一夜明けて、再び赤の旧市街へ。
サークルの探索がてら、武器や防具の確保を行っている最中…
──それは、不意に現れた。
「アタシを狩ろうってのはテメェだな?」
なら手合わせさせてもらおうか…!と、赤きデモンの振るう刃が迫る──!
「リーダー!」
皮膚が裂けようかという転瞬、マイコの投げた暗器が刃を打ちそれを阻む。
不意打ちを辛うじて逃れた僕は、即座にコメットを喚び臨戦態勢を取った。
「あ、あいつ…マルスだよ!」
コメットが言うには、好戦的な性格で、常に力試しに飢えているらしい。
「オラオラァっ!簡単に潰れんじゃねぇぞ人間!」
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…結論から言えば、マルスの撃退には成功した。
ただし…仲間の犠牲を払って。
戦いの後のことはよく覚えていない。賞金稼ぎ連中が囃し立てるのを聞き流しながら、息をしていないマイコの体を抱え、急いで廃墟を飛び出し──
「おや、おかえりなさいませ…」
竜姫亭の地下室にいる“葬儀屋”ことプロメスに蘇生を頼んだ僕は、そのまま意識を手放したのだった…
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「…死ぬって、ああ言う感覚なんですね」
蘇生後、2号室に運ばれたマイコは、ぼんやりと天井を見上げながらそう言った。
「できれば二度と味わいたくないです。まぁ、本来は一度きりの感覚なんですけど」
冗談を言ったつもりなんだろうが、その表情には恐怖がありありと感じられて。
「…そんな顔をしないでください。この仕事をする以上、こう言う事態は織り込み済みですから」
せっかく生き返ったのだから、今度は負けなければいい。彼女はそう言って力なく笑った。
…ああ、そうだ。僕たちはまだ、力が足りない。今回は通常時の姿だったが、本気で戦う時は、コメットと戦ったときのように暴走形態を相手にすることになるだろう。今のままもう一度挑んでも返り討ちに遭いかねない
「強くなりましょう、リーダー」
マイコが差し出した手を、強く握る。
少し震えていた彼女の手は、決意と共にその震えを止めるのだった。
−つづく−
チームラゲーの中では、「剣の街の異邦人」のようなデスペナは無いんでありがたいですね(台無し
次回はちょっと日数飛ばします。