―――次にコウイチの意識が戻ったとき、彼の視界に映ったものは、見慣れたシルエットフォースのコックピットではなく、蒼く広がる空と海原であった。
(…な、何が起こったんだ一体!?)
目の前にさっきまで闘っていた怪獣の姿が見える。
怪獣は視線をこちらに向けると、再び無数の空気弾(エア・バレット)を放出した。
(―――!!)
無意識に腕を前に伸ばす。開いた両の掌からうっすらと輝く膜が広がり、空気弾を弾く。
(防い、だ!?)
視界に映る自分の手を見る。―――様子がおかしい。
恐る恐る手を顔に当てる。憶えの無い感触がそこにはあった。
(姿が…変わってる!?)
混乱するコウイチを尻目に、怪獣は再び空気弾を乱れ撃つ。
と、コウイチは瞬時にそれらをかわした。
(前へ!)
コウイチの意思に応え、その体が宙を舞い、怪獣に肉迫する。
(いけぇっ!!)
振りかざした拳を力任せに怪獣に向ける。強烈な衝撃がに叩き込まれ、怪獣は唸り声を上げてひっくり返った。
(姿だけじゃない…大きさも変わってる)
大いなる力を得た自身の手をじっと見つめる。コウイチはその手を握り締めると、意を決して怪獣に向き直った。
(何がなんだか、未だに分からない…けど)
(今なら……今のこの姿…この力なら…)
(あの怪獣を、倒せる!!!)
コウイチが…銀色に輝く巨人が、気合とともにファイティング・ポーズをとった。
-つづく-