炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#ポケモンSV】ぼくの冒険レポート(57):藍の円盤②~姉弟との再会!ブルベリーグとリーグ部【リプレイ風】

【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ゼロの秘宝」「藍の円盤」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。

問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。

 



 

 

 

 

 

ゼイユはテラリウムドームの中央に位置するセンタースクエアで待つという。急いで行かないと何言われるかわかんないな…

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用事があるというタロ先輩と別れ、各エリアを区切る壁面沿いに中央に向かうと開けた場所に出た。ここがセンタースクエア。生徒たちの憩いの場になっているらしく、多くの生徒たちが行きかっている。

「…最近、リーグ部雰囲気悪くない?」
カキツバタさんからあの子にチャンピオン代わってから、部活が楽しくなくなっちゃって…」

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すれ違う生徒からうわさ話が漏れ聞こえる。チャンピオンが変わった?それにリーグ部ってなんだろう…?

考え込みながら上階へ上がると、見覚えのある背中を見つけた。

「ゼイユ、来客」

彼女と向かい合わせで話していた女生徒がぼくに気づく。次いで気が付いたしなやかなロングヘアが、くるりと翻って…久しぶりに、スマホロトムのモニター越しで見た顔がリアルの目の前に現れ…その表情がパッと明るくなった。

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ヒイロ!久しぶり!すっごく会いたかったでしょ?」
「うーん、そうでもないかな?この間も電話したし」
「あんたねー…そういう時は嘘でも会いたかったって言うもんでしょー!?」

ちょっと軽口をたたいてみると、不機嫌そうな顔。ふふっ、相変わらずだ。

「…ウソでも言わないよ。会えて嬉しいのは本当だもん」
「うっ…あんたアカデミーで口説き方でも教わってきたの?」
「え?」
「…いやいい、忘れて」

と、さっきまでゼイユと話していた女生徒は別件があるということでその場を離れる。ゼイユ曰く「面白い人」らしい。また会う機会もあるだろうか。

「それにしても…ふぅん」

ゼイユが改めてぼくを頭の先からつま先まで見回す。

「ブルベリにあんたがいるの…なんか不思議な感じ。しっかり制服まで着ちゃってさ!」
「いいでしょ?ゼイユとお揃い!」
「お揃いって…当たり前でしょ制服なんだし…」

ちょっと照れ臭そうにしながら、ゼイユが肩をすくめた。

 

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あれからもっと強くなったと豪語するゼイユにつきあうかたちで、スクエアのバトルコートを借りてダブルバトル

「最近はブライア先生と色んな地方回ってるからね!そこで育てた新しい仲間、お目見えよ!出て来なさい、グラエナドデカバシ!」
「負けないよ!おいで、エルダマスカーニャ!竃の面をまとえ、ぽにこオーガポン!」

フィールドに4体のポケモンが躍り出る。

「あら!リアルで会うのは久しぶりね、ぽにこ!ま、それでも手は抜いてあげないけど!せっかくだから味わいなさい…テラリウムドームの土の味!」

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いつかと同じようなことを言うものだから、ちょっと吹き出しそうになってしまう。

「笑ってんじゃないわよ!手ぇ出るよ!」
ポケモンバトルでリアルファイトはだめですー!あはははっ!」
「んにゃろう…マジで味わせちゃるんだから!ドデカバシ…"くちばしキャノン"!」

ドデカバシのくちばしが加熱を始めた。

 

   *

 

「ちょっ、あんたダブルバトル地味に手慣れてない?どっかでやってたの?」
「一応ウチのリーグで採用してるジムもあるし、さっきここの生徒とも戦ったんだ!」
「うわーマジか…じゃ、そろそろ本気出しちゃおっかな!?」

続いて繰り出したヤバソチャとズルズキンに合わせ、ゼイユがテラスタルオーブをこちらに向けた。

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「テラっちゃいな!ヤバソチャ!」

煌めくオーブの光の向こうで、ゼイユの綺麗な目がさらに輝きを増した。

 

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「あーあ、テラスタル使えるようになって強くなったのに!相変わらず可愛げない強さしてるわねぇあんた…」

この学園には最近導入されるようになったと聞いたし、ゼイユも持ってるとは思ってたから対策はね。それに…

「これでもチャンピオンだし。林間学校の時よりは強くなってるよ?」
「なーまーいーきー!」

ゼイユの両手がぼくの頬をむにっと引っ張った。

「…ひょういえばさ」
「うん?」
「シアノ校長に聞いたんだけど、ぼくのこと交換留学に推薦してくれたんだって?」

ぼくがそう聞くと、引っ張る力を緩めて視線を逸らす。

「あー…ついでよ、ついで。もしあんたが申請忘れてて来れなくなったらカワイソーだしねっ」
「忘れないよ。絶対に会いたかったんだもの。ゼイユにも…スグリにもさ」
「…そうね。あんたはそーいうやつよね」

頬から話した手を広げて、今度はむにっと挟み込まれた。

「…来てくれてありがと」
「…呼んでくれてありがとう」

にへへと、ぼくたちは顔を見合わせて笑うのだった。

 

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「…ねぇ、ところでさ」

と、引っ張る手を緩めてゼイユがぼくの目を覗き込んだ。その瞳には、不安と辛さがみてとれる。

「スグとは…会った?」
「いや、まだだけど…何かあったの?」

パルデアにいたときから、近況はゼイユとの通話越しにしかわからなかったし、彼女もあまり接する機会がなかったらしく断片的な情報しかぼくも聞いていなかったけれど…

「いや、会ってないならいいんだけど…」

口ごもるゼイユがぼくから手を離したその時だった。

 

  ━━どうしてこんなこともできないんだよ!!

 

鋭い口調の怒声が、下から聞こえる。え、今の声って…?そう思ってゼイユの方を見ると小さく頷いて、ぼくたちは階下を覗き込んだ。

「やっぱりスグリだ…すっごいニアミス」

ゼイユの視線の先にいたのは、ジャージ姿の二人の生徒の言い争い…というにはあまりにも一方的な光景だった。

「試合用のポケモン、5匹は育ててって、俺言ったよな!?」
「ご、ごめん…今月は家の用事で忙しくて…」

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「…そっか、わかった。だったら━━」

弱弱しく頭を下げるタンクトップの男子生徒を高圧的に睨みつけるのは…

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「…一生、弱いまんまでいたら?」

少し長めだった髪を後ろでまとめ、きっちりと着こなしていたジャージを着崩した…スグリその人だった。

 

 

   -つづく-

 

 


ようやく会えたね!ヒロイン!(言い過ぎ?
実は他のヒロイン候補より地の文で容姿に言及してます。綺麗なお姉さんが大好きな主人公なので(殴

まぁ相変わらずのおもしろねーちゃんで安心しました。たまに書いてた通話ネタともそこまで齟齬無さそうで(今んところは)一安心であります(爆

一方、様変わりしてしまったスグリ。かつてのような友情を築くことはできるのか…?

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