炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ゴーカイSS】GO-KAI PLANET CRUISE-太陽のような男-(中編・2)【後日談】

 シャリバンは、僅か1ミリ秒で“赤射蒸着”を完了する。 
 では、赤射プロセスを説明しよう! 

 ――灼熱の太陽エネルギーが、超次元戦闘母艦・グランドバースの増幅システムにスパークする! 
   増幅された太陽エネルギーは、赤い<ソーラーメタル>へと変換され、シャリバンに、赤射蒸着されるのだ! 


「おおっ!」 
 メタリックレッドの雄姿に、鎧が思わず色めき立つ。専用銃・クライムバスターを構え、電……否、シャリバンが駆け出した。 

「行け、ゴーミンども! 抹殺ッ!!!」 

 マドーの戦闘員・ファイトローだった怪人が叫び、従えたザンギャックの戦闘員を走狗の如く走らせる。 

「スパークボンバーッ!」 
シャリバンキック!!」 

 拳が、蹴りが、銃撃が。雑兵を片っ端から蹴散らしていく。間もなくシャリバンは怪人へと肉薄した。 

「クライムッバスター!」 
「フフフ……」 

 撃ち放ったレーザービームが命中する直前、怪人の姿が掻き消える。 

「何!?」 
シャリバン、俺はここだ、ここにいるぞ……!」 

 背後からの声に、エルボーハンマーで対応するシャリバンであったが、これも空振ってしまう。 

「……なんだ、何がおきてやがる?」 

 戦場にただよう妙な気配に、マーベラスが怪訝に眉根を寄せる。眼前で戦うシャリバンは、怪人を目の前にしながら明らかに見当違いの方向へ攻撃を加えていたのだ。 

「くっ……手ごたえがまるでない!?」 
「どうだ、俺の“幻夢ジャミング”の力は? そうら、ついでだ。そこの海賊どもも一緒に始末してやろう。魔王サイコ復活の生贄にしてやる」 

 下卑た笑いを浮かべた怪人を見た瞬間、マーベラスの視界がぐにゃり、と捻じ曲がった。 

 ・ 
 ・ 
 ・ 

「くっ……ここは……幻夢界か!?」 

 怪人により広範囲に展開されたジャミングをまともに受け、シャリバンは視界から完全に相手の姿を見失っていた。 

「くそっ……<サーチャースコープ>!」 

 シャリバンのゴーグルの向こうでカメラ・アイが輝く。怪人の姿を見ることはかなわなかったが、幻夢ジャミングに巻き込まれたマーベラスたちを発見する。 

「みんな!」 

 ひとまず合流しようと近づくシャリバンの目に、おかしな光景が映し出された。 

「ちっ……おりゃあ!」 

 マーベラスが、海賊たちが武器を振るい、同士討ちをしているのだ。 

「くっ、ゴーミンの癖にやるじゃない! っこの!」 

 ルカの振り回すサーベルを、鎧が危なげなくかわし、反撃に転ずる。 
 それを幻夢ジャミングの作用だと確信し、正気に戻すべくマーベラスの肩をつかんだ。 

「目を覚ませ、マーベラス。今戦ってるのは――」 
「邪魔すんじゃねえよ!」 

 振り返りざまにガンを乱射するマーベラス。まともに浴びたシャリバンが衝撃と痛みに膝を突いた。 

「うぐ……っ。俺のことまでゴーミンに見えてるってのか。どうすれば……」 

 思考に陥るシャリバンが、不意に閃く。 

「そうだ。ヤツがこれをジャミングというのなら……<高次元ソナー>!」 

 シャリバンのヘルメットから二本のアンテナが伸び、周辺の電波や念波を探る。 

「……コレだな。よし、こいつを逆位相にして……ディスチャージ!」 

 アンテナが震えると同時に、マーベラスたちが動きを止める。目の前のゴーミンが突然仲間たちの姿になったことに、目を丸くしていた。 

「大丈夫か、ゴーカイジャー?」 
「ああ。なんともねえが……何があったんだ?」 

 彼らに怪人の能力で同士討ちをされかけていたことを伝えると、マーベラスはひどく憤慨した。 

「ンの野郎、味な真似しやがって……」 
「幻覚を防ぐ、ジャミングの逆位相データを君たちの通信機に送っておく。あとは俺がやつを倒して終わらせる!」 

 駆け出すシャリバンに、マーベラスが「待てよ」と声をかける。 

「俺たちも行かせてもらうぜ」 
「そーね。私らコケにしたまま、終わらせられてたまるもんですかっての」 

 ルカがぐるぐると腕を回して意気込む。シャリバンは僅かの後、小さく笑った。 

「わかった。じゃ、一緒に行こう」 
「おう!」 

 6人の海賊がレンジャーキーを手に、叫ぶ。 

  ――豪快チェンジ! 

 次の瞬間、カラフルな戦装束を纏う戦士たちが立った。 

「よし、そんじゃ……ん?」 

 と、マーベラスの視界に、ゴーミンの群れが映る。 

「やれやれ……そうそうたどり着かせてはもらえないってことか」 
「へっ、おもしれえじゃねえか」 

 ため息をつくジョーに、マーベラスが不敵に笑う。 



  派 手 に 行 く ぜ ! ! ! 



 ゴーカイガンをくるりと手元でスピンさせ、一息に撃ち放つ。 

 それが開幕のゴングとなり、7人の戦士が地面を蹴った。 


    -つづく- 


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 なんだその(中編・2)ってのは!(セルフツッコミ 

 というわけで、やはりというか延長入りましたw 
 かっこつけずにシーン○形式で表記しとけばよかったぜ……orz 

 まぁ、いいもの作ろうとしたうえでの延長、ということにしておいてくださいな(ぇ 

 これがプロの仕事だと文字数制限とかあるでしょうから、そーいうこと出来ないんでしょうけどねぇ。 

 プロじゃないから出来ることもあるのですねw 


 さて、解説。 
 幻夢ジャミングの元ネタである<幻夢界>は、マドーご謹製の幻夢界発生マシーンを用いて発生するホワイトホールの一種。 
 改造ファイトローは、ザンギャックの技術で再現されたこれを装備しており、それを利用して減無ジャミングを発生させているのです。 
 ただ、完全に再現は出来なかったため、現在シャリバンたちがいる場所は厳密には<幻夢界>ではなかったりします。幻夢界の特性に近づけた妨害電波及び念波が飛び交っている空間……うん、自分で説明しててわけわかんなくなってきた(マテ 




 多分次回でケリ付けられると思いますんで、もうちょっとお待ちくださいませー