「彼の容態はどうです?」
「ええ、ただの過労のようね。外傷も結構あったけど、ほとんどふさがりかけていたわ。栄養剤を投与したから、あとはぐっすり眠れば目を覚ますはずよ」
「そうですか。よかった…」
医療スタッフの言葉に、ミズキがほっと胸をなでおろした。
「そうですか。よかった…」
医療スタッフの言葉に、ミズキがほっと胸をなでおろした。
・
・
・
・
・
「…それにしても、おかしいなぁ」
「なにがだ?」
「なにがだ?」
ブリーフィングルームにて報告を終えたカイトの呟きを、チームメイトのコバが聞きとめる。
「いや、あの青年が倒れていた場所なんだけどね。彼を発見する少し前に、あの周囲をぐるぐる回ってたんだ。そのときは、人の気配もまったくしなくて。それが突然、物音したかと思ったら……」
「ふぅん、フシギな話だネ。まるで“カミカクシ”ダ」
いつの間にかもう一人のチームメイト、ショーンが会話に入ってきていた。
「ショーン、神隠しっつーのは、突然人が消えてしまうことだろ? 今回は突然人が現れたんだから、神隠しって言うよりゃ、“神現し”…ってとこか?」
「フーム…ニホンゴは奥が深いねェ…」
コバとショーンのみょうちくりんなやりとりを聞き流しつつ、カイトはエリーに近づく。
「どうかしましたか?」
アンドロイドであるエリーが、顔だけをカイトに向けて問いかけた。
「ああ、ちょっとコレを見てほしいんだ」
そう言って、ダッシュパッドを開く。
「青年を助けたのとほぼ同じ時間帯に、前回観測されたのと同じような反応があったんだ」
もっとも、気づいたのはついさっきなんだけど、と続け、エリーにパッドを渡す。
「調べてみます」
そう言って、コンピュータにダッシュパッドを接続すると、彼女の指がすさまじい動きでキーボードを操作し始めた。
いつの間にかもう一人のチームメイト、ショーンが会話に入ってきていた。
「ショーン、神隠しっつーのは、突然人が消えてしまうことだろ? 今回は突然人が現れたんだから、神隠しって言うよりゃ、“神現し”…ってとこか?」
「フーム…ニホンゴは奥が深いねェ…」
コバとショーンのみょうちくりんなやりとりを聞き流しつつ、カイトはエリーに近づく。
「どうかしましたか?」
アンドロイドであるエリーが、顔だけをカイトに向けて問いかけた。
「ああ、ちょっとコレを見てほしいんだ」
そう言って、ダッシュパッドを開く。
「青年を助けたのとほぼ同じ時間帯に、前回観測されたのと同じような反応があったんだ」
もっとも、気づいたのはついさっきなんだけど、と続け、エリーにパッドを渡す。
「調べてみます」
そう言って、コンピュータにダッシュパッドを接続すると、彼女の指がすさまじい動きでキーボードを操作し始めた。
まもなくその動きが止まり、モニターに現場となった山のワイヤーフレームモデルが浮かび上がる。
「…間違いありません。3時間57分43秒前に観測したものと、同じ震動波です」
「震動波?」
「はい。空気や地面などではなく、空間そのものが振動して発生するものです」
「震動波?」
「はい。空気や地面などではなく、空間そのものが振動して発生するものです」
エリーの説明は難解でカイトには理解しづらいものだったが、空間が揺れる、という現象がかなり特異なものであることはわかった。
「なぁ、エリー。もしも…その震動波が広範囲に、それもかなり強力に発生したら……どうなるんだ?」
エリーは眉一つ動かさずキーを叩き、その答えをモニターに示す。
「あくまでシミュレーション上ですが、空間が大きくゆがみ………それがもたらす影響は、まったくの未知数です」
<UNKNOWN>を示すモニターに、カイトの背中を、冷たい汗が伝った。
「あ、カイト隊員」
ふと、エリーが口を開く。
「収容されていた要救助者の身元が判明しました。名前は―――」
ふと、エリーが口を開く。
「収容されていた要救助者の身元が判明しました。名前は―――」
*
「やぁ、気がついたんだね」
「あなたは…?」
「あなたは…?」
医療スタッフから、“彼”の意識が戻ったとの連絡を受け、カイトはメディカルルームにやってきた。
「俺はトウマ・カイト。倒れていた君を、ここに運んできたんだ」
「そ、それは…ありがとうございます」
いえいえ。と笑いながら礼に応える。
「ええと、君の名前は…ヒビノ・ミライ君…だったね?」
「そ、それは…ありがとうございます」
いえいえ。と笑いながら礼に応える。
「ええと、君の名前は…ヒビノ・ミライ君…だったね?」
明らかになった名前を口にすると、ミライと呼ばれた青年はきょとんとした表情になる。
「ヒビノ…ミライ? それが……ボクの名前なんですか?」
「違うのかい?」
「違うのかい?」
カイトが問いかけると、青年は頭を抱えて俯いた。
「……わ、わから……ない。ボクが…誰…なのか……?」
「え…?」
「え…?」
そんな彼の様子に、カイトの脳裏にとある単語が浮かぶ。
(ま、まさか……)
「何も…憶えていないのかい…?」
改めて問うカイトに、青年はしばし逡巡していたが…やがて重々しくうなづいた。
改めて問うカイトに、青年はしばし逡巡していたが…やがて重々しくうなづいた。
「記憶……喪失……?」
不安げな表情の青年を前に、カイトが呆然と呟いた。
-つづく-
--------------------------------
なんてこった…まいったぜ(番組が違います