炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【W×牙狼】KとR/銀の髑髏と黄金の風・シーン7【スカル×先代牙狼】

 雲が晴れ、丸い月が顔を出す。 

 廃ビルを出て、沈みかける月明かりが照らす街の中を、二つの影が歩いていた。 

『やぁれやれ、厄介なホラーだったぜ』 

 ため息混じりに呟くのは、大河の相棒たる指輪。 

「確かにな。荘吉の協力がなければ危なかったかも知れん。改めて礼を言おう」 
「気にするな」 

 街を泣かせる奴を見過ごせないだけだ。とぶっきらぼうに答える荘吉に、大河はふっと口の端を持ち上げた。 

「……そう言えば」 
「うん?」 

 ふと、荘吉が大河の左手に視線をやる。 

「お前の名前を、まだ聞いていなかったな」 
『ん?』 

 視線を向けられ、ザルバがきょとん、となる。 

『というか、驚かないんだな。指輪がしゃべってるってのに』 
「驚いちゃいるさ。事実は事実だと認識しているまでだ。たとえそれが荒唐無稽な事実だろうとな」 

 ガイアメモリという荒唐無稽が存在する街では、俺の存在なんて些細なことか。とザルバは嘆息する。 

『俺の名前は<ザルバ>だ』 
「旧い魔戒語で、“友”という意味だ」 

 ザルバの自己紹介に、大河が補足する。 

「なるほど。通りで……」 
「?」 

 相棒、というよりは親友って感じだ。 

 そう告げる荘吉に、大河はもう一度破顔した。 

「いいもんだな……俺も<ザルバ>になっていいか?」 
『と言ってるが……どうする、大河?』 

 荘吉とザルバが大河を見る。ふむ、とうなづき、ややあって口を開いた。 

「……とっくの昔になっていたと思っていたのは、俺だけか?」 

 少しおどけて言う大河に、荘吉は一度目を丸くして、次の瞬間噴き出した。 

「っ……くく……やれやれ、一本取られたな」 

 ひとしきり笑ったのち、ふぅ、と一息ついて荘吉は大河に向き直った。 

「もう行くのか?」 
「ああ。俺の仕事はこれで終わりじゃないからな」 

 探偵と一緒さ。とザルバが笑いながら付け加える。 

「次会うときがあったら、今度は酒でも一緒に飲もうか。いい店を知ってる」 
「悪くないな。だが、夜は“仕事”がある」 
「そうか……じゃ、事務所でコーヒーくらいにしておくか」 
  
 他愛ない会話が、二人を笑わせた。 

「……じゃあ、行くか。またな、荘吉」 
「ああ。じゃあな……大河」 

 互いに背を向け、歩き出す。 
 遠ざかる二人の道は、いつかまた重なるときが来るのだろうか。それとも…… 

 ふと、荘吉が振り返る。 
 東へと歩みを進める大河の頭上に、昇りはじめた朝陽が煌く。 

 コートをなびかせる風が陽に照らされ――黄金に輝いて見えた。 




   -つづく- 




 一応本編は終わりなんですが、次回にエピローグがあるんで-つづく-です。 

 今回のシーン、平均よりちょっと短めですが(文字数にして1000文字ちょい)、これ以上増やすのはちょっと蛇足かなと判断。 

 うーん、やっぱり男の友情的なアレコレを書くのは楽しいなあw 

 同じくらいの頻度で男女のいちゃラブ書きたいんですけど、なかなかうまいこといきませんわw 

 仕方がないのでその鬱憤を友情で晴らす。BLにアラズ(ここ重要 


 さて、ベタにベタを次ぐお約束展開のエンドマークに続き、これまたクロスオーバーのお約束ネタ搭載予定のエピローグに、ご期待あれ?