省吾が提供してくれた機密ギリギリの情報を手早く手帳にまとめる。
「死亡推定時刻は大体午後8時前後…。今から1時間半くらい前ってとこだな」
「つまり、パーティーの参加者ほぼ全てに犯行が可能…?」
「ちょっと大げさだが、まぁそんなとこだな」
その中でも、警察が目をつけている人物のリストに目を通す。
「まずは順平氏の次男・瀧田宗介氏と、婿養子・瀧田恵(けい)氏か。…パーティ開場で喧嘩してたのは、確かこの二人だったな」
「お互い、会社の経営に行き詰っていて、遺産を当てにしていたみたいですわね」
「遺産欲しさに…まぁ、ドラマなんかじゃよくある話だな」
次にリストに出てきたのは、順平氏付きの運転手であった。
「ええと…久留間賢一さん、ですわね」
「ボディーガードも兼任しているらしいな。だが、少々粗野な性格がたたって、しょっちゅう順平氏から文句を言われていたらしい」
「恨みによる犯行……といったところかしら」
リストに載っていたのはここまでだった。郁人は改めて省吾に問いかける。
「この三人のアリバイは?」
「犯行があったとされる時間帯、宗介氏、恵氏ともに、各々にあてがわれた個室にいたらしい。賢一氏は厨房で酒を飲んでいたらしいな」
「それを証明できる人物は?」
首を横に振る省吾。
「アリバイはナシ、か」
「ちなみに、宗介氏と恵氏の個室は、順平氏が殺されていた部屋と同じ階にある。高さ上、パーティー会場からはほとんど死角になっているから、誰にも見られずに犯行現場に向かうことは可能なんだ」
俺はこの二人のどっちかが怪しいと思うね。と省吾が締めくくった。
「つまり、パーティーの参加者ほぼ全てに犯行が可能…?」
「ちょっと大げさだが、まぁそんなとこだな」
その中でも、警察が目をつけている人物のリストに目を通す。
「まずは順平氏の次男・瀧田宗介氏と、婿養子・瀧田恵(けい)氏か。…パーティ開場で喧嘩してたのは、確かこの二人だったな」
「お互い、会社の経営に行き詰っていて、遺産を当てにしていたみたいですわね」
「遺産欲しさに…まぁ、ドラマなんかじゃよくある話だな」
次にリストに出てきたのは、順平氏付きの運転手であった。
「ええと…久留間賢一さん、ですわね」
「ボディーガードも兼任しているらしいな。だが、少々粗野な性格がたたって、しょっちゅう順平氏から文句を言われていたらしい」
「恨みによる犯行……といったところかしら」
リストに載っていたのはここまでだった。郁人は改めて省吾に問いかける。
「この三人のアリバイは?」
「犯行があったとされる時間帯、宗介氏、恵氏ともに、各々にあてがわれた個室にいたらしい。賢一氏は厨房で酒を飲んでいたらしいな」
「それを証明できる人物は?」
首を横に振る省吾。
「アリバイはナシ、か」
「ちなみに、宗介氏と恵氏の個室は、順平氏が殺されていた部屋と同じ階にある。高さ上、パーティー会場からはほとんど死角になっているから、誰にも見られずに犯行現場に向かうことは可能なんだ」
俺はこの二人のどっちかが怪しいと思うね。と省吾が締めくくった。
「……どう思いますの、郁人?」
「可能なら、俺たちが現場に駆けつけたときの彼らの証言が欲しいところだな」
省吾に視線を向けると、彼は難しそうな顔をしたが、やがて「先輩に掛け合ってみる」と答え、その場を後にした。
「可能なら、俺たちが現場に駆けつけたときの彼らの証言が欲しいところだな」
省吾に視線を向けると、彼は難しそうな顔をしたが、やがて「先輩に掛け合ってみる」と答え、その場を後にした。
「……ふぅ」
「…本を読むのと、実際に推理をするのとはやはり別物ですわね」
ふたりして溜息を付き、フロアのソファに座り込む。と、そこにグラスに入ったジュースが現れる。
「?」
「…あ、あの…よろしければ」
歳若いメイドが、おずおずとグラスを差し出した。
「あ、ありがとうございます」
「頂きますわ」
二人が礼を述べると、彼女は「そ、それでは…」と言ってそそくさと去っていった。
「あんなメイドさん、パーティ開場にいたかな?」
「確か、新人さんだって梢が言っていた方だったかと思いますわ。なんでも、部屋のお掃除を主に任されている方だとか。会場では見なかったと思いますから…どこかお部屋の掃除でもされていたんじゃ?」
「ふうん……」
ジュースを飲み干し、シナモンスティックを咥えて考え込む郁人。
「…省吾に頼んで、彼女の証言も聞いてみるかな」
「?」
郁人の呟きに、首をかしげる小姫であった
「…本を読むのと、実際に推理をするのとはやはり別物ですわね」
ふたりして溜息を付き、フロアのソファに座り込む。と、そこにグラスに入ったジュースが現れる。
「?」
「…あ、あの…よろしければ」
歳若いメイドが、おずおずとグラスを差し出した。
「あ、ありがとうございます」
「頂きますわ」
二人が礼を述べると、彼女は「そ、それでは…」と言ってそそくさと去っていった。
「あんなメイドさん、パーティ開場にいたかな?」
「確か、新人さんだって梢が言っていた方だったかと思いますわ。なんでも、部屋のお掃除を主に任されている方だとか。会場では見なかったと思いますから…どこかお部屋の掃除でもされていたんじゃ?」
「ふうん……」
ジュースを飲み干し、シナモンスティックを咥えて考え込む郁人。
「…省吾に頼んで、彼女の証言も聞いてみるかな」
「?」
郁人の呟きに、首をかしげる小姫であった
-つづく-
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さて、こちらも随分サボってしまった。
うわ、前書いたの1月じゃん。
うわ、前書いたの1月じゃん。
つか、改めて思ったけどなかなか難しいねミステリって。
全ての犯人候補への描写を均等に「怪しく」描かないとすぐ犯人バレしそうで怖い(滝汗
全ての犯人候補への描写を均等に「怪しく」描かないとすぐ犯人バレしそうで怖い(滝汗