「大丈夫か?」
ヒーロー然とした<ソレ>は、聞き覚えのある声で俺に問いかける。
「……ダ、ン…なの、か?」
「はぁ? 何言うとるんな。わぇじゃなきゃ誰ゆぅんな?」
ダンらしい<ソレ>が首をかしげる。
「いや、どうみてもダンに見えないから聞いたんだけど」
あたりを見渡し、すぐ傍にヒビの入ったショーウインドーを見つけ、それを指差す。
「あん?……………ってうお!?」
<ソレ>がショーウインドーに映る自分自身と目が合い、絶句する。
「な、ななななな…」
まず両手を見て、次にその両手で体中を撫で回し、もう一度ショーウインドーを見る。
ヒーロー然とした<ソレ>は、聞き覚えのある声で俺に問いかける。
「……ダ、ン…なの、か?」
「はぁ? 何言うとるんな。わぇじゃなきゃ誰ゆぅんな?」
ダンらしい<ソレ>が首をかしげる。
「いや、どうみてもダンに見えないから聞いたんだけど」
あたりを見渡し、すぐ傍にヒビの入ったショーウインドーを見つけ、それを指差す。
「あん?……………ってうお!?」
<ソレ>がショーウインドーに映る自分自身と目が合い、絶句する。
「な、ななななな…」
まず両手を見て、次にその両手で体中を撫で回し、もう一度ショーウインドーを見る。
「なんじゃこりゃあ!!?」
「俺が聞きてえッ!!!」
「俺が聞きてえッ!!!」
ふと気付くと、怪人連中が俺たち……正確には<変身>したダンだが……を遠巻きにしたまま囲んでいた。
「……ん?」
「びびってるのか、あいつら?」
ざわざわと動く怪人連中に、今までとは違う雰囲気が見て取れた。
「……よっしゃ」
右手をなんどか握ったり開いたりし、ダンはひとり頷く。
「びびってるのか、あいつら?」
ざわざわと動く怪人連中に、今までとは違う雰囲気が見て取れた。
「……よっしゃ」
右手をなんどか握ったり開いたりし、ダンはひとり頷く。
「おいヒカル」
「なんだ?」
「モモコ連れてちょっと引っ込んでろ?」
「お前は?」
「なんだ?」
「モモコ連れてちょっと引っ込んでろ?」
「お前は?」
俺の問いに、ダンが仮面の向こうでニヤリ、と笑った…ように見えた。
「ちィとこいつらブッとばしてくる」
腕をぐるぐると廻し、首を鳴らす。
不敵に仁王立ちするダンに、痺れを切らしたのか怪人が数体、飛び込んでくる。
「っは!」
懐に飛び込みかけた怪人のどてッ腹にダンが拳を一撃。吹っ飛ぶ…前に、怪人は文字通り消滅した。
「っは!」
懐に飛び込みかけた怪人のどてッ腹にダンが拳を一撃。吹っ飛ぶ…前に、怪人は文字通り消滅した。
!!!
怪人の周りの空気が凍りつく。
「どうした? こねえならこっちから……いくぜっ!」
咆哮一発、群れの中で一番密度の濃い部分に突撃していくダン。
「だぁらっしゃぁっ!」
強烈な右ストレートが怪人の顔面を直撃する。怪人が消し飛び、その“爆心地”の風圧で周りの怪人がなぎ倒された。
「だぁらっしゃぁっ!」
強烈な右ストレートが怪人の顔面を直撃する。怪人が消し飛び、その“爆心地”の風圧で周りの怪人がなぎ倒された。
ギィッ!
