炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【牙狼×クウガ】狼の牙と空なる我・シーン5

「くぅっ……」
 空中に投げ出されながら、なんとか体勢を整えようとしていたユウスケの背後に、高層ビルの壁面がそびえ立っていた。
「マズい!」
 咄嗟に丹田…霊石に力を込め、叫ぶ。
「超変身!」
 クウガの鎧が変化した刹那、その身体がビルに強かにたたきつけられる。
「ぐっ…」
 転じた紫色の甲冑が、そのダメージを最小限に抑えたことで、ユウスケの意識はかろうじて残った。
「くそっ…アイツ…!」
 憑依をゆるしてしまったどころか、自身の忌み嫌う闇を見せ付けられ、ユウスケが苦悩に顔を歪める。
「!」
 と、その眼前に、究極の闇を模した<インクブス>が迫ってきていた。
「はあっ!」
 破損したビルから、欠けた鉄骨を拾い上げる。棒状に砕けていたそれは、クウガの手の中で大剣…タイタンソードへと姿を変えた。
 <インクブス>が振り上げた剣に、タイタンソードを合わせ、鋭い金属音が走る。
「うわっ!?」
 その衝撃でバランスが崩れ、クウガの身体が地面に吸い寄せられる。
 それは<インクブス>も同じだったようで、両者は絡み合うようにビルの壁面を転がる。
「…超変身!」
 ユウスケの叫びに霊石が答え、その色を蒼く染める。たちまち身軽になったクウガは、タイタンソードを蒼き杓杖…ドラゴンロッドへと変え、<インクブス>に続けざま打ち込む。

「おおっ!?」
 時折、爆ぜる鉄骨に足をとられながらも、素早い動きで<インクブス>の攻撃をかいくぐり、懐にロッドの打突を繰り出す。が、一撃一撃は軽く、決定打にまでは至らなかった。
「くぅ……っ」
 逆に、次第に動きに慣れた<インクブス>に圧されだすクウガ。ふと下に視線をやると、地面はもうすぐそこであった。
 再び赤の鎧姿に転じ、クウガはガレキを足場に飛びあがる。
「おりゃああっ!」
 ドロップキックの要領で<インクブス>の身体を蹴り出す。削れるビルの壁面から足が離れ、一気に転がり落ち、派手な落着音が地面を揺らした。

「今だッ!」
 追撃を仕掛けるべく、落着地点へと走るクウガ。が、土煙の向こうに、黒い巨体は現れない。
「ユウスケ!」
 と、背後から鋼牙の声が跳んだ。
「どうした、<インクブス>は?」
「見失っちまった」
 ユウスケの言葉に、鋼牙はザルバを促す。が、ザルバは溜息混じりに呟いた。
『…ダメだ。やっこさん、気配をこの辺一体に散らばせてやがる。見つけるのはちょっとホネだな』
「……なら、俺が“見つけて”やる。…超変身!」
 光と共に、クウガの鎧が緑を基調としたものに変わる。
 仮面の向こうで、ユウスケが目を閉じ、全神経を研ぎ澄ます。
 と、クウガの“耳”が僅かな空気の揺らぎを音として認識する。かっと見開いた“眼”が、闇に紛れた<インクブス>の姿なき姿を捉えた。

「そこだぁっ!」
 瞬時に紫の光を宿すと、タイタンソードを振りかざし、<インクブス>めがけて全力で投擲する。ややあって、鈍い刺突音と、<インクブス>の唸り声が響いた。

『すごいな。状況に応じて姿を変えられるのか』
 ザルバが口笛を吹いた。

 痛みに思わず姿を現した<インクブス>と、クウガが対峙する。
 鋼牙がそれに並び立ち、魔戒剣を天に突き上げようとしたが、それをクウガの手が制した。
「?」
「頼む。こいつは…俺にやらせてくれないか?」
 ユウスケの言葉に、鋼牙も思わず表情を驚愕に変える。
「こいつは……俺の“闇”そのものだ。俺がいつか乗り越えなきゃいけないものなんだ。だから……」

 今越えなくちゃ、俺はいつまでも自分の闇に怯えたままだ。
 ユウスケの声が、夜の闇を通り抜ける。

「……解った」
 鋼牙が、魔戒剣を鞘に収めた。
『そこまで言い切ったからには、勝てよ?』
「……ああ!」
 ザルバの激励に、ユウスケは大きく頷いて応えた。


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 …というわけで、今回。
 牙狼でSSを書いている以上いちどやってみたかった
 「牙狼名物・ビル落下バトル」を書いて見ますた……が……


 ムズかしい!!!


 ウマくかけた気がしねえ!
 …あ、それはいつものことか(ぉぃィ

 つーか、ビル落下を示す描写、かなり薄いなァ(滝汗
 今のオイラのスキルじゃこの程度が限界か…

 いや、だからって綿密に描写いれまくっても文章がアホ長くなるだけだしなァ……悩む。

 しかしそれ以上に悩みどころは…


 ユウスケ、どう勝つんだこれ?(ぉ