下半身が車の車輪のようになった<ドーパント>がそれを高速で回転させるたびに、地面に敷かれたタイルがひび割れ、はじけ飛ぶ。
破片の嵐の只中にあって、正木忠義……刃野から捜索以来を出されていた男……は、微動だにせず、その場に立っていた。
「ばっ……何やってんだ逃げろ!」
大声を張り上げ、正木に退避を促す翔太郎。
が、その声は彼にとは届かない。
大声を張り上げ、正木に退避を促す翔太郎。
が、その声は彼にとは届かない。
「……ようやく見つけたぞ、車谷」
無精ひげが散らばる口元が揺らぎ、低く声を響かせる。
おもむろに振り上げられた左手の先に持っていたものを見て、翔太郎と亜樹子が小さく驚きの声を上げた。
「あれ…!」
「<ガイアメモリ>…!」
「<ガイアメモリ>…!」
-JUSTICE-
ガイアメモリのキーを押すと同時に、ガイアメモリの電子音<ガイアウィスパー>が響く。
正木がゆっくりと右腕を掲げる。その肘には、ガイアメモリ使用者特有のアザがあった。
そのアザの中央に向けて、ガイアメモリの先端をあてがい、一気に押し込む。
そのアザの中央に向けて、ガイアメモリの先端をあてがい、一気に押し込む。
「…!」
わずかに顔をしかめた瞬間、膨大な熱量が彼を中心に渦巻き、一瞬で彼の姿を…“変える”。
「…はっ!」
崩れかけた地面を蹴り、飛び上がる。左に比べ、僅かに肥大化している右腕が唸りを上げて、彼が車谷と呼んだ<ドーパント>を襲う。
が、その拳が届く前に、ドーパントの車輪がその体を移動させ、躱す。
「ひょっとして、あの人…」
「ああ、殴ることしか能がないっぽいな」
「ああ、殴ることしか能がないっぽいな」
翔太郎がデジタルカメラを取り出し、それに<ガイアメモリ>を模した<ギジメモリ>を装填する。
-BAT-
掠れたガイアウィスパーと同時に、カメラがコウモリのような姿になり、戦場へと飛んでいく。
携帯電話を開くと、コウモリのカメラ…<バットショット>の映像がモニタに飛び込んできた。
携帯電話を開くと、コウモリのカメラ…<バットショット>の映像がモニタに飛び込んできた。
モニタ越しに、ドーパントを追いかけ攻撃を繰り返す正木の姿。
と、回避に徹していたドーパントが高速移動の先を正木に向けた。
「!」
咄嗟のことに回避体勢がとれず、ドーパントの体当たりをモロに受けてしまう。
「がはっ…」
すさまじい衝撃が体を突きぬけ、10メートルほど吹き飛ばされる正木。
《まったく、いち公僕の分際でしつこいんだよ。おとなしく事件の捜査だけしていれば良かったものを…》
ドーパントがあざけるように笑う。
「黙れ…!」
積もった瓦礫の破片を払いながら、正木がよろよろと立ち上がる。
「俺は<正義>を目指して、警察という道を選んだ! その警察に巣食う<悪>を、裁いて何故悪い!?」
《世の中には、裁かれざる<悪>というものもあるんだよ……これだから清濁飲み合わせるということを知らない若造は困る》
「いや、違う」
翔太郎が呟く。超加速によって消えたように見えただけなのだ。
「うわあっ!」
体当たりがさまざまな方位から繰り出され、正木を強かに打ちのめす。
《とどめだ……!》
いったん動きを止めたドーパントが、まっすぐに正木をにらみつけ、一気に飛び込む。
「……っは!」
激突の瞬間―――
「!」
《お……おお?》
ドーパントの腹部に、深々と正木の右拳がめり込んでいた。
「攻撃がワンパターンで助かったぜ。…どうやったって俺に突っ込んでくるんなら、待ち伏せできるってわけだからな」
「……潰えろ!」
「アレは…<メモリブレイク>?」
目を見開く翔太郎。その眼前で、正木の拳が、ドーパントの異形の体躯を撃ち抜いた。
-つづく-
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さて、そろそろプロットを練っていかないとヤバくなってきますたw(ぇ
正木の目的、そしてその結末は?
オイラにも分かりません!(阿呆
オイラにも分かりません!(阿呆