炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【レジェンド大戦】Episode:GO-GO-FIVE


 戦火……禍々しき災厄の炎が、街を舐めるように焼く。 

 悲鳴を上げ逃げ惑う人々。それをかき分けるように、躍り出る勇士たちがあった。 


「赤バイ用意! 化学消化液・射出!」 

 炎上し、逃げ道をふさぐ車を、一発で沈下させる科学を以って。 

「これ以上近づけっていうのか? 無茶ばっかり言いやがって! これでどうだ!! ダメならもっといい絵送ってやる!」 

 執拗に攻撃を加える艦隊の網をかいくぐり、現状の様子を伝えて。 

「落ち着いて! むやみに走らないで! こっちへ避難するんだ!!」 
「うん、コレで大丈夫。ほら泣かないの。男の子でしょう?」 

 篤い正義の心と、命を慈しむ想いを抱いて。 
 何よりも人々を守ると誓いを立てた者たちが居た。 

「要救助者確保ッ! 諦めるな……俺も諦めねえ! ……人の命は、地球の未来だッ!!」 




    ANECDOTE of LEGENDWAR 
    Episode:GO-GO-FIVE/救急戦士! 再起(た)つ 




 <宇宙帝国ザンギャック>を名乗る大艦隊が地球への侵略を開始して数日が経過していた。 
 かつて地球を守りぬいた歴戦の勇者……スーパー戦隊たちが再び戦場に立つ中、前線に立たず、別の<戦い>に身を投じる者たちがいた。 

「ぐわっ!?」 

 オレンジのジャケットが目に鮮やかなレスキュー隊員が、急激なゆれに足元を救われる。それでも守るように抱きかかえていた要救助者を傷つけず、とっさに庇うのはプロのなせる業である。 

「しまった!? くっそお……」 

 火災広がるビルが、先ほどの振動で廊下が砕けた。 
 万事休す、と歯噛みした刹那、周囲の炎が突然降りかかった消化液により沈下された。 

「大丈夫か!?」 

 砕けた窓ガラスから、巨大ロボの顔が見える。 

「あれは……サージェスレスキューの?」 
『おう、サイレンビルダーだ』 

 ロボ……サイレンビルダーからパイロットの軽快な声が聞こえた。乗れ! と差し出された巨大な手に飛び乗ると、サイレンビルダーはゆっくりとレスキュー隊員と要救助者を掬い上げて地上へとおろした。 

「助かったぜ。有難うな、後輩!」 
『後輩?』 

 疑問符を浮かべるサイレンビルダーに、レスキュー隊員が装備していた面体をはずす。 

ゴーゴーファイブのゴーレッドってな、俺のことだ!」 

 煤まみれの笑顔を見せて、ゴーレッド……巽マトイがぐっとサムズアップをしてみせた。 


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「マトイ兄さん!」 

 助けた要救助者を無事病院へと送り届けたマトイの背後から声がかかる。マトイの弟妹たち、彼と同じく、ゴーゴーファイブの面々だ。 

「おう、お前ら」 
「良かった、無事だったんだね。無線から隊長がひとりでビルに乗り込んでったって聞いて、一発でマトイ兄さんだと思ったよ」 

 心配そうな面持ちの弟・ダイモンに「おめーに心配されるほどおちぶれちゃいねーよ!」とヘッドロックで応えるマトイ。 

「それにしても……ザンギャック。いったいどれだけの戦力を地球に送り込んでるんだろう?」 

 渋い表情で、すぐ下の弟、ナガレが上空を見上げる。スーパー戦隊が束になってかかっても、その艦数は一向に減る気配を見せなかった。 

「ああ。何度かぶつかりそうになったくらいだもんなァ。くそっ、俺たちもまともに戦えりゃ……」 

 自分の手のひらをぱしっと殴り、三男のショウが呟いた。 

 スーパー戦隊が集結する中、彼らが前線に出られない理由は、彼らの本職に集中していたことだけではない。数ヶ月前に父・モンド博士にメンテナンスを理由に、変身アイテムたるゴーゴーブレスを持っていかれていたのだ。 

「お父さん、この状況に気づいてないわけじゃないと思うんだけど……」 

 末の妹、マツリが不安そうな面持ちで口を開く。数年前から研究所の奥に閉じこもることが多くなっていたモンド。何をしているかは妻の律子ですら教えてもらってはいなかったが…… 