長く爪を伸ばした怪人がダンに襲い掛かる。さっきよりすばやくなった。
「…ふんっ!」
腹に気合を込めたと同時に、胸元の宝玉(のようなもの)が蒼く輝き、その姿が変わる。
陣羽織のようなパーツがさらにそれっぽくなり、俺たち岡山県民に馴染み深いあのヒーローを思い出させる。
「…桃太郎?」
腰を屈め、居合いのようなスタイルをダンがとった瞬間、銀色の閃光が走る。刹那、ダンの立ち位置は大きくズレ、その背後で爪つきの怪人が切り裂かれて消えた。
「……おお」
決めた本人も驚いているようだ。
「! ダン、後ろだ!」
さっきのように怪人が群れを成してダンに掴みかかる。一瞬よろけるダンだったが、脚でしっかりと大地を踏みしめ、再び腹に気合を入れた。
「はっ!」
今度は胸元が紅く光り、また姿が変わる。
腹に気合を込めたと同時に、胸元の宝玉(のようなもの)が蒼く輝き、その姿が変わる。
陣羽織のようなパーツがさらにそれっぽくなり、俺たち岡山県民に馴染み深いあのヒーローを思い出させる。
「…桃太郎?」
腰を屈め、居合いのようなスタイルをダンがとった瞬間、銀色の閃光が走る。刹那、ダンの立ち位置は大きくズレ、その背後で爪つきの怪人が切り裂かれて消えた。
「……おお」
決めた本人も驚いているようだ。
「! ダン、後ろだ!」
さっきのように怪人が群れを成してダンに掴みかかる。一瞬よろけるダンだったが、脚でしっかりと大地を踏みしめ、再び腹に気合を入れた。
「はっ!」
今度は胸元が紅く光り、また姿が変わる。
「おおおおおおおおおおおお…りゃああぁっ!!!」
腕だけで群れをまとめて持ち上げ、放り投げる。先ほどまでの陣羽織姿はなりを潜め、筋肉質なボディと、頭部には角が凛々しく立っていた。
「今度は鬼か!」
「今度は鬼か!」
桃太郎と鬼。
一見相対する要素が、間違いなくダンの中にいた。
「ふんっ………こぉおおおおっ!」
右手を前に突き出し、唸る。腕が熱を帯び、やがてそれは雄々しく口をあけた鯉の様な姿をとる。
右手を前に突き出し、唸る。腕が熱を帯び、やがてそれは雄々しく口をあけた鯉の様な姿をとる。
「どっせぇぇぇぇぇぇぇぃぃい!!!!」
雄叫びと共に鯉の口から高熱の塊が放たれ、群れが一瞬にして蒸発した。
怪人が刀を構え、飛びかかる。ダンも何処からともなく刀を抜き、瞬間、金属音がビル街に響き渡った。
「はッ!」
二度、三度、刀が閃き、火花が散る。
特撮チャンバラ映画でも視てる気分だ。
二度、三度、刀が閃き、火花が散る。
特撮チャンバラ映画でも視てる気分だ。
「っとと」
突き、斬り、薙ぎを繰り返したのち、ダンが後ろに跳んで間合いを取る。
「ふぅっ!」
低く息を吐く。と、胸の宝玉がひときわ大きく輝く。紅と蒼の光が交じり合い、強烈なエネルギーを生み、それはダンの持つ太刀に宿る。
突き、斬り、薙ぎを繰り返したのち、ダンが後ろに跳んで間合いを取る。
「ふぅっ!」
低く息を吐く。と、胸の宝玉がひときわ大きく輝く。紅と蒼の光が交じり合い、強烈なエネルギーを生み、それはダンの持つ太刀に宿る。
「っせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいぃ!!!!!」
諸手で握られた太刀を大きく振り上げ、ダンが飛びかかる。とっさに怪人が刀で守りに入るが…
強烈な打撃音…いや、斬撃音が空気を震わせる。怪人は掲げた刀ごと真っ二つに斬られ、次の瞬間断末魔すらあげる間も無く、滅した。
「………夢か、こりゃ」
ひょいと、手近にあったモモコの頬をつねる」
「いひゃ! …って自分のでやんなさいよ!」
モモコの抗議の声をぼんやりと聞きながら、俺はダンから目を離せずにいた。
ゆっくりとこっちに歩いてくるダンは、いつしか元のダンに戻り、にかっと白い歯を見せながら大きくサムズアップをして見せた。
ひょいと、手近にあったモモコの頬をつねる」
「いひゃ! …って自分のでやんなさいよ!」
モモコの抗議の声をぼんやりと聞きながら、俺はダンから目を離せずにいた。
ゆっくりとこっちに歩いてくるダンは、いつしか元のダンに戻り、にかっと白い歯を見せながら大きくサムズアップをして見せた。
「……まったく、仮面ライダーかっつの」
緊張が解け、頬が緩む自分を感じる。
「何が起こったのか、いまだによくわからんのじゃけど」
「まァな。…ま、いいさ」
「まァな。…ま、いいさ」
これから、否が応でもわかっていくんだろう。
こんなことになった以上、ダンの周りの世界は大きく変わるはずだ。
そして、それに巻き込まれた俺たちの世界も。
「やれやれ、まるっきり特撮の世界じゃねえか」
溜息混じりに呟き、俺はダンに手を挙げて応える。
<晴れの国>を巡る、闘いの物語が―――
―――始まろうと、していた。
-第1話・了-
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さて、まずは第1話完っと。
技名等はこれからダンとヒカルがゆっくり考えるってことで(ぇ
まぁ、既に決まってるものも。
劇中で鬼モード(仮)になったダンがぶっ放した砲撃は「鯉喰砲」(こいぐいほう あるいはこいぐいキャノン)。
まぁ、既に決まってるものも。
劇中で鬼モード(仮)になったダンがぶっ放した砲撃は「鯉喰砲」(こいぐいほう あるいはこいぐいキャノン)。
他にもありますが、まだ劇中に出ていないので割愛。
設定はまとまり次第また書くつもりです~
設定はまとまり次第また書くつもりです~
てなわけで、鬼神闘者オウガロウ第1話。まずはこれまで。