【注意!】
本エピソードには、「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」「ゼロの秘宝」「藍の円盤」に関するネタバレが含まれています。
ゲームをまだ始めていない人で、これから楽しもうと思ってる方は閲覧をご遠慮いただくことをお勧めします。
問題ない方は、そのままどうぞお進みくださいませ。
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「おーす、みらいのチャンピオン!」
テラリウムドームに降りたぼくに、カキツバタ先輩が声をかける。
「おーおー、よーく似合ってるじゃねえの、リーグ部のユニフォーム!」
「そ、そうです?」
「カッコもオソロで、いよいよキョーダイって感じだな!ツバっさん嬉しいぜ~」
ばしばしと背中を叩かれる。カキツバタ先輩曰く、彼を含む四天王はドームの各エリアに一人ずつ、スクエアと呼ばれる場所を拠点にしているという。
「あと、四天王に挑むにゃBPが必要だかんな。足りなかったらブルレクで貯めといてくんな」
BPとは、学園内で発行される電子通貨の一種だ。ブルレク…ブルーベリー・スペシャル・レクリエーション…と呼ばれるミッションをこなすことでチャージされ、購買や学食などで使用が可能…というかBPしか使えないようだけど。バトル特化な学校ならではのシステムだ。
「じゃ、オイラはポーラエリアで待ってっからよ。好きな時に来なよ~」
パルデアと違って四天王へ挑む順番は決まっていないらしい。まずは近場から行ってみようかな?
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…四天王に挑むにあたっては、その前段階として四天王チャレンジを受ける。パルデアでいうジムチャレンジのような…というかそのものだ。
最初に挑んだアカマツくんは、彼好みの激辛サンドウィッチを、サークルメンバーとのやり取りで食材を集めながら作る…という内容。
「辛さを超えて痛みだこれ!体の芯から燃え滾るー!!」
片っ端から辛そうな食材を集めて乗せてみたサンドウィッチを、火を噴きそうな勢いで美味しそうに食べている。一口食べる?と半分近く寄越されたときはさすがに遠慮させてもらったけど。
「アギャ」
「待ってマスラオ食べようとしないでお腹壊すから!」
気を取り直して、アカマツくんとの本戦。繰り出してきたのは炎タイプ。だったら…
「泉の面をまとって…出ておいで、ぽにこ、ぴろ!」
水の力を帯びたツタこんぼうが、ぽにこの雄叫びとともに勢いよく振り回された。
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「勝ちたかったけど…負けたー!」
フライパンで顔を隠しながら悔しそうにアカマツくんが叫ぶ。とはいえとても楽勝とは言えない状況だ。ほのおタイプ使いということで対策したつもりが、時折でてくるくさタイプに翻弄されてしまったし。そうか…これがダブルバトルの怖いところなんだな…
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続いての挑戦は、キャニオンスクエア。ここにいるのは…確か、ゼイユと再会したときに一緒にいた人だ。
「はい、ネリネです」
来ました。と音もなくそばまでやってきていた。受付したのついさっきなのに…
「簡単な推理です。先ほどアカマツから負けたと連絡がありましたので」
「なるほど…?」
ネリネ先輩の挑戦権を得るためのチャレンジ内容は…空を飛ぶタイムアタック。ライドポケモンで空を飛んで、タイムを競うもの…らしいのだが。
「えっと…ぼくのライドポケモン、滑空はできますけど飛ぶとこまでは…」
「ああ、それでしたら問題ありません」
そう言ってネリネ先輩が何か丸っこい団子?のようなものをマスラオに食べさせる。すると、いつか秘伝スパイスを食べたときのようにマスラオの身体が輝きだした。ネリネさん曰く、ドーム内に自生していた不思議な葉っぱを調合したものだという。もしかしてぼくたちの知らない秘伝スパイスなのだろうか?ペパーが居たら嬉々として採取してたかもしれない。
「これで飛べるようになったはずです。少し練習をしてみてください」
ネリネさんに促されマスラオに乗ると、頭の翼が大きく羽ばたき、ぼくたちの身体が浮き上がった。乗り方は走るときとあまり変わらないけど、飛ぶとなると操作がちょっと難しいなぁ…
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苦戦しつつもジムチャレンジは終了し、続けて本戦も突破。アカマツくんの時と同じように対策の対策を取られないようにパートナーを調整したことで、さっきほど苦戦はしなかったけれど、それでも手痛いダメージを受けてしまった。技の構成や出すタイミングなども考えないといけない。帰ったらキハダ先生の授業も受けなおそうかな?
「…ネリネにとってスグリは、友ゼイユの令弟。願わくば、ネリネが彼を救いたかった」
しかし今の自分では力不足だと、ネリネ先輩は視線を落とす。
「ポケモンの強さは心の強さ。スグリへの思いは、ネリネよりヒイロ…あなたの方が強いのですね」
「…そんなことないですよ」
アカマツくんもそうだし、カキツバタ先輩もそうだったように。今のリーグ部、そしてスグリのことを強く思っていることが戦いを通じて感じ取ることができた。それは、ネリネ先輩も同じだ。
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「ブルベリーグ…順調みたいだな、ヒイロ」
スクエアをあとにしたネリネ先輩と入れ替わるように、カキツバタ先輩とスグリが現れた。
「もう二人目を倒したのか…良かった。心配だったんだ…ヒイロが弱くなってたらどうしようって」
変わってなくてよかった。そう屈託ない笑みはあの日のようで…だけど今にも食らいつかれそうな怖さを感じた。
「途中で負けないでな。俺の力…見せられないから」
そう言って、スグリはぼくに背を向けた。
-つづく-
ダブルバトルはこれまでほとんど触れて来なかったので正直未知の領域なんですよねー。テニプリのリョーマ&モモちゃん先輩じゃねーですが、ダブルスじゃなくてシングルス×2をやってるつもりで戦ってきて、それでどうにかなってきたので…
とはいえさすがに四天王だけあってそれが通じるわけもなく…ウチのエースが軒並み落とされる始末orz
正直ごり押しで勝ってる感が否めません。ホント対人戦向きじゃないなーワシw
それでも先行プレイレポで聞こえてきたレベル100でもヤバイってのは…まぁ事実ではあれどそこまででもないかな、とは思います。いやホントにメインターゲットが詰みかねないからね!?
…あーでもメインターゲットがDLCまでやるかっていうと…まぁ?
四天王戦をじっくり書こうとも思ったんですが、まだストーリーの奥行きがあることを考えると執筆もたついてる場合じゃないと思ったので、前後編で。さすがにパルデア四天王ほどキンクリさせるのもあれかなーと。それぞれにリーグ部やスグリへの思いもありましたし。
…ネリスグか?ネリスグなのか?(おちつけ