炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【キバ外伝】シーン4:イントナーレ・纏え強き法衣を【IXA:1997】

 七弥が少女を助けたあの一件から、数週間が経過していた。
 その後も不可解な失踪事件が数度報道されたが、現場に残された手掛りは皆無に近く、警察、七弥ともにその真相には至っていなかった。

「…ファンガイアの仕業じゃないんじゃないでしょうか?」
 マル・ダムールにて、七弥はそう嶋に進言した。確かにその手口(?)からファンガイアによるものである可能性は非常に高かったが、それを裏付けるカッコたる証拠はなかったのだ。
「引き続き調査を続行したまえ」
 嶋はそれだけ言うと、マル・ダムールを後にした。


   *


「……うーん」
 新聞記事の切り抜きとにらめっこしながら、七弥が唇をひん曲げる。
 今回は被害者が複数人にわたっていた。状況は相変わらず同一。現場には人気が一切なく、ただ衣服のみが散乱していたという。
「仮にファンガイアの仕業だとしても、怪物とかの目撃情報がないってのも変だよな…」
 いや、目撃者は漏れなくランチになっているのかもしれない。
「どちらにせよ、地道に探していくしかないか…」
 食べかけのホットドッグを口に押し込み。バイクに跨りなおした七弥のポケットから、電子音が響く。
「?」
 それが携帯の呼び出し音ということに気付き、七弥は慌ててそれを引っ張り出した。
弓道です」
『おぉ、七弥!』
 スピーカー越しに聞えて来たのは茂原の声だった。
「どうした?」
『どうしたやあれへん! 警察無線からの情報や。S市臨海公園でバケモンがあばれとるらしい!』
「なんだって!?」

 ―――バケモノ、それ即ちファンガイア。

 ふって沸いた事態に全身が粟立つ感覚をおぼえる。
『…おい、聞いとんのか七弥!?』
「あ、ああ。…そこなら近い。今から向かうっ」
 茂原の返事を待たず通話を切り、エンジンをフル稼働させる。

「…来たか、ついに」
 想像していなかったわけではない。
 バケモノと対峙する、という恐怖と、自分が手がけたイクサシステムを実戦で扱えるという期待がないまぜになった感情が胸中を渦巻く。

 やがて風景に水平線が混じり、目的地が近いことを知らせる。
 停まっていたパトカーの傍にバイクを停め、イクサナックルを握り締めて公園を走る。

「…これは…っ」
 おびただしい量の衣服。被害者の数は今までの比ではない。
 いくつか警察官の制服が見て取れた。情報源の無線を寄越した警官のそれだろうか。
 噛み締めた奥歯が悲鳴を上げる。怒りより先に、恐れが身体を振るわせた。

「……?!」
 ふと、視界の端が異形を捉えた。視線をそれに合わせ、網膜越しに焼き付ける。

「ファン…ガイア……」
 人の姿と、怪物の姿を併せ持つ、人ならざるもの。
 神が犯した、ただひとつの間違いは、この存在を生み出したこと。

「いく…ぞ」

 イクサナックルを掲げる。

  -R・E・A・D・Y-

「―――変身」

  -F・I・S・T・O・N-

 腰に装備された<イクサベルト>にイクサナックルをセットする。刹那、ベルトからデータ状で射出されたパワードスーツが七弥の身を覆い、実体化する。

 その色、純白。
 その力、絶大。

 <イクサシステム・Ver.7>がその姿を顕した。



  -つづく-

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 復帰1発目だからキバっていくぜ! …てなかんじでキバSSの続き。

 …うん、狙ったつもりは無いんだ。すまない。

 むーん…久々だからかいまいちなんというか…掴めん。

 ま、これからこれから。

 がんばっていくぜー