穏やかに晴れた昼前。
俺こと赤津光流が運転する軽自動車が、アスファルトをすり減らしながら走る。
助手席に座るのは友人の吉備津 弾。でかい図体を丸めてなにやら一心に携帯を弄っている。
―――彼が、怪人ともヒーローとも付かぬ姿に<変身>して、突然現れた謎の化け物連中を薙ぎ払ったのが数日前のこと。
その化け物どもは、あの日以来姿を見せることは無かったが、マスコミは連日、それこそ世界の終わりが来たかのように騒ぎ立てていた。
「…お、また更新されてら」
ニュースサイトを眺めていたダンが俺に携帯の画面を向けてみせる。…俺、今運転中なんだがな。
「ってか、悪ぃな。運転手やってもらってよ」
と、急にまじめな顔でダンが口を開く。
「気にすんなって。俺だって、お前のアレのこと、少しでも手掛りがあるなら探したいしな」
これがテレビの向こうの世界の話なら純粋にカッコよさを楽しんでいただろう。
だが、目の前で起こったことは純然たる事実なのだ。
たとえその対象が俺ではなくダンであるとしても、なにかあったら目覚めが悪い。
だが、目の前で起こったことは純然たる事実なのだ。
たとえその対象が俺ではなくダンであるとしても、なにかあったら目覚めが悪い。
…というか、自分のことなんだから目的地くらい把握してなさい。
「前に、お前の変身した姿を見た時……俺は、その中に二つの要素を見たんだ」
「二つの要素?」
怪訝な顔をするダンに説明する。
「どっちも俺たちの良く知ってるモノさ。ひとつは、<桃太郎>。…そしてもう一つは、<鬼>」
「……」
「二つの要素?」
怪訝な顔をするダンに説明する。
「どっちも俺たちの良く知ってるモノさ。ひとつは、<桃太郎>。…そしてもう一つは、<鬼>」
「……」
ダンが難しい顔をして、携帯のストラップについていた小さな勾玉を手で転がす。
…ん? あいつあんなの持ってたっけ?
…ん? あいつあんなの持ってたっけ?
「それで、岡山の桃太郎伝説のベースとなった<温羅伝説>ゆかりの地へ行こうって思ったんだ」
ちなみに、そこには鬼神・温羅にまつわる伝承―――温羅の首を埋めた御釜殿や、死した温羅が吉凶を報せる為に鳴らせたという釜も―――も残っている。いわば、温羅伝承の集大成みたいなものだ。
「まぁ、他にも温羅伝説にゆかりのあるポイントはいくつかあるんだけどな。まずはってヤツさ」
「なるほどな」
「なるほどな」
ふむ、と携帯をポケットにねじ込んで、鼻息荒くダンが唸る。
「このこと話したら、モモコも一緒に行きたいってゴネてたよ」
「ま、あいつァ仕事じゃけん、しゃあねえよ」
某ファミレスのウェイトレス姿でダダをこねるあいつの姿を思い浮かべたのか、微苦笑するダン。
「さァて、あとどんくらいで着くんだ?」
「んー、もう20分もかからないと思う」
「よっしゃ」
ひとり頷いて、窓の外に目をやるダン。自らの身体に起きた謎に思いを馳せているんだろうか……
「ま、あいつァ仕事じゃけん、しゃあねえよ」
某ファミレスのウェイトレス姿でダダをこねるあいつの姿を思い浮かべたのか、微苦笑するダン。
「さァて、あとどんくらいで着くんだ?」
「んー、もう20分もかからないと思う」
「よっしゃ」
ひとり頷いて、窓の外に目をやるダン。自らの身体に起きた謎に思いを馳せているんだろうか……
「…それにしても」
「ん?」
「ん?」
「お前の車ン中、あいからず散らかってンなぁ…」
「……ほっといてくれ」
「……ほっといてくれ」
“風と、花と、太陽とともに、我はあり!!!”
鬼神闘者 オウガロウ
第2話:温羅伝説の申し子
第2話:温羅伝説の申し子
--------------------------------
さて、誰も待ってないけど第2話スタート!
今回は説明回になりそうな悪寒…ながながと書かないようにだけは注意しないとなァ…