「でも、何の理由も無く父さんがあんな一生懸命になるとは思えない。きっと、今回のことも予測してたんじゃないか?」 

 マトイがつとめて明るい声で言った。自分たちの父親だ。ならば信じるだけである、と。 

「信じあうのが……っとと」 

 ダイモンが同調しようと口を開いたと同時に、肩の無線機から声が届く。 

「あれ、この声……父さん?」 

 あわてて無線機を握り、数度応答を交わす。うん、うんと頷いたダイモンは、ややあって4人に向き直った。 

「みんな、研究所に戻れって!」 


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 巽家の自宅でもある<巽防災研究所>に戻ると、懐かしい顔が姿を現した。 

「ミント!」 
「みんな、こっちへ!」 

 ミントが案内する先は、かつての基地へと続く高速路の入り口。 

「って、待て待て。ベイエリアはあの時……」 
『いや、既に再建済みだ』 

 ミントを止めようとするナガレを、モニター画面からのモンドの声が遮る。 

「父さん! もしかして……」 
『うむ。今地球に、グランドクロス以上の脅威が迫ってきている。救急戦隊の出動のときが再び来たようだな……』 

 モンドがキーを操作すると、高速路の扉が開く。ミントの促しに兄弟たちが頷き、基地へと飛び込んだ。 

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 再建された<ベイエリア55>。格納庫へと案内された面々は、久しぶりに見上げる巨体に感嘆の声を上げていた。 

「ゴーライナー……それに」 
「99マシンまで……」 

 モンドからゴーゴーブレスを受け取り、コックピットへと乗り込む。レイザーグリップをセットすると、エンジンがマシンをふるわせた。 

「すごい……なにからなにまで、あのときのまんまだぜ!」 
『ブー。中身は結構新しくなってるんだから。サージェスレスキューの協力で、ネオパラレルエンジンも搭載できたんだからねっ』 

 グリーンホバーのコックピットから響く声に、ショウが目を丸くする。 

「京子センパイ!?」 
『私も、しっかり手伝ったんだから!』 
「最近姿見ないなって思ってたらこんなとこにいたのか……」 

 スパナ片手に力こぶを作ってみせる京子に、苦笑するショウ。 

『まぁ、おかげで完成までに10年近くかかっちゃっただけどねぇ……』 
『その分、性能は折り紙つきだぞ』 

 京子の後ろから顔をだしたモンドが、得意げな笑みを浮かべた。 

「ま、それはこれからいやでも判るさ。いくぞみんな!」 

  ――着装!!!!! 

 ゴーゴーブレスのエンターキーを押すとともに、5色のアンチハザードスーツが兄弟たちの身体を包み込む。 

「ゴーライナー、発進!」 

 浮上したベイエリアから、超弩級鉄道車両が唸りをあげて発進した。 

「よおっし、操縦しながらだが、久々にやるぞ!」 

 マトイが拳を握り、腹の底から声を上げる。 


  ――人の命は地球の未来! 
    どんな危険も厭わない!! 
    世界の平和を心に誓う……燃えるレスキュー魂!!! 


救急戦隊ゴーゴーファイブ、出場ッ!!!」 

 口上を一人で叫びきるマトイ。弟妹たちからツッコミを受けつつ、ゴーライナーは現場(げんじょう)へと向かう。 

 大いなる戦い……レジェンド大戦の、その戦場へと。 



  -It continues to LEGEND WAR……Final Battle- 




 

 久々のレジェンド大戦シリーズでゴザイマス。 

 今回の起点は、レジェンド大戦以前(というか、原典劇中)に大破してる巨大ロボたちはいつ修復、あるいは再建されたのか。という疑問点に対する答えのひとつ。 

 もともとベイエリア含め、ゴーゴーファイブの全装備はモンド博士が10年かけてひとりで作り上げたものなんで。再建も(こっそり)やるなら同じくらいかな……と。 

 ベイエリアが一度壊滅してるんで、データとかもバックアップ取ってるとはいえ建造スペース取るのは大変かもですが、劇中から計算して89年からやってることを考えるとその辺は気にしなくていいのかも。 

 ……それ以前に「グランドライナーやビクトリーマーズは無事だったんじゃね?」ってな突っ込みや、「ガオレンVSスーパー戦隊」でレッドラダー出てたぜ?ってな突っ込みはスルーの方向で。 

 スペシャルなので(マテコラ 

 ゲストにレスキューつながりでボウケンシルバーが登場。 
 ついでにネオパラレルエンジンも提供したというトンでも設定を追加。でも私は謝らない(こら 


 マトイ兄さん一人名乗りの元ネタは原典2話から。あの時も突っ込みこそしてませんでしたが、軽くあきれてましたよね弟妹ズw