炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【レジェンド大戦】Episode:DEKARANGER/ディティシテブル・ストレンジャー


「地球に帰ってくるのも久しぶりだな……」 

 真紅のパトカーが漆黒の宇宙を切り裂いて走る。 

「っと、報告することもあるんだし、懐かしんでるヒマもあんまりないんだけどなぁ……」 

 ハンドルを握りながら、その操縦者はひとりごちる。 

「……うん?」 

 と、地球を捉えていた彼の視界が、端に妙なものを映す。 

「アレは……テツのデカバイク?」 

 地球で出会った優秀な後輩の愛機を見つけ、そちらへと方向を変えて近づく。 

「オーイ、テ……ツ?」 

 胸に金バッジをきらめかせる白き刑事……<デカブレイク>が誰かと話している。 
 その“誰か”を目の当たりにした刹那、<パトストライカー>のパイロット……バンこと、赤座伴番は驚愕に表情を固まらせた。 




     BEGINNIG to LEGENDEAR 
     Episode:DEKARANGER/ディティシテブル・ストレンジャー 




「赤座伴番!」 
姶良鉄幹!」 

 ただいま帰還しましたッ!! 

 二人の声が重なり、デカベースのブリーフィングルームに響く。 

「ああ、よく帰ってきた。久しぶりだな、二人とも」 

 やや疲れた表情で出迎えたのはデカベースの長、ドギー・クルーガーだ。先ほど監視衛星に向けて怒鳴り散らしていた謎の女性への対応に追われ、それがようやく終わったばかりである。 

「バン、さっきのあのテトムとかいう巫女さんはどうした?」 

 バンの相棒であるホージーが問うと、バンは「それがさァ……」と口を濁す。 

「それが、事情を話したら『判ったわ』って言って、そのまま地球に下りていっちゃったんですよ」 

 それも生身で。とテツが引き継いで応えると、ブリーフィングルームの空気に亀裂が走る。 

「……それはもはや、生物としてアリなんだろうか……」 
「考えちゃいけない、感じるのよセンちゃん」 

 最初から最後まで破天荒な巫女に、センちゃんが頭を抱え、ジャスミンがややズレたフォローをする。 

「まぁ、彼女に関してはガオレンジャーなる連中に任せておけば大丈夫だろう」 

 それより、と二人を促すボス。空気に呑まれかけていたバンとテツもようやく我に返り、帰還の理由を告げる。 

「ファイヤースクワッドの俺……というより、地球署のデカレンジャーに通達された指令をヌマ・O長官に代わり、伝達します」 

 すぅ、と息を吸い込んだバンの口から、その“名”が伝えられる。 

  ――宇宙帝国ザンギャック。 

「その規模、首魁、一切が不明。判っているのは、強大なまでの軍事力を以って、宇宙全域をその支配下に置こうとしていること」 

「すでにアマンガ星、ナビ星をはじめ、いくつもの惑星のスペシャルポリスとの連絡が途絶。宇宙警察本部も、直接攻撃は受けていないものの、大艦隊とにらみ合い状態が続き、援軍も満足に出せない状況です」 

 バンと同様の指令を受け取っていたテツが言葉を継ぐ。 

「俺たちは別任務で離れていたから、ザンギャックの攻撃を免れていたんだが……」 
「そのザンギャックが、今度は地球を標的にしたとの情報が入り、改めて地球署で地球の護りにつけって指令が来た、というわけです」 

 二人の説明に、ウメコがあれ? と首をかしげる。 

「でもさっき、宇宙警察本部は艦影なんて感知してないって……」 
「なるほどな……ザンギャックににらまれて、俺たちに虚偽の情報を出すしかなかったってことさ」 

 ホージーの出した答えに、バンが「そういうこと」と頷く。 

「この指令は、宇宙警察本部の上部組織<銀河連邦警察>よりのS級特殊任務だ」 



 ――地球を守りぬいた戦士たちとともに、ザンギャックを迎撃せよ! 



 バンの口から言い放たれた指令内容に、デカベースの面々が知らず武者震いする。 

「以前俺たちと戦った、マジレンジャーアバレンジャーを覚えてるだろ? 他にもスーパー戦隊はいっぱいいるんだ」 
「その彼らと力を合わせれば、ザンギャックにだって決して負けない! そう、警視総監がおっしゃっていました」 

 警視総監――その単語に、ドギーの眉根がぴくり、と動いた。 

「ボス! 事態は一刻を争います! いきましょう!!!」 

 バンの声に、ドギーが大きく頷く。 

「よし……デカレンジャー、出動せよッ!!!」 

『ROGER!!!』 

 一斉に立ち上がった刑事たちが、警察手帳……SPライセンスを手にし、掲げる。 


 ――CHANGE STAND BY! 

 ――EMERGENCY DEKARANGER!! 


 コールを受けたデカベースから、形状記憶金属デカメタルが微粒子状に分解され送信される。 
 そして、彼等の身体の表面で定着され<デカスーツ>となるのだ。 


 ――FACE ON!!! 


 揃い立つ6人が、一斉にシューターに飛び込み、デカマシンへと乗り込む。 
 起動する巨大マシンが、刑事たちの勇気をエネルギーにエンジンを燃やす。 


『みんな、デカマシンの調整はバッチリよ。全力でがんばってらっしゃい!』 

 工房から、メカニックを担当する白鳥スワンの通信が入る。 

「おおっ、さっき帰ってきたばっかなのにもう地球の重力になじんでるぜ。さっすがスワンさん!」 
『ふふっ、おだてても何も出ないわよバン。“私たち”も後から合流するから、しっかりね』 

 スワンの激励に、ロジャー!と軽快に返し、バンがパトストライカーのアクセルを踏み込む。 

「天網恢恢、疎にして漏らさず! ザンギャックの好きには絶対にさせねえぜッ!!!」 

 デカベースを飛び出すパトストライカーのエンジン音に、バンの決意の咆哮が重なった。 




 ――S.P.D/SPECIAL POLICE DEKARANGER! 
   燃えるハートでクールに戦う銀河の刑事たち。 
   彼らの任務は、闇に潜んだ宇宙の犯罪者たちと戦い、 
   人々の平和と安全を守る事である!!! 




   -It continues to the LEGEND WAR- 





 

 君のハートにターゲット・ロック!(挨拶 
 レジェンド大戦SSシリーズも8本目、今回はデカレンジャー編であります。 

 基本的にオムニバス形式の本シリーズ。これまでは各ストーリーに関連性は持たせてはいませんでしたが、前作ガオレンジャー編でかなり絡ませたので、そこから膨らませる形でデカレンジャー編を書くことが出来ました。 

 ん、この手法使える!? 

 当初、最初のシーンはバンだけだったんですが、前回でのデカベースのシーンにテツがいないことに後で気づいてあわてて組み込みましたw 
 テツがいなければバトライザー装備のデカレッドが宇宙空間でテトムに話しかけるというものっそいシュールな画面を展開できたというのにorz 

 まぁ、それはそれで。 

 ところで。 
 <銀河連邦警察>という単語に聞き覚えがある方も多いと思います。  
 「ゴーカイジャーVSギャバン」の公開にあわせて、デカレンにおける宇宙警察との関連をちょっと適当に妄想してみました。 
 まぁ、宇宙警察の上部組織、ってだけの安直極まりないポジなのですが。 

 個人的には各銀河に宇宙警察があって、それを統括するのが銀河連邦警察……という解釈を取っています。 
 ボスが警視総監という言葉に反応したのは、また別のネタがありますが、はたしてそれが今回の映画にどれだけ関わっているのか…… 

 ま、見てのお楽しみってことにしておきましょう♪