炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【牙狼SS】紅蓮の剛刃:シーン1【紅蓮騎士篇】

シーン1~西の番犬所~


「…誰です?」
 薄暗い室内。ぼんやりと舞台のように浮かぶ祭壇に、斬より少々年上くらいの容姿の男性が立つ。西の番犬所の神官である。
「南の番犬所に属する、焔群斬。ぶしつけな訪問を、先ずは謝罪する」
 つかつかと歩み寄り、立ち止まると同時に深々と頭を下げる斬。
「ほう、“紅蓮騎士”の系譜の者ですね。…用件を聞きましょうか」
 神官の言葉に、斬はかしこまって腰を落とした。
「先般、西の管轄内に逃げ込んだホラー、この俺に討たせて頂きたく、西の管轄内での行動の許可をもらいたい」
 頭を下げながらも、ハキハキと告げる斬の姿に、神官は軽く頷いた。

「いいでしょう。…ただし」
「?」
「単独行動は許されません。よって、西の管轄の魔戒騎士・絶狼(ゼロ)と行動をともにしなさい」
「……」
「不服ですか?」
 正直、不服ではあった。ひとりで動くことを善しとしていた斬にとっては、厄介な命令である。
『…斬』
「…わかり、ました」
 ヴィスタに促され、不承不承ながらも肯定の意思を示した。
「では、ゼロを紹介…したいところではあるのですが…」
 言葉を濁す神官に訝しげな視線を向ける斬。
「あれはなかなか番犬所に寄り付かないものでしてね。…もっとも、東の管轄も掛け持っていますから、仕方の無い、といえばそれまでなのですが」
「はぁ…」
 そういえば聞いた事がある。西と東の管轄を受け持つという魔戒騎士の話を斬は思い出した。
「まぁ、おそらくいつもの場所にいるのでしょうけれど。…申し訳ないが、そちらから合流をしてもらいましょう」
「仕方ないな…分かりました。では、その場所とやらを教えてもらいましょうか?」


 ・
 ・
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「…へぁっくし!」
『どうしたのゼロ、風邪でもひいた?』
「いや、誰かが俺の噂でもしてるんだろ」
 鼻をこすりながら、ゼロ…涼邑零は今日20個目のシュークリームに手を伸ばした。


  -つづく-



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 西の神官って、TVシリーズでは第二十三話「心滅」に、しかも1シーンしか登場して無いから、いまいちキャラクターが掴みにくいんだよなァ…(トオイメ
 斬本人や「紅蓮騎士」、ヴィスタの紹介はまたおいおいってことで。