炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

VERSUS SPACE PIRATE/シーン4


 ハカセがガルコン星の大地に立……突き刺さったのとほぼ同じ頃。

「……ふっ! ブロウナックル!」

 一面に命の息吹を感じる密林を視界に収めたジョー・ギブケンは、すぐさまボウケンブルーへと豪快チェンジし、専用武器から発する強烈な風圧をクッション代わりに危なげなく着地した。

「なるほど……ここがガリラ星か」

 青い大気の外観に反し、一面が鮮やかな緑色の世界。むせ返るような大地の匂いは、ジョーにとってはかなり新鮮であった。

「さて……」

 ジョーが辺りを見回す。当面の行動指針としては、この星のどこかにあるであろうレンジャーキーの捜索となるだろう。

「なら、しばらくはこのままのほうがよさそうだな」

 ボウケンブルーの姿を解く事無く、密林を歩き出す。力を借りるスーパー戦隊の、その知識は限りなくゼロに近いジョーたちであったが、豪快チェンジをこなしているうちに、どの場面でどのレンジャーキーを使うのがベターであるかは、ほぼ本能的に把握しているのだ。
 サバイブレードを進路確保の鉈代わりに振るいつつ、あてどもなく歩く。手がかりがない状態で広い惑星内を、それもたった1本の小さな鍵を見つける作業は限りなく途方もない作業であった。
 それでも不平の一つも零さず、黙々と歩くジョー。そこにあるのは、相棒ともいえる、船長……キャプテン・マーベラスへの篤い信頼と、このトレッキングが自らに課しているトレーニング代わりと考えるストイックさからだ。

「……うん?」

 ふと、開けた場所にたどり着く。密林に生い茂る木々はそこにはなく、下草がじゅうたんのように広がっているのみだ。

「妙な場所に出たな?」

 ジョーは知る由もなかったが、ここはガリラ星に住まう星獣の1体、ギンガリラが寝床に用いている場所の、その一つであった。

「何か手がかりでもあればいいが……む?」

 不意に首筋にちりちりとした嫌な感覚を受ける。刹那に振り向き、サバイブレードを構えると、その視線の先……密林の奥から人影が現れた。

「……見事。御、美事」

 侍を髣髴とさせるシルエットの異星人。口調こそ穏やかであったが、その瞳は、眼光だけでもジョーを斬らんとばかりに冷たく閃く。

「某が殺気を飛ばす前に気づくか。なかなかの手練と見た……」
「よく言う。わざと俺に殺気を向けたろう? 貴様ほどの男なら、俺に殺気を気づかせる瞬間、いや、それよりも前に斬れたはずだ」

 そいつで、な。と変身を解いたジョーが、男の持つ太刀を見やる。一見するととても剣戟には向かない、いわゆる七支刀の類であるが、刀身に染み付いた、斬られた者たちの無念がその周囲を漂っているのがジョーにはわかった。

「確かに、わぬしを斬るのはそうそう難しいことではない。だがそれでは詰まらぬのでな……。剣の道にある者としては、同じ道を往く者と死合うことこそ至高。わぬしを一介の剣士と見込み、闘いを申し込む」
「……断る」

 向けられる殺気を、ひと睨みで斬り払い、ジョーが言い捨てる。

「なんと?」
「悪いが俺の目的はあんたと戦うことじゃない」
「……これ、であろうか?」

 すっ、と剣士がおもむろに右手を突き出して見せ、その先に握られていたものの存在に、ジョーが眉根をぴくりと動かした。

「この星に到着早々に見つけてな。本来であれば“これ”を持ってすぐここを離れるのが戦の定石であろうが……」
「…………」

 “これ”、即ちギンガブルーのレンジャーキーを懐に仕舞う。

「これを賭けて……ということであれば、わぬしも文句はあるまい?」
「……欲しけりゃ斬って奪い取れ……ってことか? 確かに、海賊らしいしな」

 腕のブレスレットに触れ、戦意を示したジョーが「いいだろう」と頷く。

「豪快チェンジ……!」


   -GO―――――KAIGER!-


 青い、専用の戦装束……ゴーカイブルーへと転じたジョー。その彼めがけ、一本の刀が飛んできた。
 難なくかわし、柄を捉える。握った瞬間、それがかなりの業物であると察する。

「何のつもりだ? 攻撃としてこいつを投げてきたわけじゃあないだろう?」
「無論。しばし貸し出して進ぜよう。わぬし、本来は二刀流で御座ろう?」
「……ふん、そんなことまでお見通しとはな。なら遠慮なく、借りさせてもらうぞ」

 自前のゴーカイサーベルと、貸し与えられた刀を握り、ジョーが構える。

「宇宙海賊、バルバンが水軍大将……銘を、カイラギ」
「……宇宙海賊ゴーカイジャー……ジョー・ギブケン」

 剣士……カイラギが名乗り、それに応え、ジョーも名乗る。

「いざ……」
「派手に……」

  ――参る!
  ――行かせてもらうッ!

 刹那、閃いた3つの銀線が火花を散らした。


   -つづく-



 恐らくバルバン残党軍で私が一番気を遣うべきキャラクター、と思う水軍大将。
 極力ブドーに寄せつつ、ブドーとは違う雰囲気を与えようとして、それで巧く言っていれば御の字でありますが。

 剣士ゆえか観察眼はメンバーの中でもトップクラスで、実は序盤でガレオンに潜入してゴーカイジャーの面々と対峙したタイミングのあの僅かな時間帯でジョーの身のこなしから剣士、それも二刀流使いだと見抜いていることになります。

 自分で書いておいてなんですがパネェ、こいつマジパネェ。

 牙狼以降剣戟を書くのは割と楽しいと感じているので、この闘いは可能な限りビシッと決めたいですね。

 いやどの闘いもですけどw


 さてさて、次にカメラが向くのはガット星。
 ルカ&アイムコンビの活躍や如何に?


 ポロリもあるよ!(ねーよ