指令書が示す場所…某企業のビルに侵入した鋼牙とユウスケは、その内部の惨状に眉をしかめた。
「…なんてこった」
苦々しく呟いたのはユウスケだ。エントランスを入ってすぐに見かけた二人の受付嬢が、次の階のフロアでは働いていた会社員が全て…一人の例外もなく、内側から“喰われ”、皮だけの無惨な姿を晒していた。
「酷ぇ…。これ、全部その…<インクブス>ってのがやったことなのかよ」
『ああ。やっこさん、餌場を見つけやがったようだな』
ユウスケの問いに応えながら、ザルバが苦々しく呟く。しんと静まり返ったビルは、人の気配がまるでなく、この場にいた人間は全て喰われたことを物語っていた。
「ザルバ、ヤツは何処に居る?」
『…捉えたぜ、屋上だ』
<インクブス>の気配を察したザルバの声に、ユウスケは階段めがけて駆け出した。
「お、おい!」
『やれやれ…しょうがねえな』
ザルバが溜息をつき、鋼牙はユウスケを追いかけた。
苦々しく呟いたのはユウスケだ。エントランスを入ってすぐに見かけた二人の受付嬢が、次の階のフロアでは働いていた会社員が全て…一人の例外もなく、内側から“喰われ”、皮だけの無惨な姿を晒していた。
「酷ぇ…。これ、全部その…<インクブス>ってのがやったことなのかよ」
『ああ。やっこさん、餌場を見つけやがったようだな』
ユウスケの問いに応えながら、ザルバが苦々しく呟く。しんと静まり返ったビルは、人の気配がまるでなく、この場にいた人間は全て喰われたことを物語っていた。
「ザルバ、ヤツは何処に居る?」
『…捉えたぜ、屋上だ』
<インクブス>の気配を察したザルバの声に、ユウスケは階段めがけて駆け出した。
「お、おい!」
『やれやれ…しょうがねえな』
ザルバが溜息をつき、鋼牙はユウスケを追いかけた。
*
鋼牙がユウスケを追い屋上にたどり着くと、立ちつくすユウスケの視線の先に、一人の男の姿があった。
「あ……ア……阿…」
男は<インクブス>に憑かれていたのだろう。やがて耳障りなうめき声とともに、その身体が痩せ細り、皮だけになって倒れ伏した。
「ぐっ…」
その様を目の前で見せ付けられ、ユウスケの顔が嫌悪に歪む。
「こいつが…<インクブス>」
「あ……ア……阿…」
男は<インクブス>に憑かれていたのだろう。やがて耳障りなうめき声とともに、その身体が痩せ細り、皮だけになって倒れ伏した。
「ぐっ…」
その様を目の前で見せ付けられ、ユウスケの顔が嫌悪に歪む。
「こいつが…<インクブス>」
“……おやぁ?”
と、皮だけになった男の口からふわりと握りこぶし大の醜悪な肉の塊が浮かび上がり、口を利いた。
「!?」
“魔戒騎士のお出ましか。…うん?”
<インクブス>がユウスケを一瞥し、カラカラと哂う。
“おお、オマエあのときのニンゲンか。いやあのときはまいったヨ”
先刻の、ユウスケに取り憑いていたときのことを思い出したのだろう、<インクブス>が大げさに身体を震わせてみせる。人の身体を得ていたら、肩を竦めていたであろうか。
“まぁ、オマエのおかげで……”
呟きながら、インクブスの身体がむくむくと巨大化し、2メートル近い人型をとる。
「なっ…!?」
その姿は、ユウスケも鋼牙にも心当たりがあった。
“このイカしたカラダを手に入れたンだ。ちょいとばかり感謝してやってもいいぜ?”
