武器屋からの呼び出しの理由は、管理人さんの急な発熱によるものだった。
病人の世話ぐらい館に残っている連中で事足りそうなものだと思ったが…どうやらそうもいかないらしかった。
管理人室からは、赤の旧市街もかくやの熱気がドア越しからも伝わる。いや、なんでこれで生きてるのよ?
水を飲ませに入った賞金稼ぎやピーネが、熱中症になってフラフラと戻ってくる…なんともはた迷惑な病人もあったものだ。
「僕が行くよ」
水筒を受け取って、リーダーが入って行く。水飲ませたらすぐに戻ってきなさいよ?
「わかってる」
そう言って、管理人室の扉が閉まり…5分、10分…15分。
「出てきませんねぇ?」
っ入るわよ!!
管理人に腕を掴まれたまま気を失っていたリーダーを、私たちでどうにか運び出す。
元がデモンゆえか、そこまで重篤な事態にならなかったのは不幸中の幸いというやつだろう。
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いつしか日が暮れていた。いつもなら夕飯の時間だが、あいにく料理番はまだ寝込んでいるはずだ。仕方ない、何か簡単なものでも…と思って下に降りると、テーブルにはすでに料理が並んでいた。ソロでハンターをやっている少女・ルルが作ったらしい。
せっかくなのでご相伴に預かろうとすると、リーダーも降りてきていた。もう大丈夫なの?
「うん、どうにかね」
腕掴まれたくらいでその場に留まるなんて…振り解いちゃえば良かったのよ。
「そういうわけにも…いや、別に良かったのかな?ああでも…行かないでって言われてさ」
…呆れるほどお人好しだこと。
「ああ、そうそう。プロメスから聞いたんだけどね」
葬儀屋から?何を?
「フランが熱を出した理由。呪いだって言ってた」
呪い?誰が仕掛けたのよ?
「プロメスは、フランが自分にかけたって」
彼女が言うには、ローナさんの件であれこれ自分を責めていたらしい。そういえば、ここ数日はまともに食事も取ってないとピーネがボヤいていたっけ。
…ふと、あの日わたしが彼女にぶつけた言葉を思い出す。リーダーの為にと荒らげたあの言の葉も、彼女を責める一因なってしまったのだろうか。
だとしても──
あのときのことを悔いることは、絶対にないだろうけれど。
−つづく−
青の旧市街を進行中に挟まるイベントでした。
リアルでも、自分を必要以上に責めると当然ストレス溜まりますし、熱も出るでしょうね。現代社会でそうあるのはむずかしいですが、テンションリラックスで。