炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【必殺!】異伝・仕事人相対/第4場

「…な、なんなんだ一体よぉ…?」
 小五郎の傍で素っ頓狂な声がする。視線を向けると、経師屋の涼次が目を丸くしていた。
「人からバケモノが出てきたと思ったら、こんどは派手なお侍さんの登場たァな」
「それにしてもアレ、ナニモノだろ? 魑魅魍魎の類かい?」
 いつの間にか中村主水、からくり屋の源太も集まってきていた。
「さァな…とりあえず解るのは…」
 大げさに溜息をついて、小五郎が呟く。
「この<仕事>、俺たちの手に終えるシロモノじゃなくなっちまったってコトだ」

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「くぅ…流石は志葉の侍共というわけか…。人の<スキマ>に隠れる俺…<ウロミタマ>の隠れ場所を当ててのけるとは…」
「はッ、よく言うぜ。外道も外道…いや、クサレ外道の匂いをぷんぷんさせといて、見つけてくれって言っているようなもンだ!」
 緑色の装束を纏った男が軽口を叩く。
「これ以上、貴様らを地上にのさばらせはしない! 往くぞ!」
 手にした太刀…<シンケンマル>を掲げ、シンケンレッド…志葉烈堂が叫んだ。
「そうはいくか、返り討ちにしてやる! 出あえ、ナナシ連中!」
 負けじと<ウロミタマ>が吼えると、家屋や石の下、ありとあらゆる<スキマ>からわらわらと異形の姿を持った怪人たちが現れた。

「…さ、各々方。ここからは志葉家の務め。貴公らが何者かは問いませぬ。ここは早々に、退いてくだされ」
 烈堂に“爺”と呼ばれた男が小五郎たちに声をかけ、自らもその身を隠す。
「……」
 が、小五郎は動かない。

 否、動けなかったのだ。

 これから眼前ではじまる“戦”に、目を離すことが、どうしても出来なかった。

   *

 無数の<ナナシ>と呼ばれる怪物と、5人の侍たちが大立ち回りを見せる。
 数度、刀同士がかち合う音が響いたかと思うと、次の瞬間、数体のナナシが斬られ、吹き飛んでいく。<天下御免>の触れ込みは伊達ではないらしく、誰もが一騎当千の活躍を見せていた。

 しかし…

「後から後から出てきやがる…どんだけいやがんだあのバケモンどもは」
 涼次が舌打ちをする。
「黙って見てろ」
 小五郎がギロリと涼次をにらみつけた。

「…くっ、きりが無いか…殿!」

 シンケンブルーが声をかけると、レッドが意図を察し、頷いた。

「シンケンマル!」
 鍔の下にはめ込まれた円盤に手をかざし、擦る。
 円盤が回転すると同時に、五振りのシンケンマルが輝き、その姿を変えた。

「瀑水弓(ばくすいきゅう)!」
 ブルーのシンケンマルが青い弓の姿をとる。
「は!」
 引き絞った弦を離すと、光の矢が無数に飛び交い、ナナシ連中をまとめて貫いた。

「天界扇(てんかいせん)!」
「土雷刃(どらいじん)!」

 ピンクが手にしたのは大きめの扇子。一振りすると旋風がおこり、ナナシ連中を空へと舞い上げる。
 続いて、イエローが手裏剣を大きくしたような武器を投擲する。風に乗ったそれは勢いを増し、次々とナナシ連中を切り裂いていった。

「荒木槍(あらきやり)! でぇえりゃあああ!」
 槍を振り回すグリーンがナナシの一体をその穂先で突き刺す。
「はあぁ…たあっ!」
 気合を一つ入れた瞬間、その穂先が一気に伸び、その後ろにいたナナシ連中も巻き込み、団子のように串刺しにしてのけた。

「烈火…大斬刀」

 見上げるような巨大な刀身を軽々と振り回し、レッドが剣の銘を名乗る。
 その迫力…いわば剣気に当てられ、ナナシがたじろぐ。
「はぁっ!」
 力任せとも言いがたい流れるような動きで大斬刀を振るう。空気が高熱を帯び、周りのナナシ連中が斬り灼かれ、果てた。

「ほぉ…たいしたもんだ」
 主水が感心したように呟く。その言葉に小五郎も我知らず頷いた。

「!」
 と、その表情が険しくなった。ナナシの数体がこちらへ矛先をかえ、襲ってきたのだ。
 応戦しようとする小五郎だったが、得物をおられていたことを思い出す。せめて応戦だけでもと脇差を抜きかけた。

「こいつを使え!」

 凛とした声が響き、レッドがシンケンマルを投げ寄越す。ナナシ連中の間を縫って飛ぶ太刀を、小五郎は危なげなく受け取り、そのまま2、3度振るう。
 ややあって、うめき声と共にナナシたちが倒れた。
「……中々の業物だな」
 シンケンマルを投げ返し、感想を述べると、レッドも感心したように溜息を漏らした。
「初めてシンケンマルを扱ったにしてはたいした力量だ。強い侍のようだな」
「……よしてくれ」
 憮然と小五郎が呟き、視線を逸らした。


  -つづく-


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 うー、武器を見せつつ殺陣を表現するのはやっぱ難しいぜ…

 そして同じく難しかったのがウォーターアロー以下4人の武器名称の和名Ver.
 ブルー・ピンク・イエローはともかく、グリーンはたぶんふつーに読めないと思うw

 さてさて、必殺メンバーももうちょっと活躍させなきゃなァ…