ユウスケにとって忌むべき、【究極の闇】の姿であった。
“礼代わりだ。オマエは苦しまないように殺して、喰らってやるよ”
「!!」
ユウスケが激昂に奥歯を軋ませる。
『鋼牙!』
ザルバの叫びに鋼牙が頷き、魔戒剣の切先が宙に光の輪を描く。
「……はっ」
ユウスケが腹に意識を集中させる。腰に銀色のベルトが浮かび上がり、中央の石が真紅に輝いた。
ユウスケが激昂に奥歯を軋ませる。
『鋼牙!』
ザルバの叫びに鋼牙が頷き、魔戒剣の切先が宙に光の輪を描く。
「……はっ」
ユウスケが腹に意識を集中させる。腰に銀色のベルトが浮かび上がり、中央の石が真紅に輝いた。
「変、身!」
『ほぉ…あれがクウガってヤツの本来の姿か』
感心したようにザルバが呟く。
「おしゃべりしてる場合か」
鋼牙が叱咤して、飛び出す。クウガもそれに倣った。
「おおおおっ!」
「はっ!」
クウガの拳と、牙狼剣が同時に唸る。が、その攻撃は<インクブス>の両手で阻まれた。
「くぁっ!」
自分の拳を上から握り締められ、クウガが苦悶の声をあげる。牙狼はというと、封じられた魔戒剣をなんとか振りぬき、腕を斬り飛ばす。激痛に<インクブス>の身体が揺らぎ、クウガを押さえつけていた手が緩む。
「しめた!」
その場を離れようとしたクウガを、別の腕が押さえつけ、地面に叩きつけた。
「なっ…!?」
<インクブス>の背中から、新たな腕が2本生え、ただでさえバケモノ然とした姿がさらに異形と化す。
「ユウスケ!」
押さえつける腕を攻撃しようと牙狼剣を構える鋼牙の目の前で、大剣が空を切る。
新たに生えた腕が、闇色の剣を携え、牽制したのだ。
「ぐっ、ぁあ…」
<インクブス>の腕が、クウガを持ち上げる。その腕が大きく振り上げられ、次の瞬間、クウガの身体が放り投げられた。
「うわぁぁぁぁぁ……っ」
とんでいくクウガにつづき、<インクブス>が跳躍する。
『鋼牙!』
「っ!」
鋼牙は一度鎧を返還し、クウガと<インクブス>を追いかけた。
感心したようにザルバが呟く。
「おしゃべりしてる場合か」
鋼牙が叱咤して、飛び出す。クウガもそれに倣った。
「おおおおっ!」
「はっ!」
クウガの拳と、牙狼剣が同時に唸る。が、その攻撃は<インクブス>の両手で阻まれた。
「くぁっ!」
自分の拳を上から握り締められ、クウガが苦悶の声をあげる。牙狼はというと、封じられた魔戒剣をなんとか振りぬき、腕を斬り飛ばす。激痛に<インクブス>の身体が揺らぎ、クウガを押さえつけていた手が緩む。
「しめた!」
その場を離れようとしたクウガを、別の腕が押さえつけ、地面に叩きつけた。
「なっ…!?」
<インクブス>の背中から、新たな腕が2本生え、ただでさえバケモノ然とした姿がさらに異形と化す。
「ユウスケ!」
押さえつける腕を攻撃しようと牙狼剣を構える鋼牙の目の前で、大剣が空を切る。
新たに生えた腕が、闇色の剣を携え、牽制したのだ。
「ぐっ、ぁあ…」
<インクブス>の腕が、クウガを持ち上げる。その腕が大きく振り上げられ、次の瞬間、クウガの身体が放り投げられた。
「うわぁぁぁぁぁ……っ」
とんでいくクウガにつづき、<インクブス>が跳躍する。
『鋼牙!』
「っ!」
鋼牙は一度鎧を返還し、クウガと<インクブス>を追いかけた。
-つづく-
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最近、校正作業が多い気がする。
まぁ、悪いことではないと思うんだけどw
まぁ、悪いことではないと思うんだけどw