『こちらヒダ。ポイントCの要救助者を確保。これより移送します』
「了解。…これで全部か」
ファイターチームのクドウ隊長が呟いた。
キャノピー越しに現場(げんじょう)を見る。巨大な岩塊がところどころ赤黒く光り、未だ熱を内包していることを示していた。
「…妙だな?」
ざっと見たところ、岩塊の大きさはだいたい30mくらいである。これぐらいの規模なら、落着時に発生するクレーターは直径600mほどのものになるはずだ。
しかし、強烈な破壊をもたらしたであろう痕は皆無であり、実際は周囲の木々が焼け焦げている程度だった。
そもそも、30m程度の隕石ならば、大気圏に入った時点で燃え尽きている可能性が高い。
つぅ、と背中に嫌な汗が流れるのを感じる。
―――ぐらり
そんな中、突然隕石が揺らいだ。
「!!!」
目を丸くするクドウの前で周囲に散らばる岩石が、その大小に関係なくばらばらと集まり、隕石に付着していく。
「なんだ…何が起こっている!?」
次いで地面に埋まっていた岩石までもが隕石に絡みつき、そのシルエットは次第に変わる。
やがて、変化が終わる。
それはもう、こう呼ぶべきものだった。
―――“怪獣”と。
グォォーーーーーーーーーーーーーーン
声帯など存在しないであろう岩石の塊が、吼える。地響きを上げながら、その四肢が動き、大地を踏みしめる。
『隊長! あれは一体!?』
「わからん! だが油断するな!」
『了か…うわぁっ!!』
隊長の命令に応えようとした僚機の通信が悲鳴とともに途絶えた。
傍らの機体…ドラゴンフェザー…が灼熱の岩石をぶつけられ、握り締めた紙飛行機のように脆くもひしゃげていた。
「攻撃だと!?」
眼前の怪獣を凝視する。“口”のような部分が赤熱した刹那、高熱の岩塊が射出される。
「ちぃっ!」
機体を反転させて回避する。通り過ぎた岩塊はやがて自らの熱で燃え尽きた。
「当たらなければどうということはないが…」
あれだけの高熱だ。かすっただけでも機体が溶解しかねない。
それに、万一市街地に入り、あの高熱の岩弾を大量に放たれてしまえば、壊滅的な被害を被ってしまうだろう。
(…俺達はレスキュー部隊。災害に巻き込まれた人々を救うのが仕事だ。
だが、それ以前に、起こりうる災害を防ぐのも、また使命!)
クドウの目が、決意に見開かれる。
「各機、“怪獣”に攻撃を開始! ヤツをここで足止めするッ!」
雄々しく通る声が、スピーカーを揺らした。
-つづく-
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いやはや、半年以上放置プレイですよ。シャレにならんね(汗
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