炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【オリジナル】鬼神闘者オウガロウ

第2話・シーン1

―――吉備津神社。 岡山……吉備国開拓の大祖神・大吉備津彦命を主祭神とする大社である。 ほかにも、腹違いの弟とか子供とか、一族を奉っていたりするが、それはまぁ割愛しておこう。 前述のとおり、温羅伝承においては吉備津彦命の本陣を構えた場所とされ、そ…

第2話・アバンタイトル

穏やかに晴れた昼前。 俺こと赤津光流が運転する軽自動車が、アスファルトをすり減らしながら走る。 助手席に座るのは友人の吉備津 弾。でかい図体を丸めてなにやら一心に携帯を弄っている。 ―――彼が、怪人ともヒーローとも付かぬ姿に<変身>して、突然現れ…

第1話/シーン5

「大丈夫か?」 ヒーロー然とした<ソレ>は、聞き覚えのある声で俺に問いかける。 「……ダ、ン…なの、か?」 「はぁ? 何言うとるんな。わぇじゃなきゃ誰ゆぅんな?」 ダンらしい<ソレ>が首をかしげる。 「いや、どうみてもダンに見えないから聞いたんだけ…

第1話/シーン4

怪人連中が現れたのとは別方向へ人々を誘導する。 「落ち着いて! 早くこっちへ!」 この事態に落ち着けと言うのも無茶な話だ、と内心思いながらも、とにかくどうにかしなければと声を張り上げる。 誘導した先にヤツらが出ないことを願う。 「ぉおんどりゃぁ…

第1話/シーン3

「な…なんじゃあありゃあ!!?」 悲鳴の聞えた方へ駆けつけると、大通りはパニックの巣窟と化していた。 逃げまどう人々…そしてそれを追い立てる… 「化け…モノ?」 昔絵本で読んだ…鬼とも魔物ともつかない…とにかく“バケモノ”としか形容できない異形の怪人…

第1話/シーン2

結局、誕生日プレゼントはモモコのアドバイスを参考にした。 「サンキュな、モモコ」 「最初っからウチを頼りゃよかったんよ。1コ貸しな♪」 「…それがあるけん頼りとぉなかったンじゃけど」 ツレと一緒に居ると忘れかけた岡山弁が戻ってくる。ちょっとむず…

第1話・シーン1

岡山県。 中国山地と瀬戸内海に囲まれた風土は、決して何かに特化したわけではないけれど… どこか穏やかな雰囲気を持つ、俺たちのふるさとだ。 「じゃけん、さっきから言うとろうが。女の子へのプレゼントならぜってぇこれじゃって」 そう言って、俺―――赤津…

第1話・アバンタイトル

―――時は…満ちたり。 現世(うつしよ)にてあぶれた怨が、邪が、恨が… 凝り固まり、一つとなり、また分かたれ、力を得た! 今こそ! 今こそ! “我等”を礎にして育った彼(か)の国を、その手中に取り戻す時! ―――だが、それは一筋縄ではいかぬ。 彼の国は“日…

鬼神闘者オウガロウ・予告編

―――岡山。 全国的にも年間降水量の少ないこの地は、「晴れの国」と呼ばれ、穏やかな気候と豊かな風土に恵まれた優しい郷である。 しかし… 遥かいにしえより染み付いた様々な怨念が形を成して魑魅魍魎と化し、この地を掌握せんと動き出した。 跋扈する魔物に…