「グリモダール城の中に入れる?」
カッスルの言葉に、フランが目を丸くする。
曰く、200年前のグリモダール城の主は自らの領地と富を守るために、城全体を結界で守ってしまおうと考えたらしい。
一見、城に城門がないように見えるのはその所為のようだ。
さっき自分たちが発見した件の指輪は、その結界を素通りするための法具なのだという。
「まぁ推測に過ぎねえけどな。ともかくそれを実証するためにもだ…」
「そうね。カッスル、彼と一緒に城まで行ってみて頂戴」
あとはオレに任せてくれ。とカッスルが目配せした。
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カッスルは館のエントランス、魔法の鏡の前に来た。これを使うらしいけど…
「でもこれ、目的地側にゲートストーンが機能してないと意味がないんじゃ?」
「慌てんなってマイコ。魔法の鏡やゲートストーンはそもそも、例の王様が作らせた法具の一つなんだ。そしてその指輪は城へのパスポート…とくれば」
「指輪には鏡の行き先を変える力があるわけだね」
ノアルがなるほどとうなづいた。
「それじゃ、早速試してみてもらいましょうか。だけど…」
どうしたの?
「考えすぎかも知れないけれど、気をつけてね?何があるか分からないから…」
ちゃんと帰ってくるからと首肯し、改めて指輪をはめる。
…さぁ、行くよ!
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…ここは、どこだ?城なのか?
目の前には奇妙な空間が広がっている。ちょうど、暴走したデモンが鎮座する空間に似ているけれど…
「…お気をつけ遊ばしませ、ゲイザー様」
身に付けていた鍵から、ネプトゥヌスが顕れる。すっと前方に指を指し示すと、空間を裂いて、あられも無い姿の女性が姿を現した。
「こら!ジロジロ見ない!」
マイコにいきなり目を塞がれる。
「…痴話喧嘩はあとでなさってもらいます?あれは魔族…それも、ソル様の眷属ですわね」
大天使ソルの!?
「おそらく、ソル様由来の力を持たされている筈…」
貴方様を殺すために。とネプトゥヌスが告げる。
「でもご安心なさいませ。眷属程度であれば、同じデモンの力で相殺可能です。このまま私をお使いくださいますよう…」
わかった。みんな、武器を構えて!
「ふぅ…無事に突入はできない、か。まぁいつもの事ね」
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女性型の魔族…アスタロトは、流石にソルの眷属というだけあって手強い。
妖しげに身体をくねらせる様に、立ち位置が乱されないように踏ん張るのが精一杯だ。
「リーダー!あんなのに惑わされてたら許さないからね!?」
は、はいっ!
「…っ視線を感じる…これは、大天使ソル様の眼差し!?」
と、ネプトゥヌスが異変に気づいたようだ。全力で行くよ!
「喜んで!」
水なる人魚のデモンよ…戒めの鎖を解き放て!
「ブッ放しますわぁぁっ!!!」
真の姿を見せるなり、ガトリングの弾を撒き散らす。刹那、魔物の前に出現した巨大な瞳のヴィジョンは粉々に砕け散った。今のが…
「ええ、“ソルゲイズ”…大天使様の瞳は、貴方様と同じく…いえそれ以上の力持つ魔を統べる眼差し。迂闊に浴びれば大変なことになりますが…」
デモンの力で防げる…そうだね?
「その通りですわ。ご本人様ならいざ知らず、眷属程度に齎された力で退くほど、わたくしたちデモンは甘くございませんものっ!」
ガトリングを振るうネプトゥヌスの口調が少しずつヒートアップしていく。
「デモンならざる、いち魔族風情がぁ…このわたくし差し置いて眷属気取ってんじゃねーですわぁぁぁぁっ!!!」
「…すっごい私情入ってるわね、あのデモン」
幻影に隠れながら、マイコがげんなりした顔でボヤいた。
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やっとの思いで魔族を倒す。一息つく間もなく空間が渦を巻き…
気づけば見知らぬ場所に立っていた。
−つづく−
アスタロト戦は、本作の難所の一つと言われてるそーです。
実際無印でも、ここでプレイをあきらめた方がそこそこいるとかいないとか。
ソルゲイズは、空の叙事詩シリーズにおける魅了技“オーマの波動”の系譜ですね。効果を受けるのはゲイザーくんのみという特殊な仕様ですが
ゲーム中ではフランが警告してきますが、ネプトゥヌスに出番あげたかったんで暴れてもらいました👍
…まぁ実際のプレイ時はこのあとすぐマルスに交代したんですけどネ(ぉぃ