昨日は色々なことがありすぎて、そのまま竜姫亭に戻ることにした。
管理人室を訪ねても、フランは多くを語ろうとはしなかったが…
「近いうちに、かならずあなたたちには本当のことを話すから…」
そう必死な表情で言われては、何も言う事はできなかった。
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改めて時計台にミスリル電光石を仕掛ける。
大きな音がして、歯車が動き出すのを感じた。これで動かせなかった昇降機も使えるはずだ。
「シャーク教団さんたちの無念、無駄にしない様にしましょう…」
ビアンカが電光石…司祭の魂に祈りを捧げた。
時計塔を降り、再び昇降区へ。
昇降機で行ける先は、地下3階と、地上3階、それと4階か。
「どこから行くの?」
そうだな…まず上を目指してみようか。
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地上3階。“春の王宮”なるエリアへ足を踏み入れる。
『お父様、新たなデモンの気配を察知しました』
うん。フランから討伐を頼まれてるデモンはあと2体。天使のデモンと悪魔のデモンだっけ。
『この辺りは光のエレメントの力を強く感じます。おそらくは前者かと』
双子曰く、サークルは7カ所。まずは地道に潰して行こう。
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「我が名はウラヌス。主の園を汚した者に神罰を下します。覚悟なさい…!」
っと、今回は結構早いタイミングで出てきたな…!
「神に刃を向けること、愚かしいことだと理解しなさい!」
翼を広げた、まさしく天使の様ないでたちのデモンが、等々と語りながら矢継ぎ早に攻撃を仕掛けてくる。
「っは、あいにくこちとら無神論者でな!」
「あ、それは聞き捨てならない発言ですよノアルさん!」
魔法を放ちながらなんとも緊張感のない会話である。
「罪を悔い改めるのであれば、主は汝を許してくださいますでしょう…さぁ、懺悔なさい!」
その主っていうのは、ソルのことでしょ?仮にも裏切り者とされてる僕を、そうそう許すとは思えない…ねっ!
「くっ…愚かな。その選択、後悔するがいい…」
古のマトックの一撃が、デモンの武器を砕く。
「ですが断言しましょう。あなた方は、この先へ進むことは絶対にできません!」
捨て台詞を残して、ウラヌスは姿を消すのだった。
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その後も、見つけたサークルを潰しつつ、城内を回っていく。
「さて、サークルの数も半分くらいか。もう少し攻めておきたいな…うぉっ!?」
といいつつ歩くノアルが、突然吹っ飛んだ。
「な…なんだぁ?」
通路の先で、ゆらゆらと揺らめく盾の様な幻影が浮かびあがっている。ノアルを弾き飛ばしたのはこれのようだ。
「ふん…こんな壁、俺様の魔法で…」
と呪文を連発するが、吸収とも反射とも異なる挙動で、魔法攻撃は一切寄せ付けない。
『魔法でダメなら…』
『直接攻撃ならば!』
クリスとクレアが突撃して、武器を振り下ろす。しかしそれも光に阻まれ、今度は双子も吹っ飛ばされた。
「さっきのデモンが言ってたのはこういうことか…どうするのリーダー?」
仕方ない、別のルートを進んでみよう。
『一つ上の階に、デモン・ウラヌスと近しいサークル反応を検知しました。まずはそちらへ』
双子の提案にうなづいて、僕たちは昇降機へと戻った。
−つづく−
盾については、念話機からの情報がありましたが、次回に回します。
ウラヌスとのワンダーデモン戦は4ターンでどうにか。うっかり常駐呪文をかけ忘れた状態で始めたものの、まぁ悪くないリザルトだったかな。