炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

第1話/シーン9

 ―――次にコウイチの意識が戻ったとき、彼の視界に映ったものは、見慣れたシルエットフォースのコックピットではなく、蒼く広がる空と海原であった。

 (…な、何が起こったんだ一体!?)

 目の前にさっきまで闘っていた怪獣の姿が見える。
 怪獣は視線をこちらに向けると、再び無数の空気弾(エア・バレット)を放出した。

 (―――!!)

 無意識に腕を前に伸ばす。開いた両の掌からうっすらと輝く膜が広がり、空気弾を弾く。

 (防い、だ!?)

 視界に映る自分の手を見る。―――様子がおかしい。
 恐る恐る手を顔に当てる。憶えの無い感触がそこにはあった。

 (姿が…変わってる!?)

 混乱するコウイチを尻目に、怪獣は再び空気弾を乱れ撃つ。
 と、コウイチは瞬時にそれらをかわした。

 (前へ!)

 コウイチの意思に応え、その体が宙を舞い、怪獣に肉迫する。

 (いけぇっ!!)

 振りかざした拳を力任せに怪獣に向ける。強烈な衝撃がに叩き込まれ、怪獣は唸り声を上げてひっくり返った。

 (姿だけじゃない…大きさも変わってる)

 大いなる力を得た自身の手をじっと見つめる。コウイチはその手を握り締めると、意を決して怪獣に向き直った。

 (何がなんだか、未だに分からない…けど)

 (今なら……今のこの姿…この力なら…)


 (あの怪獣を、倒せる!!!)


 コウイチが…銀色に輝く巨人が、気合とともにファイティング・ポーズをとった。




  -つづく-