色々ひと段落ついて、改めて四天王のみんなと会話する機会が増えた。その中で、みんなの考えてることや、それぞれの人間関係なんかもわかったり、あるいは余計に謎が深まったりして…
「そうだ!わたしたちとヒイロさんとでポケモン交換しませんか?」
というタロ先輩の提案で、ポケモン交換会が始まった。どの子を連れて行こうかな…?
「別にオレらの専門に合わせなくても構わねえから、好きに選びなよぃ」
「あ、でもどうせならこっちで見ないポケモンのがいいよなー」
アカマツくんの言葉になるほどと頷いて、パルデアやキタカミでゲットした子たちから選んでみる。
「アカマツくんにはカルボウを、タロ先輩にはパモを送ります!」
「おーっ!こいつがパルデアのほのおポケモンかぁ」
「か…かわいい…っ!」
喜んでくれたようで何よりだ。
「カキツバタ先輩には…シャリタツとモトトカゲどっちにします?」
「それドラゴンなんかぃ…?」
悩んだ末にシャリタツを選んでいた。非常食によさそうって…いや食べちゃダメですよ?
「ネリネには…オタチ、ですか。確か、スグリが可愛がっていたのを覚えています。どことなく…彼を思い起こさせますね」
いつかの彼のおもかげを感じてか、いとおしそうにオタチの頭を撫でるネリネ先輩。
「…ヒイロに倣ってスグリと名前を付けても?」
「…いやまぁ、それは好きにしてもらえれば」
スグリはともかくゼイユが知ったらちょっとひと騒動起きそうだけど。
「…じゃ、じゃあおれもつけちゃおっかな…なんて?タ…タr…あー!やっぱムリ!!」
悶絶するアカマツくんの前で、交換したカルボウ(♀)がキョトンと首を傾げていた。
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「せっかくならゼイユやスグリとも交換したいなぁ…」
「そればっかりは復学なりしてもらわないことには…でしょうけどねぇ」
「だよねぇ…」
みんなは二人と交換したことがあるの?
「ネリネは何度かゼイユと」
「そういやスグリとはやった記憶がねぇな…?」
手持ちのニョロトノどうやったんだろ…あの子通信進化だよね?
「な、な。二人と交換するなら、ヒイロは何送るんだ?」
ふとアカマツくんに聞かれる。そうだなぁ…スグリ、ニョロボンみたいなカエルポケモン気に入ってるみたいだし、ハラバリーとか?他には、アカデミーの新入生に配られる子たちとか…タマゴ孵さないとだけど…などと考えていると、タロ先輩がちょんちょんとぼくの肩をつついた。
「あ、でしたら…ゼイユさんにはカジッチュなんてどうですか?」
「カジッチュですか?確かにブルーベリーにはいないポケモンですけど…キタカミにたくさんいますよ…?」
実際ぼくがゲットしてるカジッチュもキタカミ生まれだし。
「ふふっ…何を隠そうこのカジッチュ、ちょっとした言い伝えがありまして…」
タロ先輩の声が耳を打って…
「…ええっ!す、好きな人にカジッチュを…っ!?」
自分で口にして顔が熱くなるのがわかる。
「ええ。わたしもガラル出身のクラスメイトから聞いただけなんですけど…実際そのクラスメイトのご友人が、そうやって恋を成就させたとかなんとか」
「ま、マジですか…」
もっとも、ゼイユさん本人がその言い伝えを知らないと空振りですが…とタロ先輩が両手でバッテンをつくってみせる。う、その可能性も…
「や、でもゼイユってブライア先生について各地方回ってんだし…ワンチャンあんじゃね?」
「そ、そうかな…そうかも…?」
「しらんけど」
「うぉい!」
早々にフォローを放棄したカキツバタ先輩にアカマツくんが盛大にツッコミを入れた。
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「…まぁ、結局のところ会えなきゃ告白も何もないんだけど」
「あら、想いは直接伝えたい派です?」
「そりゃ…まぁ」
ちなみに当然というか、四天王を含めたリーグ部員のほとんどがぼくがゼイユの事を好いている…というのは周知されてしまっている。まぁあの配信見てるしね…
「…うまくいくといいですね」
「ん…」
仲はいい方…だとは思う。そのへんは大空洞の時にスグリからも指摘されてたし。でもそれは、友達としてだし…なにより弟の友達って面も大きいと思う。ぼくと彼女の間には、いろいろとへだたりが大きいのだ。年齢差とか…身長差とか。まぁ、それはともかく…
「会いたいなぁ…」
ぼくの零したつぶやきは、誰にも聞かれず部室の空調に流れて消えた。
-つづく-
番外編配信直前に書き始めたやつでしたが、随分と後回しに…orz
カジッチュの言い伝えの件は、SV作中でもモブから言及があったような気がしますが…もともとガラル地方でもちょっとローカルな話なんですっけ?(剣盾ミリしら)
現状でも推しキャラとの交換イベでバンバンカジッチュをお送りしているプレイヤーさんもおられるそうなんで、自分もちょっと便乗してみようかなと。それが無かったら多分ニャオハあたりを交換に出してたかも知んない。
次回から番外編・キビキビパニック編に突入しますよー。ネタバレ注意な!