炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

EP:01/シーン11

「な、何が起きたの…?」
「巨人、消えちゃいましたよ!?」
 一部始終を見ていたA.N.G.E.L.の面々が口々に呟く。



「そんな……僕を…守った…から……?」

 一方、その最期を一番近くで見ることとなったユウキは、呆然と立ち尽くしていた。

 と、キラキラと散らばる光の粒が、まるで吸い寄せられるように一つに集まっていく。

「な、なんだあれ…?」

 それは、やがてふわりとユウキの元に近づき……一つの形を成した。

「え? …うわっ!」

 突然重力に引きずられたそれを慌てて受け止めると、それは、青い鞘に収められた短剣のようであった。

「……これは…」

  “ユウキ……”

「!?」

 突然、ユウキの頭に声が響いた。

  “アマツ・ユウキ……”

「な、何?」

 慌てて周囲を見るユウキだったが、声の主らしき影は見当たらない。

  “ここだ…私は……ここにいる…”

 手にした短剣がキラリと輝いた。

「ま、まさか…さっきの、巨人!?」

  “そうだ……”

 声が応える。

  “私は、君達地球人類が<M87星雲>と呼称している宙域から、地球の文明を知る為にやって来た<※☆○▽~□>だ”

「なんだって?」

  “…済まない。私の名前は地球の言語に変換することができないようだ”

「そうか…無事だったんだね」

 ユウキが穏やかな笑みを浮かべた。

  “あまり状況は芳しくないがな”

「あ、そうか。身体、消えちゃったわけだしな…」

  “そうではない。状況が悪いのは君達人類のほうだ。あの<怪獣>を一刻も早くなんとかしなければ……”

 重々しい<巨人>の声が、ユウキの心に影を落とす。

「……ねえ」

  “なんだ?”

 意を決したように、ユウキが声のする短剣を見つめる。

「僕に、何かできないかな?」

  “………”

 <声>が押し黙る。ユウキがもう一度声をかけようとした時、短剣がぼう、と輝きだした。

「!」

  “我々の住む世界と、この地球という星は、環境が異なる。ゆえに私は、先ほどは満足の行く戦いができなかった。……だが”

「だが?」

  “この世界の住人と一心同体になれば……それでも短時間だが……地球でも活動可能になるはずだ”

 <声>にはわずかな迷いのようなものが感じられた。彼にとっても未知数な行為なのだろう。彼のみならず、一心同体になるであろう相手にも負担がかかる可能性が高い。

 …ユウキは、息を吸って、腹の底から声を出した。

「……僕がやる。僕の身体と、一緒になればいい」

 その言葉に、巨人は息を呑んだようだった。

  “その言葉、君ならきっと言ってくれるであろうと、予感がしていた。だが、危険だ。……下手をすれば命を落とすことになるかもしれないんだぞ?”

「それでもさ。僕は、キミに命をすくわれた。ドラゴンフェザーに乗っていたときと、ついさっき。二度もだ。今度は、僕が君の力になる番だって、そう思うんだ!」

  “…………強いな、君は。地球人というのは、みなこうなのか?”

「さぁ、それはわかんないけど。…でも、僕は弱いよ。君が助けてくれなかったら、とっくの昔に死んでたかもしれないしね」

  “いや、やはり君は強いよ。……では、私のほうからも頼もう。……私に力を、貸してくれないか?”

「ああ! 僕からもお願いするよ。君の力を、僕に貸してくれ!」

  “―――心得た!”

 短剣がひときわ大きく輝いた。

「わっ!」

  “その<剣>を、鞘から引き抜け。君と私はひとつとなり、力を…得るだろう”

「……わかった。いこう!」


 ユウキの右手が、ぐっと短剣の柄を握り、一息に抜く。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」


 ユウキの叫び声が、迸る燐光と混ざり合い、弾けた。



   -つづく-



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 光を掴み―――勇者立つ!

 変身アイテムは短剣型。同じく短剣のヒカリのナイトブレスはしまうことで変身しますが、こちらは抜刀しての変身。プロセスとしてはネクサスのエボルトラスターのほうが近いですね。

 時間があればコレをCGで作りたいですw