スパイス探しの冒険がひと段落して、あとぼくがチャレンジすべきポイントは…
「ふんふん…ジムが3か所と…スター団のアジトが2つ…ってヒイロ、まだそんな危ないことしてるの!?」
「うわっ、ネモ!?」
後ろからぼくのスマホロトムを覗き込んでいたネモにジト目で睨まれる。
「…まぁ、ジムバッジ5個も持ってるレベルなら不良相手でもどうにでもなりそうだけどねぇ」
「不良グループっていったって、殴ったりとかそういうのじゃないから…」
レッツゴー!でお任せバトルロイヤルするぐらい特殊ではあるけど。あとデカい車とか。
「っていうか、単なる不良グループとは思えなくてさ…」
「そうなの?よくわかんないけど」
流石にスターダスト大作戦の内容や、その中で起きた出来事をネモに喋るわけにはいかないか。それこそ巻き込んでしまいかねないし。
「それより!ジムバッジ取ろうよジムバッジ!」
ベンチに座っていたぼくをおしりで押して隣に滑り込む。ち、近い…
「ええと…あと残ってるのは、ベイクタウンにフリッジタウン、それと…ナッペ山のジムだね」
一方、残るスター団アジトは北1エリアにあるかくとう組と、北3エリアのフェアリー組か
「だいたい北部に集中してるね…」
「アジトがどうかはともかく、ジムはアカデミーから遠ざかるごとに難易度が上がるから、最終的にどうしてもそうなっちゃうよね」
ナッペ山方面はパルデアでも屈指の寒さということで、まずは唯一南部に残っているベイクタウンに向かおうか。
「そうね。あんまり暖かいのと寒いの行き来してたら体調崩しそうだし…」
身に覚えでもあるのか、ネモが身震いした。
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ベイクタウンは、パルデアの南西部に位置する海沿いの街だ。昔から良質の土が取れることで、陶器づくりが盛んなところらしい。街中のいたるところが、陶器で作られたタイルによって彩られている。
ベイクジムでのジムテストは…なんとエクササイズ。
「ここ、エスパータイプのジムでしたよね…?」
「ふふっ、わがジムリーダー・リップが開発した独自のエクササイズなんですよ」
「なるほど…?」
インストラクターの指示通りに身体を動かすということで、隣にある公園…もといエクサイズ会場をめざす。たしか黒いジャージを着た女の人って言ってたけど…あ、いたいた。すみませーん…?
「うん…やぁ、転入生ではないか!!」
「キハダ先生!?」
なぜかアカデミーのバトル科の先生がいた。どうやら授業のない時はここでジムリーダーを手伝っているらしい。
「ジムリーダーのリップとは子供のころからの付き合いでね。負けた方が勝った方の言うことを聞くというルールでポケモン勝負をして…その…」
…まぁ、色々あったらしい。ともかく彼女の指導の下、喜怒哀楽…ならぬ喜怒"驚"楽エクササイズをやってみることに。
「さぁいくぞ…全身で感情を表現するんだ!まずは“喜”!めいっぱいよろこべ!」
「次は"怒"だ!全力のおこり顔!」
「まだまだ!続いて"驚"!思いっきりおどろいて!」
「最後は"楽"だ!たのしさを爆発させろ!」
なるほど、表情だけじゃなく身体全体で感情を表すことで心身を鍛えるってこと…なの?
「うむ、概ねそんな感じだ!エスパータイプの真髄は精神力。強力な精神は、強靭な肉体に宿る!ゆえに体を鍛えれば、心もついてくる。そしてこのエクササイズは、感情も一緒に鍛えることで精神力を養うというわけだな!」
さすがにインストラクターをかってでているだけあって、詳しく説明してくれる。幼なじみが活躍していることも、彼女にとっては誇らしいのだろう。そんな感じの表情が見て取れた。
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キハダ先生から合格をもらったので、いざ本番へ。ベイクタウンのバトルコートは、中央にそびえたつ巨大な天文台の足元に存在した。
案内されたのはいいんだけど…肝心のジムリーダーがまだ来ていないようだ。連絡入ってると思うんだけど…
「そうね…わかった、こっちで進めておくわ。キャッチコピーは…」
と、後ろから女の人の声。振り返ると、2台のスマホロトムを駆使して連絡を取っている綺麗な人。ジムリーダーのリップさんだ。彼女は通話を続けたままコートの反対側に到着してから、「それでは、失礼しまーす」と接続を切った。
「ええと…お仕事中でした?」
「あら、お気遣いしてくれるの?優しいのねあなた。でも気にしないで。挑まれたならジムが優先よ?」
仕事も大事だけど。とクスっと笑って見せる。メイクアップアーティストが本業らしい。
「キハダちゃん、褒めてたわ。あなたとってもゴイスーだって」
…ご、ゴイスー?
「そんなゴイスーなあなたを…リッププロデュースのエクササイズでさらに美しくして…ここからはリップの技で、もーっと美しくしてあげる!」
眼光が戦う人のそれになった。いくよ、エルダ!
「ふふっ、セオリー通りのあくタイプ…堅実なのね?いい感じだわ。じゃあリップも…さぁリキキリンちゃん、行っちゃってー!」
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あくタイプの攻撃はエスパータイプに効果バツグンだ。リップさんの繰り出すポケモンたちをつぎつぎつじぎり、いよいよ残るはあと1体。テラスタルを切ってくるのは当然として…どんなポケモンで攻めてくる?
「フラージェスちゃん、お色直しよ!新しい自分に…生まれ変わって!」
花束のようなポケモンが、神秘の輝きを身にまとう。だったらこっちも…エルダ、芽萌の輝きをまとえ…テラスタル!
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「…解けないマジックね、あなたの強さは」
ジムバッジを手渡しながら、リップさんがぼくに微笑みを向ける。
「あやうく美しさまで負けるところだったわ…まぁ負けるつもりはないけれど」
「はは…まぁ特に何かしてるわけでもないので」
しいて言えばポケモンウォッシュをこまめにしてるくらいだ。
「本当?こんなに毛ツヤ綺麗なのに…愛されてるのね、このマスカーニャちゃんは」
「カニャ!」
当然だと言わんばかりに、エルダがドヤ顔で胸を張った。
-つづく-
序盤にDLC前半戦クリアしたことによる底上げと、DLCで入手した経験値増幅アイテムのお陰かこの時点で手持ちの平均レベルが70前後。多分あくタイプ使わなくてもごり押しで勝てたなこれ…
でもたぶんこれでも鬼面衆にはボコられる。なんなんあの人外魔境…💧
途中出てきた「トイシブ」という単語がどうしてもわからなくて調べても出て来ず…
「しぶとい」の逆転語(?)だったんですね…コレといいケツカッチンといいゴイスーといい、あなたキハダ先生と同い年じゃねーでしょ絶対…w