探索行から戻ると、パーティメンバーはエントランスで解散して、それぞれの自室に戻っていく。各々のプライベートも尊重する、というのがうちのリーダーの方針らしい。
…そのリーダーは、普段何をやってるのだろう?
ふと思い立ち、わたし…マイコ・ビャクレンはそっと後をつけて見ることにした。
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…で、なんで雑用なんかやってるの?
「うわあっ!?な、なんだマイコか…」
人の顔見るなり驚くなんて失礼ねぇ…
「今の今まで気配消してていきなり出てきたらそりゃ驚くよ…アサシンの技能、地味にすごいんだからね?」
地味は余計よ…それより、管理人室の掃除とか、地下室の機械の修理とか…それって貴方の仕事なの?
「仕事…じゃないけど、まぁ頼まれたし」
頼まれたし、って…デモン退治といい雑用といい、貴方管理人にいいようにこき使われてるだけなんじゃないの?
「そんなことはないと思うけど…」
そういえば借金があるって前に言ってたわね…それで弱みを握られたりとか?
「……」
図星か。
「あーでも、借金の件はデモン2体倒せばチャラになるし」
でもそれと雑用ととは別でしょうが…
「まぁね。でもフランも言ってたけど、僕もここにきて日が浅いしさ。他の人たちとも打ち解けておきたいんだ」
底抜けのお人好しねぇ…しょうがない。
「?」
今度雑用振られたら、わたしたちにも一枚噛ませなさい。仲間なんだから頼りなさいよ。
「……」
返事!
「あ、う、うん…わかった」
よし。じゃ、わたし行くわね。
「あ、マイコ!」
なに?
「…ありがとう!」
子供みたいにぶんぶん手を振るリーダーに、ちょっと鼻の奥がくすぐったくなった。
−つづく−
RPGではよくあるお使いイベみたいな感覚ですが、第三者からみたらこき使われてるように見えてしまうかもしれませんね…まぁ主人公のサガですw
ゲーム原作上、ヒロインはフランなんですが、個人的にはマイコにも頑張って欲しいです(負けヒロイン前提みたいに言わない)。