炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【フォーゼSS】仮面ライダーメテオ/シーン3【スピンオフ】



「ホワチャアッ!」

 仮面ライダーメテオに転じた流星が、100人組み手よろしく星の魔人と対峙して退治する。
 星心大輪拳の技が、流星の、メテオの心と身体を通じ、次々に叩きのめしていくのだ。

「っ!」

 突進してくる巨体。鋼のボディを持つドラゴン・ゾディアーツだ。その強度にはフォーゼも苦戦させられた難敵である。

  -JUPITER READY?-

 進撃に備え、メテオが右腕に装備された専用ツール・メテオギャラクシーのレバーをセットする。

  -O.K.JUPITER!-

 次いで指紋認証で安全装置のロックを外すと、メテオの右拳が木星を模したコズミックエナジーのエネルギー球体に包まれた。

 怪鳥音の雄たけびとともに木星の拳を突き出すと、突っ込んできたドラゴン・ゾディアーツがその勢いを利用され、<ジュピターハンマー>の強烈な一撃を叩き込まれた。


「インガ、一気に決めるッ!」
「わかったわ!」

 一時戦端から離脱するインガを確認し、ドライバーにセットされていたメテオスイッチを、メテオギャラクシーのスロットに装填する。

「まとめて面倒見てやるぜッ!」

 土星を模したマークが刻まれたレバーと、メテオスイッチを同時にアクティブにする。右拳にコズミックエナジーの奔流が集まった。

  -O.K.SATURN! LIMIT_BREAK!-

「ホワチャァッ!」

 メテオスイッチによって強化された土星の斬撃……<サターンソーサリー・リミットブレイク>が無数に飛び交い、ゾディアーツもダスタードもまとめて切り裂く。飽和したコズミックエナジーが誘爆し、悪意の塊はもれなく星屑すら残さず消し飛んだ。

「……ふぅっ」

 新手の出現を警戒しつつ、メテオとインガが散らばったゾディアーツスイッチを拾い回る。その数は出現したゾディアーツとイコールであるため、かなりの量だ。

「流星、見て……?」
「これ……全部“ラストワン”状態じゃないか……」

 ゾディアーツスイッチは、数回の利用で“ラストワン”と呼ばれる状態に変化する。この状態でスイッチをオンにすると、ゾディアーツは更なる力を得ると同時に、スイッチの所持者・“スイッチャー”はコズミックエナジーの肉体に精神を取り込まれ、人間としての肉体は抜け殻となってしまうのだ。

「街中に人の気配がしないのはこの所為か……」
「さっき、ちらっといくつか家の中を見てきたわ。中で人が倒れていた」

 ゾディアーツスイッチをオフにすると、パチパチと音を立てて消滅した。これで意識を失っていた住人たちも目を覚ますだろう。

「よし、これでいい。捜査はこれからだな……」
「そうね。まずはゾディアーツスイッチを住人たちにばら撒いた人間を見つけないと」

 インガの言葉に頷きながら、「それもだが……」とメテオが言葉を濁す。

「さっき戦ったゾディアーツに、妙な違和感があったんだ」

 姿かたちこそ、日本で戦ったものと変わらない。しかし、まとう雰囲気が僅かに異なっていたのだという。

「スイッチャーが、アリシア連邦の人間だからじゃないかしら? 人種が違えば、雰囲気も変わるでしょう?」
「それもそうだが……」

 ひっかかる違和感を振り払いきれず、首をかしげながら変身を解こうとしたメテオが、人工複眼・トレーシングアイの視界に人影を捉えた。
 すわ新手かと身構え、その人影を正面に合わせる。その瞬間、流星がメテオの仮面の向こうで目を丸くした。

「まさか、そんな……!?」

 純白の衣装を纏ったその人物は、顔を仮面で隠しておりその正体は判然としない。
 しかし、その“仮面”そのものに、メテオ……流星は見覚えがあった。

タチバナ……さん?」

 かつて、<反ゾディアーツ同盟>を名乗り、流星にメテオの力を与えた人物。その正体は、ホロスコープスのヴァルゴ・ゾディアーツこと江本だったのだが……その江本が、正体を隠す際に用いていた仮面を、眼前の人物は被っていたのだ。

「お前、何者だ? なぜタチバナさんの……江本さんの仮面を被っている!?」
「……ボクはエモトでもタチバナでもない……」

 声を荒げるメテオの問いに、仮面の男が呟きながらすっと何かを取り出した。

「それは……!」

 今度はインガが驚きの声を上げる。男の手にあるもの、それは“天球”であった。

「ボクは……<メテオ>だ」

  -meteor ready?-

 天球……メテオドライバーを起動し、仮面の男が流星によく似たフォームの構えを見せた。

「変……身」

 次の瞬間、全身が漆黒に染まった<メテオ>が、流星の眼前に現れる。



 ――キミの運命-さだめ-は、ボクが決める。


 漆黒のメテオが、青きメテオに宣戦を布告した。



   -つづく-




 オリ敵登場。
 タチバナマスクを装備しているため、CVは問答無用で檜山氏です(ぇ

 そして、<もうひとりのメテオ>。

 そういえば、近年のライダーではニセライダーって出てこなくなりましたねぇ。
 あ、「鎧武」でミッチが斬月・真に変身してだまくらかしてる。彼も広義で言えばニセライダーかw
 平成ライダーはツールさえあれば誰でも変身ができる、という点でニセモノになりえますな。「555」でも草加がやってたっけ。

 さて次回。
 メテオ=流星の前に現れたタチバナと同じ仮面の男=もうひとりのメテオ。
 並び立つ二人のメテオが、激突する!

 青春スイッチ・オン!