―――少女が大きな扉を開くと。そこはとても広いフロアだった。
いたるところに、何人ものタキシード姿の男の人と、何人ものドレス姿の女の人が、様々な色や形の仮面で顔を隠し、手を取り合い佇んでいる。
フロアの中央で、ひとり立ちすくむ少女。と、自分自身も水色のドレスに、薄く引いたピンクのルージュ。長いさらさらの髪に、ちょこんと乗っかる小さなティアラ…といった、まるでお姫様のようないでたちに気付き、戸惑う。
やがて曲が始まり、周りのペアが一斉に踊り始める。
くるくると、くるくると。
ふと、少女の傍らに、仮面をつけた青年が現れる。
彼は優しく手を差し伸べて囁くように言った。
「僕と、踊っていただけますか?」
ドキドキしながら、少女は頷き、青年の手を取る。
流れるメロディに合わせ、少女と青年は踊る。
くるくると、くるくると。
少女の表情は、やがて穏やかになる。その可愛らしい笑顔は、まさにお姫様のようで―――
はっと気付くと、そこは見慣れた自分の部屋だった。
立てかけられた鏡には、いつもどおりのボーイッシュな姿。女の子らしさは微塵もない。
…夢、だったんだ…
と、自分の手の中にルージュのケースを見つける。
夢の中で唇にひかれていたルージュだ。
少女は鏡に近づき、そっとそのルージュを唇にひいた。
鏡の向こうの自分が、夢の中で見た自分とダブって見えた。
―――女の子は、誰だってお姫様になれる…
―――ティーンズコスメ【PRINCESSES】(プリンセシーズ)
* * *
「…なんか、改めてみるとめっちゃ恥ずかしいですね…」
耳まで真っ赤にしながら真が呟く。
先日撮影したCMが完成したというので、そのデモテープをもらってきたのだ。
1週間後には全国に流れることになる。
「…というか、無名どころかただのプロデューサーでしかない俺が大写しでいいのかなぁ…」
「それは…まぁ、仮面かぶってるんだし、いいんじゃないですか?」
テープを巻き戻しながら、くすっと笑って真が言う。
最近、こういった女の子らしい仕草を、よく魅せるようになった。プロデューサーとして…ちょっと嬉しいような、寂しいような。…複雑な心境である。
「そうそう、あのCMの監督さんな。真のこといたく気に入ってくれたみたいでさ。今度映画撮るときに使わせてくれって」
「えっ? あの監督さん、映画やるんですか?」
俺の言葉に、真が振り返って尋ねる。アホ毛がぴょこん、とはねた。
「ああ。まぁ、webで公開するショートムービーらしいけどな。そん時は声かけてくれるってさ」
「へへっ、やーりぃっ! …うーん、いよいよボクも銀幕デビューかぁ。楽しみだな~」
「…いや、それはちょっと飛躍してるぞ真(汗」
…そんな他愛の無い会話に流れて、事務所での昼休みはやんわりと過ぎていくのであった。
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以前執筆した真の誕生日SS http://blogs.yahoo.co.jp/homurabe_2000/50680156.html
…の題材になったCMネタをピックアップ。真SSはこのネタあっての作品だったので、いつかちゃんと形にしたかったのんですが、今回ようやく書けて一安心といったところ。
…ええ、自己満足全開のジャンジャンバリバリですよ(意味不明
ネタさえあれば他の女のコのCMネタとかもやってみたいな。
…ああ、コミュのCM撮影からネタを引っ張ればいいのか。
って、ここ半年以上360起動すらしちゃいねぇ!!!(阿呆
…いま何処まで進めてたっけ…(汗
http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=homurabe
↑web拍手です。アイマスSSでなんかリクエストあったら教えてください。参考にします!