「ホワチャアッ!」
仮面ライダーメテオに転じた流星が、100人組み手よろしく星の魔人と対峙して退治する。
星心大輪拳の技が、流星の、メテオの心と身体を通じ、次々に叩きのめしていくのだ。
「っ!」
突進してくる巨体。鋼のボディを持つドラゴン・ゾディアーツだ。その強度にはフォーゼも苦戦させられた難敵である。
-JUPITER READY?-
進撃に備え、メテオが右腕に装備された専用ツール・メテオギャラクシーのレバーをセットする。
-O.K.JUPITER!-
「インガ、一気に決めるッ!」
「わかったわ!」
「まとめて面倒見てやるぜッ!」
-O.K.SATURN! LIMIT_BREAK!-
「ホワチャァッ!」
メテオスイッチによって強化された土星の斬撃……<サターンソーサリー・リミットブレイク>が無数に飛び交い、ゾディアーツもダスタードもまとめて切り裂く。飽和したコズミックエナジーが誘爆し、悪意の塊はもれなく星屑すら残さず消し飛んだ。
「……ふぅっ」
新手の出現を警戒しつつ、メテオとインガが散らばったゾディアーツスイッチを拾い回る。その数は出現したゾディアーツとイコールであるため、かなりの量だ。
「流星、見て……?」
「これ……全部“ラストワン”状態じゃないか……」
ゾディアーツスイッチは、数回の利用で“ラストワン”と呼ばれる状態に変化する。この状態でスイッチをオンにすると、ゾディアーツは更なる力を得ると同時に、スイッチの所持者・“スイッチャー”はコズミックエナジーの肉体に精神を取り込まれ、人間としての肉体は抜け殻となってしまうのだ。
「街中に人の気配がしないのはこの所為か……」
「さっき、ちらっといくつか家の中を見てきたわ。中で人が倒れていた」
ゾディアーツスイッチをオフにすると、パチパチと音を立てて消滅した。これで意識を失っていた住人たちも目を覚ますだろう。
「よし、これでいい。捜査はこれからだな……」
「そうね。まずはゾディアーツスイッチを住人たちにばら撒いた人間を見つけないと」
インガの言葉に頷きながら、「それもだが……」とメテオが言葉を濁す。
「さっき戦ったゾディアーツに、妙な違和感があったんだ」
姿かたちこそ、日本で戦ったものと変わらない。しかし、まとう雰囲気が僅かに異なっていたのだという。
「スイッチャーが、アリシア連邦の人間だからじゃないかしら? 人種が違えば、雰囲気も変わるでしょう?」
「それもそうだが……」
ひっかかる違和感を振り払いきれず、首をかしげながら変身を解こうとしたメテオが、人工複眼・トレーシングアイの視界に人影を捉えた。
すわ新手かと身構え、その人影を正面に合わせる。その瞬間、流星がメテオの仮面の向こうで目を丸くした。
「まさか、そんな……!?」
純白の衣装を纏ったその人物は、顔を仮面で隠しておりその正体は判然としない。
しかし、その“仮面”そのものに、メテオ……流星は見覚えがあった。
「タチバナ……さん?」
かつて、<反ゾディアーツ同盟>を名乗り、流星にメテオの力を与えた人物。その正体は、ホロスコープスのヴァルゴ・ゾディアーツこと江本だったのだが……その江本が、正体を隠す際に用いていた仮面を、眼前の人物は被っていたのだ。
「お前、何者だ? なぜタチバナさんの……江本さんの仮面を被っている!?」
「……ボクはエモトでもタチバナでもない……」
声を荒げるメテオの問いに、仮面の男が呟きながらすっと何かを取り出した。
「それは……!」
今度はインガが驚きの声を上げる。男の手にあるもの、それは“天球”であった。
「ボクは……<メテオ>だ」
-meteor ready?-
天球……メテオドライバーを起動し、仮面の男が流星によく似たフォームの構えを見せた。
「変……身」
次の瞬間、全身が漆黒に染まった<メテオ>が、流星の眼前に現れる。
「仮面ライダーメテオ……」
――キミの運命-さだめ-は、ボクが決める。
漆黒のメテオが、青きメテオに宣戦を布告した。
-つづく-
オリ敵登場。
タチバナマスクを装備しているため、CVは問答無用で檜山氏です(ぇ
そして、<もうひとりのメテオ>。
そういえば、近年のライダーではニセライダーって出てこなくなりましたねぇ。
あ、「鎧武」でミッチが斬月・真に変身してだまくらかしてる。彼も広義で言えばニセライダーかw
さて次回。
メテオ=流星の前に現れたタチバナと同じ仮面の男=もうひとりのメテオ。
並び立つ二人のメテオが、激突する!
青春スイッチ・オン!