因はこれだ!だったら…」
「そ、そっか…これさえ食わなきゃおかしくは…!」

ネモはいなくなる直前、商店に置いてあった餅を食べたって言ってた。それがこの餅と同じなのであれば…でも、だとしたらなんでネモは踊ったりせずにキタカミセンターにまで行ったんだろう?

「ごめんヒイロ…ちょっと弱気になっちまった。せっかくさっき褒めてくれたのに…カッコつかねえな」
「怖いものは怖いよ。ぼくだってそうだ。でも…スグリがいるから、がんばれる!」
「そ…そだな!俺も…ヒイロがいるなら!」

弱気になってた…と目じりにたまった涙をぬぐって、スグリが右手を僕に向けた。

「俺たちがこの異変を解決すんだ!」

ぼくとスグリの手がしっかりと握られる。スグリ、きみがぼくのことを主人公だって言うなら…

「うん!」

 

  ━━今夜はぼくときみで、ダブル主人公だ!

 

 

   -つづく-

 

 


まさかこんなところでキタカミ姉弟の祖父母の名前がお出しされるとは思っても見ませんでしたw
ユキノシタさんとヒエさんね…今後の本文に活かせるかな?

反応集でも挙げられてましたが、ヒエばーちゃんのパーティ構成が割とガチ目で苦戦…よもやスグリの手持ちがワンパンされるとか💧
ここらへんは伊達に姉弟の祖母やってないって感じでしょうかね?若い頃はゼイユ似の美人でブイブイ言わせてたのかも知んない。