シャリバンは、僅か1ミリ秒で“赤射蒸着”を完了する。
では、赤射プロセスを説明しよう!
――灼熱の太陽エネルギーが、超次元戦闘母艦・グランドバースの増幅システムにスパークする!
増幅された太陽エネルギーは、赤い<ソーラーメタル>へと変換され、シャリバンに、赤射蒸着されるのだ!
「おおっ!」
メタリックレッドの雄姿に、鎧が思わず色めき立つ。専用銃・クライムバスターを構え、電……否、シャリバンが駆け出した。
「行け、ゴーミンども! 抹殺ッ!!!」
マドーの戦闘員・ファイトローだった怪人が叫び、従えたザンギャックの戦闘員を走狗の如く走らせる。
「スパークボンバーッ!」
「シャリバンキック!!」
拳が、蹴りが、銃撃が。雑兵を片っ端から蹴散らしていく。間もなくシャリバンは怪人へと肉薄した。
「クライムッバスター!」
「フフフ……」
撃ち放ったレーザービームが命中する直前、怪人の姿が掻き消える。
「何!?」
「シャリバン、俺はここだ、ここにいるぞ……!」
背後からの声に、エルボーハンマーで対応するシャリバンであったが、これも空振ってしまう。
「……なんだ、何がおきてやがる?」
「くっ……手ごたえがまるでない!?」
「どうだ、俺の“幻夢ジャミング”の力は? そうら、ついでだ。そこの海賊どもも一緒に始末してやろう。魔王サイコ復活の生贄にしてやる」
下卑た笑いを浮かべた怪人を見た瞬間、マーベラスの視界がぐにゃり、と捻じ曲がった。
・
・
・
「くっ……ここは……幻夢界か!?」
怪人により広範囲に展開されたジャミングをまともに受け、シャリバンは視界から完全に相手の姿を見失っていた。
「くそっ……<サーチャースコープ>!」
「みんな!」
ひとまず合流しようと近づくシャリバンの目に、おかしな光景が映し出された。
「ちっ……おりゃあ!」
マーベラスが、海賊たちが武器を振るい、同士討ちをしているのだ。
「くっ、ゴーミンの癖にやるじゃない! っこの!」
ルカの振り回すサーベルを、鎧が危なげなくかわし、反撃に転ずる。
それを幻夢ジャミングの作用だと確信し、正気に戻すべくマーベラスの肩をつかんだ。
「目を覚ませ、マーベラス。今戦ってるのは――」
「邪魔すんじゃねえよ!」
「うぐ……っ。俺のことまでゴーミンに見えてるってのか。どうすれば……」
思考に陥るシャリバンが、不意に閃く。
「そうだ。ヤツがこれをジャミングというのなら……<高次元ソナー>!」
シャリバンのヘルメットから二本のアンテナが伸び、周辺の電波や念波を探る。
「……コレだな。よし、こいつを逆位相にして……ディスチャージ!」
アンテナが震えると同時に、マーベラスたちが動きを止める。目の前のゴーミンが突然仲間たちの姿になったことに、目を丸くしていた。
「大丈夫か、ゴーカイジャー?」
「ああ。なんともねえが……何があったんだ?」
彼らに怪人の能力で同士討ちをされかけていたことを伝えると、マーベラスはひどく憤慨した。
「ンの野郎、味な真似しやがって……」
「幻覚を防ぐ、ジャミングの逆位相データを君たちの通信機に送っておく。あとは俺がやつを倒して終わらせる!」
「俺たちも行かせてもらうぜ」
「そーね。私らコケにしたまま、終わらせられてたまるもんですかっての」
ルカがぐるぐると腕を回して意気込む。シャリバンは僅かの後、小さく笑った。
「わかった。じゃ、一緒に行こう」
「おう!」
6人の海賊がレンジャーキーを手に、叫ぶ。
――豪快チェンジ!
次の瞬間、カラフルな戦装束を纏う戦士たちが立った。
「よし、そんじゃ……ん?」
と、マーベラスの視界に、ゴーミンの群れが映る。
「やれやれ……そうそうたどり着かせてはもらえないってことか」
「へっ、おもしれえじゃねえか」
ため息をつくジョーに、マーベラスが不敵に笑う。
派 手 に 行 く ぜ ! ! !
ゴーカイガンをくるりと手元でスピンさせ、一息に撃ち放つ。
それが開幕のゴングとなり、7人の戦士が地面を蹴った。
-つづく-
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なんだその(中編・2)ってのは!(セルフツッコミ
というわけで、やはりというか延長入りましたw
かっこつけずにシーン○形式で表記しとけばよかったぜ……orz
まぁ、いいもの作ろうとしたうえでの延長、ということにしておいてくださいな(ぇ
これがプロの仕事だと文字数制限とかあるでしょうから、そーいうこと出来ないんでしょうけどねぇ。
プロじゃないから出来ることもあるのですねw
さて、解説。
幻夢ジャミングの元ネタである<幻夢界>は、マドーご謹製の幻夢界発生マシーンを用いて発生するホワイトホールの一種。
改造ファイトローは、ザンギャックの技術で再現されたこれを装備しており、それを利用して減無ジャミングを発生させているのです。
ただ、完全に再現は出来なかったため、現在シャリバンたちがいる場所は厳密には<幻夢界>ではなかったりします。幻夢界の特性に近づけた妨害電波及び念波が飛び交っている空間……うん、自分で説明しててわけわかんなくなってきた(マテ
多分次回でケリ付けられると思いますんで、もうちょっとお待ちくださいませー