炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【メモ4SS】-今夜はイヴ-【大倉都子】

 ちらほらと舞う粉雪。そんな空を仰ぎ見ながら、冬だなーなどと今更に呟いてみる。

 ふわりと浮かぶ白い息を見送って、オレは隣の家の呼び鈴を押す。

 ―――ややあって。

 軽やか…とはちょっと言いがたい、慌てた足音が置くから聞こえて、はたと止まる。


「……いらっしゃい」
「うん」


 柔らかな黒髪をポニーテールでまとめた少女が、笑顔で出迎えてくれる。


 オレの幼馴染で、腐れ縁で……


 大切な、恋人。





   ときめきメモリアル4 ~あれから、それから~
   EPISODE:MIYAKO -今夜はイヴ-





 久しぶりに入った都子の部屋は、クリスマスらしくキラキラとした飾り付けがしてあった。
 小さなちゃぶ台の真ん中には、松ぼっくりで手作りした小さな小さなツリー。

「あ、あんまりじろじろ見ないでね。掃除してないのばれるじゃない」

 困ったような笑みを浮かべる都子が「ちょっと待っててね」と部屋を後にする。とりあえずベッドに腰掛けてみると、机の上にちょこんと乗っかるウサギのぬいぐるみと目が合った。

「……む?」

 なんか見張られているような気がして、そっと目をそらす。


(…クスクス)

「!?」

 ……空耳、だよな?


 聞こえたような気がする笑い声はとりあえず全力でスルーすることに決めた。


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「お待たせ」

 満面の笑みでおいしそうな匂いとともに現れた都子に、こっそり安堵する。ちゃぶ台をはさんで向かい側に腰掛ける彼女が、てきぱきと料理を乗せていく。

「うわあ…豪勢だね」
「ふふ、ちょっと張り切ってみました」

 ぺろりと舌を出して、得意げに笑ってみせる。暖かな想いを、オレ一人だけが独占している。それが、すごく嬉しいんだ。

「はい、あーん…」

 …でも、さすがにこれは恥ずかしい…いくら二人きりとはいっても。

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 都子のお手製料理もいつしかなくなり、ケーキをつつきながらのんびりとすごす。

「あ、クリームついてるよ。…ううん、そこじゃなくて、ここ」

 口元についた生クリームをひょいと指ですくい、ぺろりと舐める。

「……おいし。あなたの味だね」
「なんかその発言えっちぃなぁ」
「え、えっちくないわよぅ……」

 顔を真っ赤にして反論する都子がおかしくて、軽く吹き出す。

「も、もぉ……」

 頬を膨らませた都子だったが、その口がぽかりと開き、あくびが漏れる。

「…ん、寝不足?」
「ちょっと。今日のために、朝早くから仕込みしてたから」
 なんともなしに言ってのける。気合入ってるというか…オレのためなんだよなぁ、と改めて思う。
「寝ちゃう?」
「や。せっかく二人きりなんだもん。いろいろお話したいの」
「いつもしてるじゃない」
「クリスマスだもん……」

 理由になっているようななっていないような。

 それでも、満ち足りたおなかと、空調の効いた穏やかな室温に、都子はこくり、こくりと船を漕ぎ出す。

「眠いんじゃん」
「んー…ねーむーくーなーいー」

 ぐしぐし、とオレの腕に顔をこすり付ける。猫みたいなヤツだ。

「ねー……」
「ん?」

 ぽやん、とした表情でこっちを見る。

「……しゅき……」
「……うん、オレも」

 寄りかかる都子の髪を撫でる。とろけそうな笑顔の彼女は、心から幸せそうで。

 それを見るオレも、ものすごく幸せで。


 二人きりのクリスマスイヴは、ただただ穏やかに過ぎていった。



   -fin-



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 ハッピー・メリー・クリムゾンスマッシュ!(ベタ

 イブはもう過ぎちまったがそんなこまけえこたあいいんだよ。


 まぁとりあえずクリスマスなので書いてみた。



 いや…マジな話ね。

「3年目のクリスマスは二人きりのイベントがある…と思っていた時期が俺にもありました」的な。

 今トータルで6人ほどクリアしたけど、一部除いて全部クリスマスパーティーで3年目終わっちゃったよチクショウ。

 特に都子はあのセリフからすると3年目はそーいうイベントがあるとかんぐりたくもなるはず。クリアした諸兄、お分かりいただけるだろう?

 さて、既に25日ではありますが、よきクリスマスを~